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カオル#23

「な・・・何も出て行かなくたって。」

晃二は焦って立ち上がった。

「お・・・俺、もう怒ってないよ。

柚季のことは 柚季を傷つけないように

したことだろう。

俺のことは・・・、もう気にしてないよ。

カオルの気持ちは、前から気づいていたしね。」

カオルは少し笑った。

「こんな俺でも、止めてくれるのか。」

「こんな俺って何だよ。

カオルが男しか愛せないのはカオルのせいじゃないだろ。

俺は・・・俺はカオルが好きだよ。

カオルがおやじのことが好きでも、俺は。」

カオルが晃二の口を指で押さえた。

「ありがとう。

でも、俺もうすぐ二十歳になるんだ。

二十歳になったら ここを出て行こうって決めてた。

いつまでも、杉原さんの世話になってられないし。」

晃二はそれでも食い下がった。

「だからって、ここを出る理由にはならないだろう。

カオル、ちゃんと働いてるし、何もおやじに

迷惑かけてるわけじゃにし、俺だって・・・。」

カオルは首を振った。

「言ったろう。晃二はバイだって。

晃二はまだ 自分の気持ちに気づいてないんだ。

金髪ちゃんのこと、たぶんはじめて会った時から

晃二は好きだったんだよ。」


柚季が泣きじゃくっている。

今日はカオルが晃二の家を出る日だ。

晃二は柚季に、カオルのことを ある程度言い訳した。

柚季は驚きながらも、柔軟に理解を示した。

そして、自分が傷ついたことより、

カオルが出てゆくことを悲しんだ。

「晃二、世話になったな。」

カオルは荷物を背負うと、歩きだした。

ありがとうございました(;_;)/~~~

カオル#24へ続く

カオル#23

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