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赤い山(自らのワークショップから)

夕暮れ時、赤く染まる山を見ながら、美代は遠いふるさとに思いをはせる。
背中の赤子はさっきまでぐずっていたが、やっと眠りについたようだ。

美代は今年十三になる。奉公に来て一年が過ぎた。
上の学校に行く同級生を横目で見ながら、美代は黙って親の言うとおりにした。

美代は八人姉弟の長女だ。まだ小さい弟や妹がいる。
十歳で奉公に行った友達もいた。
十二の歳まで学校に行けたのは、幸せだと思う。

それでも夕暮れ時はさみしい。
奉公先の坊ちゃんの子守をしながら赤い山見ていると、山の向こうのふるさとを思い出す。

かあちゃん、とうちゃん、みち、あきお、ゆう‥‥‥
ひとりひとり、家族の名前を口にすると、いつのまにか頬が濡れていた。

「美代~~~~~!!!」
奉公先のおかみさんが、美代を呼んでいる。

「は~~~い!」
美代はふりかえって返事をすると、急いで帰ろうとした。

「カァ カァ カァ」
ねぐらに帰るカラスの声が響く。
美代の背中も赤く染めて、日が落ちていく。

赤い山(自らのワークショップから)

オンラインで「発想を楽しむワークショップ(イメージを楽しもう)」で、ある「言葉」から、
参加者の皆様と発想を楽しんだ後、それぞれにその時の思いを10分ほどで描きました。
その時、参加の皆様と同じ条件で描いた、即興作品です。


最新作「駒草ーコマクサー」
かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね


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