アスタロト公爵#16悪魔皇女サ―ティ
※この物語は 「阿修羅王」本編より 悪魔の三大実力者のひとり、アスタロト公爵の作品を抜粋しています。特定の宗教とは 何の関係も無いフィクションです。
「ふ・・・ん。まずまずじゃないか、この城は」
アスタロトは完成したサーティの城に来ていた。
ルシファーが話していた通り、ルシファーの城の西にサーティの城が新しく建てられたのだ。
「・・・一人では、広すぎないか?」
「あら、心配してくれるの?大丈夫よ。
ルシファーの城の自分の部屋だけが自由だったけど、これからはこの城の中でも自由だもの。」
サーティは嬉しそうに腕を広げてくるくると回った。
いつもより数段ふんわりとふくらみのあるドレスは、花のように開いている。
「やはり、ルシファー様とリリスに挨拶に行かなければならないな」
サーティは回りながら、踊っているようだ。
「来て!アスタロト」
アスタロトはサーティに手をとられて、さながら中世の舞踏会のように踊り始める。
凛とした長い黒髪の黒衣のアスタロト。
柔らかな銀の巻き毛の白い、まさにウェディングドレスのサーティ。
二人だけの饗宴。
この花の舞うような軽やかな姿を、二人が悪魔だと知らなかったら、誰もが足を止め、見ほれるに違いない。
やがて二人は、踊りながら、二人の新しいベッドに重なるように倒れた。
アスタロトが重ねた唇をそっと離す。
「震えているね。大丈夫だよ、怖くないから」
「アスタロト・・・あなたは優しいわ。
あなたは今までたくさんの女達を相手にしてきたけど、誰もあなたを恨んでいない。
それは、あなたが女の気持ちがわかるから。あなたは忘れてはいないのよ」
アスタロトは少しうつむいて、目を伏せた。
「あなたは、昔の事を忘れた事はない。だって、だって、あなたは今でも・・・!」
アスタロトはサーティの唇を指でふさいだ。
「もうおしゃべりはやめよう。今日は二人の初めての夜なのだから」
それからまたサーティに口付けると、そっと抱きしめた。
「ルシファー様への挨拶は、明日にしよう」
ほんの少し顔を浮かせてつぶやくように言うと、また口付けて、そのままサーティの頬に唇を滑らせ、耳元でささやいた。
「ベールゼブブの首は、必ず落としてくれるね?」
【悪魔皇女サーティ】
大魔王ルシファー・魔女裁判長リリスの間に生まれた長女サーティは、生まれながらにして魔女裁判長を約束されている。兄のリオールと同様、リリスの血が一滴も入らない、純血の天使である。
ルシファーより、兄のリオールは力と統率力を、サーティは頭脳と何ものをも見通せる目を与えられた。しかし、それ以外のサーティの能力は謎が多い。
天使チェリー・悪魔皇太子リオール・悪魔皇太子妃コーラ同様、この物語の数少ないオリジナルキャラクターの一人であり、当然その存在もフィクションである。
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「何の用だ?呼び出したりして。それにこの部屋は?」
リオールは新しいサーティの城の、サーティの部屋にいた。彼が個人的に彼女に会うのは、いつ以来だろう。
「覚えてる?ルシファーの城の私の部屋とそっくり同じに作ったの。このライトも、このクロスも、このオブジェも、このベッドも、みんな同じでしょう?」
ありがとうございましたm(__)m
アスタロト公爵#16悪魔皇女サ―ティ
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