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トンニャン最終章#5大天使ウリエル

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「ウリエルの巻」のような意。トンニャンシリーズ最終章の最初の話です。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「ガブリエル。堕ちる前に言っておきたいことがある」
ウリエルはガブリエルの前にひざまずいた。まるで、ガブリエルの受胎告知のように。
「ガブリエル。もう堕ちて会えなくなるから、本当のことを言うよ。きみをずっと愛していた」
「だめ!!」
ガブリエルも膝を落とし、ウリエルの口を自らの手で押さえる。ウリエルは、そっとその手をにぎり、口から離した。

 
「きみは受胎告知の天使。聖女の象徴。戦いの女神。
ルシファーの妻・リリスと対比させて、きみを処女神とあおぐ者たちも多い。そして、この長い年月、きみはそれを守り続けてきた」
ウリエルは、にぎったガブリエルの手を、彼女の膝に乗せた。心なしか、ウリエルの手は震えているようだった。
「だから、この天上界にいるかぎり、この気持ちを決して言ってはいけない。きみと同じ四大天使であることに誇りを持ち、自らの使命を全うしてきた」
ウリエルは立ち上がった。

 
「強き者ガブリエル。より強くあれ。より美しくあれ」
お別れだ。
 
 
ガブリエルは、流れる涙で顔を濡らしたまま、立ち尽くしている。
今、生まれた時から四大天使として天帝に仕えてきた仲間が、二人も裏切って堕ちていった。
 
 
ガブリエルには、何が起こったのか、理解できない。
クリスタルには、洪水に飲まれる人間たち。
ミカエルの息子クビド。ルシファーの息子リオールも、天使の姿をして、天使としての力を駆使して、人間たちを助けている。
 
ガブリエルは、ミカエルを探した。ミカエルは、また椅子に座り腕を組み、眼をつぶったままだ。
「ミカエル」
 
ガブリエルは、ミカエルに近づきその座っている膝に手をかけた。
「神のごとき者ミカエル。私はどうしたらいい。ラファエルと、ウリエルが堕ちた今、どうすればいいの?」
 
「・・・強き者ガブリエル。その奥底の気持ちを押し殺し、常に強く妊婦と母親の守り神として、清純の象徴・処女神として、強く美しく君臨してきたケルビム(智天使)を束ねる者」
ミカエルは立ち上がった。
 
「行こう」
ガブリエルは、まだ濡れた眼でミカエルを見つめていた。
 
二〇一二年平成二四年六月二十九日(金)朝方四時
続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン最終章#5大天使ウリエル

※この物語はフィクションであり、登場する人物、設定、全て架空のものです。
また、特定の宗教とは全く関係のない、完全フィクションです。

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https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

次回トンニャン最終章#6 サルガタナスへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n5b99ffb6d31a

前回トンニャン最終章#4 ウリエルはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/naa62f3839aac

トンニャン最終章、最初から読めるマガジンはこちらから
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