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三枝明那の『ひとり』のパフォーマンス力について


にじさんじで一番ソロステージングが上手いライバーのソロ曲と、1人でのライブパフォーマンスを何故かYouTubeで全2曲共に無料で見れる。

三枝明那のソロ曲「シャロウ(YouTube配信タイトル:Shallow)」と、
『にじさんじ 4th Anniversary LIVE 「FANTASIA」DAY2』ソロで披露された「テオ」をどうか貴方に見て欲しい。

無料であることにとても価値がある。クリックするだけで体験することが出来るから。
三枝明那という人が、Vtuber性があまりにも詰め込まれすぎている。この2曲を聴くだけで、彼が存在している意味に触れられるような気さえする。
無料であることに、再生ボタンを押すことにそういう価値がある。だからどうか聴いて欲しい。


三枝明那、強くて優しくて儚くて、凄く魅力的で怖い。
「テオ」を見て、「シャロウ」の歌詞を読みながらぐちゃぐちゃに泣いてしまった。
バイオグラフィのアルバム持ってるからわざわざYouTubeで聴くこと無かったんだ。
タイトルがShallowって英訳されること知らなかったから、改めて英和辞典開いて脳みそぶん殴られた。

「shallow」は、浅いことを意味する形容詞である。物理的な意味においては、上から下までの距離が短いことを指す。また、軽蔑的な意味において、知識や推論、感情、性格における深さが欠けていることを指す際にも用いられる。
「I am shallow」は、私は浅はかだ、という意味の表現である。自分自身の考えや感情が表面的で本質的ではないことを認める際、自己批判的に用いる。
「shallow breathing」は、呼吸が浅いことを意味する言葉である。

参照:weblio辞書

歌詞を読んでいても、明確にshallowを意図しているだろう部分は私には読み取れない。
切なくてどこか自罰的で、たまらなく優しい。聴いてる側には毛布みたいに柔らかい暖かさが伝わってくるのに、曲調だけ雪の静けさも含んでいるように感じる。
歌い手側はちゃんと温まってるかわからない感じというか……よくわかんねえな。聞き手の頭の片隅に三枝明那っていうスペースを貸してくださいな、ってマッチ売りの少女が一軒一軒訪ねてくる感じ?聴いた方が早い。聴いて。

同じアルバムに童田明治ちゃんのソロ曲「きこえ」も収録されてるんですが、彼女の歌声は周りに人の息遣いがあるように感じるんです。個人の感覚だから何とも言えないけど。これも大好きな曲。
それに対して明那のソロ曲は、ぽっかりした空間で彼と2人きりになれる曲だと思ってます。


そして「テオ」を聴いて思った。明那、何でソロステージでするっとたったひとりっきりになれるんですか?
彼のソロってついさっきまで隣で歌ってたはずの人達の影が、欠片も感じられないんだ。

それが少し怖いというか……アニメとかドラマで人がブクブクしてる実験用水槽みたいなのにあっさり彼が足を突っ込んでしまいかねなくて、目が離せない感じ。どっぷり自分の世界に浸ってる間は、こちらの声が届いてるといいなってくらい隔絶された空間にいる人みたいなイメージがある。
長靴履いてないのに、うっかり深い水溜りに足突っ込んじゃったみたいなヒヤっと感というか。

それが彼の歌声に寂寥感を帯びさせてるように思う。龍安寺の石庭みたいな。求めても求めても触れられない何かに向かって手を伸ばし続けてるような渇望感が、歌声にずっと横たわっているように感じる。

そういった渇望が彼の歌唱にとんでもない引力を与えてる。ヒーロー性というか、主人公適性というか。
個人的には「3月のライオン」の主人公:桐山零に似た色だと捉えてます。
中島みゆきの「ファイト!」の魚の歌詞と同じ絵の具使ってる感じ。  

ぐちゃぐちゃなイメージで申し訳ないんですけど、こういう歌声の色を持ってる人が、「Shallow」の歌詞を背負った上で「テオ」を歌うんだよ。とんでもない。

私は「テオ」のパフォーマンスを通じて、三枝明那っていうVtuberは他者にたくさんたくさん与えることで、ようやく自身の中で己の輪郭がハッキリする人のように感じた。
自分と三枝明那だけの空間が再生回数の分だけ生まれる。どうかこれを体験して欲しい。

そんな空間で、僕と君だけの場所で、隅っこの席にも最後列にも最前列にもライビュ組にも等しく、こちらの手を捕まえてくれるのが、三枝明那の「テオ」なんだ。あまりあるほど「Shallow」で語られるiも愛も十分に持ち併せてると思う。
彼がそういうパフォーマンスが出来て、そういった哲学的な課題にずっと向き合い続けているという価値も、明那に取りこぼさないで受け取って欲しいなと願っています。

これは完全に蛇足なんですが、私普段うたプリの原作ゲームの感想文書きながらめちゃくちゃiとeyeと愛の話考えてるんですよね。
つい先日Switch移植版のうたプリゲーム配信許可されたんで、明那が配信してるのめちゃくちゃ見たい。勝手に一十木音也とのシンパシーを感じているので。赤色担当ってなんで刹那性があるんだ。

2023年中に「三枝明那」のソロ曲に詰め込まれたものに触れて欲しい。彼の実在性が生配信を通しては触れられない今だからこそ、生々しさが詰め込まれたソロ曲とライブパフォーマンスで感じてほしい。
そしてプラスの感想を抱いたなら、直接彼の元に届けてほしいなあと思っています。
少なくとも私は、2023年中に三枝明那の「テオ」に再度出会えて良かった!!!!!!!!公開してくれてありがとう!!!!!!明那の手をずっと捕まえていたい。

曖昧でもどんな形でも、本人にしか作れない三枝明那のiを待っています。

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