見出し画像

巴の龍(ともえのりゅう)#17

桔梗(ききょう)・・・」

丈之介(じょうのすけ)は、桔梗が体験した

三つ首の龍の話を思い出した。

そのが、おのが体をそれぞれ伸ばし絡み合って

輪のようになった時、その光を浴びて

あれほどの数の雁崖小僧がちりぢりに吹っ飛んだ。

三つ巴の龍(みつどもえのりゅう)?」

がつぶやいた。

すると兵衛のふところから刀の柄(つか)が、

大悟の腰から太刀が、

菊葉のふところから鍔(つば)が、

それぞれ飛び出し、

三つ巴の龍の輪の中に入った。

そして、大悟太刀からが取れて落ち、

兵衛の柄菊葉の鍔と一体となった。

桔梗の太刀・・・?」

丈之介は夢を見ているような気持ちで

目の前の出来事を 凝視していた。

やがて三つ巴の龍の輪から、

桔梗の太刀が下りて来て菊葉の手のうちに収まると、

巴の龍は ゆっくりと消えていった。

黒龍は金縛りにあって動けなくなっていたが、

月の光とともに巴の龍が消えると、

体の自由を取り戻した。

母の形見の柄がなぜ?」

兵衛がそう言った時、丈之介

三人の息子たちが一堂に会したことを知った。

しかし、黒龍はそんな感傷を 待ってはくれなかった。

一声咆哮すると、激しい風と雷雨になった。

大悟は弓を引き絞って黒龍を狙った。

兵衛大悟を援護するように、黒龍に斬りかかった。

カン!

硬いうろこが兵衛を跳ね返す。

兵衛が跳ね返されて腰をつくと、

一閃の矢が黒龍めがけて飛んでゆく。

矢は黒龍の首もとの うろこと うろこの間に突き刺さり、

はのけぞって苦しみだした。

兵衛はここぞとばかりに飛びあがり、

黒龍の右目に太刀を突き刺した。

暴れる黒龍兵衛が振り落とされた時、

菊葉の手のうちにある 桔梗の太刀が光り輝き始めた


巴の龍#17

ありがとうございましたm(__)m


新作駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ


SIRIUSの小箱」ってなあに?
過去作品・メルマガ HP/リザストはこちらから

巴の龍#18へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/nbc54d0d57a95

巴の龍#1 こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n6785ce9c010e

もしよろしければ、サポートしていただけると嬉しいです。いつも最後までお読みいただき、ありがとうございますm(__)m(*^_^*)