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Love's night #19 最終回

「このアパートを見つけ 保証人になって住まわせてやった。

大検を受けさせ、大学にも行かせてやった。

それらの費用、生活の保障、更冴の保育園にいたるまで すべて、誰が出してやってるんだ?」

比留川さんです」

「この時代にスムーズに就職が決まったのは、誰のおかげだ?」

比留川さんです。」

「契約は あと半年。大学を卒業するまでだったな」

「はい」

「だったら、その後、俺と別れた後に いくらでも恋愛できるだろう!

俺だっておまえが かわいい。別れるのは つらい。

だが、この関係がいつまでも続いていいとは思っていなかった。

おまえをかわいいと思えばこそ、おまえを自由にしてやらなければいけないと 思っていたさ」

の上半身は、すでに何も身に付けていない。

「何故なんだ、何故タカネなんだ」

比留川の指が 勢の胸をなぞってゆく。はいつものように 黙ってじっとしている。

「おまえは妻に似ていた。似ていただけだった。それが 今はどうだ。

死んだ妻より 俺の心をかき乱す。何故、と・・・何故タカネと・・・」

は数えきれないほどの比留川との夜を思い出していた。

初めの頃は なかなか受け入れられず、何度契約を解消しようかと 悩んだことか。

生きるためと 割り切るまでの苦しい日々。

そして、いつか比留川に愛され、守られることに心地よさを感じ始めたこと。

その中での タカネとの出会い・・・。

は 比留川に押し倒されるように畳に沈んだ。

「あの時、おまえを助けたのがいけなかったのか?

妻の幻影を求めて 、おまえと愛人契約を結んだのがいけなかったのか?

おまえを愛してしまった 俺が悪いのか?」

比留川は 何を言っているのだろう。

娘を傷つける憎い男と、責めているのか。それとも・・・。

「この胸で、この腕で、タカネを抱いたのか?

この指で、この唇で、タカネと愛し合ったのか?

そして、何食わぬ顔で 、次の日には、俺に抱かれていたんじゃないだろうな!」

嫉妬の炎が勢を焼き尽くす。

地獄に堕ちろ!

は 、望んで闇に飲み込まれてゆく、自分を感じていた。

                           終わり。

1999年平成十一年六月~七月

いつのことだったか覚えていないのですが、実はこれも夢なんです。
子供の頃から、自分が出てこない、最初から最後までストーリーになっている夢を見ることがありました。
例えば出版書籍 短編集「白龍抄」の中の、
SF「雨夜幻想譚」や恋愛ものの「十の恋路千の道行」とか。
このnoteに公開した、「カオル」とかも、最初から最後まで夢で見た作品です。
「巴の龍」は主人公の兄弟の両親、丈之介と桔梗が巴の龍に出逢ったシーンを夢で見て、作品をふくらませました。
他の作品も常に映像で視えますが、たまに夢で見ることもあります。

ありがとうございましたm(__)m

Love's night #19 最終回


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https://note.com/mizukiasuka/n/n766b7a3b93dc


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