コジコジにいつも救われる話。
コジコジは、私の栄養剤。
「COJI-COJI(コジコジ)」は、さくらももこさんの漫画作品。『きみとぼく』という少女向け雑誌で1994年から1997年まで連載された。
リアルタイムで読んでいたわけではないけれど、脳が疲れている時や嫌な感情が頭の中を支配している時、単行本をパラパラとめくる。読み進める。じわじわと笑いが込み上げてくる。シュールなギャグファンタジーの世界がなんとも愛おしい。
舞台はメルヘンの国。
主人公のコジコジは、年齢や性別もわからない宇宙生命体。その彼を取り巻くキャラクターは実に個性派ぞろいだ。
頭がやかんになったやかん君、やかん君が沸かすお茶をこよなく愛するカメ吉くん、頭上に花が咲いたあたまばな君、記憶を消されたブルガリア人のジョニー、飛べない半魚鳥の次郎、自意識過剰の愛らしい天使のルル、暖かいところを好む雪だるまのコロ助など、まずキャラ設定のインパクトが強烈!
でも、実はそれぞれが人間と同じような悩みやコンプレックスを抱えている。
コジコジは、素朴でマイペースな自由人。彼には「ああすべき」「こうすべき」というエゴがない。
仲間たちはコジコジのペースに翻弄されながらも、彼が何気なく発する邪気のない言葉に時々ハッとさせられるのである。
先生:なにっ!?遊んで食べて寝てるだけじゃないかっ
コジコジ:え?悪いの?遊んで食べて寝てちゃだめ?
盗みや殺しや詐欺なんてしてないよ。遊んで食べて寝てるだけだよ。なんで悪いの?
先生:コジコジ...キミ...将来一体何になりたいんだ それだけでも先生に教えてくれ なっ
コジコジ:コジコジだよ。コジコジは生まれた時からずーっと 将来もコジコジはコジコジだよ
※コミックス1巻第1話「コジコジはコジコジ」より
ミミズ:コジコジ キミも貴重品はまとめておいた方がいいよ
コジコジ:あっミミズ君 貴重品て何?
ミミズ:宝物とか大切な物だよ 嵐で家が危なくなったら持って逃げるのさ
コジコジ:へーじゃあコジコジは家もないし宝物もないから何もしなくていいんだね
※コミックス1巻第8話「嵐が来るぞ!!」より
コジコジ:ブヒブヒ達はそろそろ死んだかなぁ。まだ生きてるかなぁ」
次郎:コジコジよく平気でそんな事が言えるなァ...
コジコジ:なんで? じゃあどういう顔で言えばいいの?
次郎:だって一応クラスメートたぞ。たぶん死んでるけどそんなに平気な顔で言うなよ。もう少しこう悲しい顔するとか...一応な
コジコジ:体が死んでもたましいは生きてるよ。ブヒブヒもスージーもまたいつか会えるのに次郎君そんな事も知らなかったの?
次郎:俺は死んだことないから、そんな事は知らんぞ
※コミックス1巻第4話「メルヘンの国の悪者たち」より
タコの弟:おまえバカだろ バーカ
コジコジ:そうだよ よく知っているね。キミは物知りだね
タコの弟:なんだよその帽子 変なのっ アハハ
コジコジ:そうだよ 変なんだ アハハ
タコの弟:なんだよ からかいがいのない奴め。もう帰っちゃおうかなっ
コジコジ:あぁそう さようなら〜
※コミックス1巻第9話「海水浴へ行こう」より
コジコジ:正月くん 飛べない時はゆっくり休めばいいじゃん 仕方ないよ 飛べないんだからさ
正月:えっ
次郎:いい加減なことを言うな。今日だけは正月くんは休めない日なんだぞ
コジコジ:でも飛べないんでしょ? どうせ飛べないなら心配するより休んだほうがいいよ
次郎:きみは簡単にあきらめるタイプだな
コジコジ:それ わりといいタイプ?
※コミックス2巻第14話「正月君の活躍だ!!」より
すごいな〜悟りきってるね!といつも感心する。
ここにさくらももこ流のギャグセンスが乗っかって、ちょっとした人生哲学と笑いが見事に共存している。
人生を「面白がること」って、とても大切だなぁと思う。
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