カオル #9
何言ってるんだ。
自分の言ってることがわかってるのか。
晃二もカオルも 驚いてあいた口がふさがらない。
「ほら、よく好きな芸能人なんかの追っかけとかして
その人にあげちゃう人とかいるじゃない。
一回こっきりでもいいから、
この人って思った人がいたら、
最初の人にしようって 決めてたの。」
柚季が下をむいたまま、恥ずかしそうに
説明した。
晃二は何と言ったら良いか、すぐ言葉がでなかった。
カオルはもっと 戸惑っているだろう。
「だから、最初の相手が俺っていうのは、どうして?」
カオルが驚くほど冷静な口調で言った。
「それは・・・。」
柚季は言葉を切った。そして、やはり下を向いたまま、
「今ここで、初めて理想の人に会えたから。」
と はっきり言った。
むちゃくちゃだが、なぜか筋が通っているようにも思えた。
「わかった、いいよ。金髪ちゃん。」
「カオル!」
晃二は目をむいてカオルをにらんだ。
「今度、もしも男の恰好をしている俺に出会えたら、
その時は金髪ちゃんの望みをかなえてあげるよ。」
「本当に?」
柚季が目を輝かせた。
「あぁ、本当さ。
ただし、俺はもう この格好はやめることにした。
この家やこの近辺だったら、すぐ男の恰好をした俺に
会えちゃうだろう。だから、二度と、このあたりには来ないって、
約束できるなら・・・だけど。」
柚季は祈るように手を合わせた。
「えぇ、来ないわ。
ここじゃない、どこかで偶然会えたらね。
・・・ロマンチック・・・。
私、運命を信じるわ。」
それから柚季は ひとしきり他愛もない話をして、
満面に幸せの笑みを浮かべながら帰って行った。
柚季を見送った後、晃二は苦々しげにカオルを見た。
「なんで、あんな約束したんだよ。」
カオルは すました顔で晃二を流し目を送る。
「へぇ、やいてんの?」
ありがとうございました( *´艸`)
カオル#10へ続く
カオル#9
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