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トンニャン最終章#3大天使ウリエル

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「ウリエルの巻」のような意。トンニャンシリーズ最終章の最初の話です。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

ラファエルは黙って、またクリスタルの球体の前に座った。
ガブリエルは、両手で口をおさえたまま、立ち尽くしている。
そして
「ミカエル。二人が会っていたこと、何故会ったかわからないが、リオールが天使として目覚めたことは解った。
しかし、このクリスタルの中に見える二人は何故天使の姿のまま、裏切っているのだ?しかも、悪魔であるリオールが人間のために働いているなど、考えられない」
「ウリエル、さっきも言った。裏切りは知らなかった。
まして、本来悪魔として生まれたリオールが、人間を助けようとするなど、わたしにも全くわからない」
ウリエルは、すとんと椅子に腰を落とした。
 
 
「ラファエル!何を!?」
ガブリエルの叫び声にも似た声に我に返ると、ウリエルの目の前に信じられない光景があった。
 
「ラファエル、何をした?今、何をしたんだ?」
ミカエルが、ラファエルにつかみかかりそうなウリエルを身体ごと受け止めた。
「ラファエル・・・ラファエル・・・」
ガブリエルは涙が止まらない。

 
ラファエルは、クリスタルに両手を重ねてかざし、その手から今まさに光が放たれていた。その光は、溺れそうになっていた少年と、一緒に流されていた何人かの人々を救いあげて、波より遠いまだ地上の残る場所に送っていた。
 

ラファエルがガクリと肩を落とした。
「これで、裏切り者だな。前代未聞だ。四大天使とあろうものが」
「わかってて、どうして?」
「どうしてだって?」
ラファエルは立ち上がった。
「癒す者ラファエル。誰を癒す。人間を癒さなくて、誰を癒す?
もう、戻れない。・・・堕ちる」

 
「待って!ラファエル」
「ミカエル。今になって、堕天使となったルシファーの気持ちが少し、解る気がする。
ガブリエル、ウリエル。ありがとう。もう、行くよ」
 
「ラファエル!」
ガブリエルの叫びは、ラファエルに届かなかったのか。ラファエルは振り向きもせず、自ら堕ちていた。
 
 
 
「トビトの子孫だ」
ウリエルもガブリエルも、大きく目を見開いてミカエルを見る。
「ラファエルは、かつて人間の子供と旅をしたことがあった。あの少年は、トビトの子孫だ」
ガブリエルは、クリスタルにもう一度眼を移した。

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン最終章#3大天使ウリエル

※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
これから時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。

【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

 次回トンニャン最終章#4 ウリエルへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/naa62f3839aac

前回トンニャン最終章#2 ウリエルはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nc05587d76b61

トンニャン最終章、最初から読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/mb128933fa182


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