Love's night #3
「パパって、子供すきだったのかしら?」
タカネは不思議そうに自分の父である、男の後ろ姿を目で追った。
それから今さら気づいたように、勢(せい)の方を振り返った。
「更冴ちゃん、パパのこと気に入ってくれたみたいね。
勢も入って」
勢は それでものろのろと玄関の中に入り、
靴もタカネがいら立つくらいにゆっくりと脱いで、
さらに踏みしめるように一歩一歩玄関マットに足を置き、
揃えられたスリッパも やっとの思いで履き終えた。
タカネは辛抱強くそれを待ち、どうぞ、というようにリビングに向かって手をそえた。
そして リビングに入る直前
「まず、ちゃんと紹介するわね」
と、耳元で小さくつぶやいた。
リビングはダイニングと続き間になっていて、広々と感じられた。
奥のダイニングキッチンは対面式のカウンター付きにダイニングテーブルがあり、
二人暮らしらしく 四人掛けの小さなものだった。
そのせいもあってか、リビングに置かれたソファーもテーブルも
決して小さいものではないのに、広くゆったりとした印象を受けた。
南向けのリビングから手入れされた庭が見え、季節の花々が咲いていた。
勢は一瞬 両親と暮らした家を思い出した。
造りやセンスは違うものの、人の住む家という点で 同じ匂いを感じた。
しかし、次の瞬間 勢は現実に引き戻された。
庭の美しさに目を奪われている更冴に、男が何か言い含めている。
タカネが近づいて行くと、男は顔色を変えて立ち上がった。
ありがとうございましたm(__)m
Love's night #3
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かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね
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