アスタロト公爵#10悪魔の君主アスタロト公爵
※この物語は 「阿修羅王」本編より 悪魔の三大実力者のひとり、アスタロト公爵の作品を抜粋しています。特定の宗教とは 何の関係も無いフィクションです。
トンニャンは話題を変えるように、違う話を始めた。
「ところで、あのフェアリー、名前はなんていうんだ?」
「名前?そんなものあったのか?」
「悪魔でも天使でも人間でも、名前の無い者などいない」
「話は済んだのか?」
アシュラとリオールの休んでいる部屋に、トンニャンとアスタロトがやって来た。
「あぁ、問題ない。リオールの体はどうだ?」
「フェアリーのヒーリングで、元の体に戻ったようだ。な、リオール」
リオールは、体をもみほぐすように腕を刺激していたが、アスタロトが視線に入ると横目で睨んだ。
「アスタロト、言いたい事は山ほどあるが、今回はやめておく。
それより、このフェアリーはかなり優秀なナースだな。
だが、一つアスタロトに不満があるようだぞ。」
フェアリーは一生懸命首を横に振っている。
「なんだ、フェアリー言ってみろ。命令だ!」
フェアリーはアスタロトに恫喝されて、震えながら口を開いた。
「あの・・・いつもフェアリーとだけ呼ばれてますが、私には名前があります」
トンニャンはニヤニヤしながら、アスタロトの反応を見ている。
「何という名前だ?」
「・・・リジュ」
「リジュ・・・。そう・・・か」
突然トンニャンがアスタロトの首に手を回し、肩を引っ張るようにして、アシュラ達に背を向けてささやいた。
「ほうら、わたしの言ったとおりだろう。かわいい名前じゃないか」
「・・・もしかしたら、礼を言わなくてはならないのか?」
「ふ・・・ん。そうだな。体で払ってもらうか」
「ほう、その時トンニャンは男なのか?女なのか?」
「どちらでも、お好みのままに」
「わたしはどちらでもかまわんぞ。美少年も悪くない」
二人は声を上げて笑った。
トンニャンがアシュラやリオールと、アスタロトの城を出て行くのを見届けると、アスタロトは自分の部屋にフェアリーを呼んだ。
「アスタロト様、覚悟は出来ています」
「何の?」
「悪魔皇太子リオール様を捕まえてしまうなんて。
リオール様がルシファー様に報告されたら、アスタロト様のお命も、危なかったのに。
こんな失敗をして許されるとは思っていません。
そ、それに私はアシュラにそそのかされて、リオール様のお口ぞえがあったとはいえ、自分の言いたい事を、名前を言うなどと・・・」
「わたしが許さなかったらどうなると思う?」
「この命は、人間界でアスタロト様と初めて会った時から、アスタロト様に捧げております。ですから、ご存分にご処分を」
アスタロトはフェアリーの手を引き寄せると、涙で濡れている頬に口付けた。
「アスタロト様?」
「その命で、存分に償ってもらうよ。リジュ、ずっと傍にいろ。命令だ」
アスタロトとリジュの影が重なるのを、見ていたものは誰もいなかった。
二〇〇六年平成十八年八月二日(水)朝方
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アスタロト公爵#11へ続く
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