#219 色褪せしたHOODを彩って元気になる
先日のダッフルコートを蘇らせた話に嬉しい反応をありがとうございます。
そういえばもうひとつ、私の思い出のジャケットに愛を込めたお話があったので、今日はそれを‥‥
私がこちらに来た頃、初めて知るイギリスの夏とクリスマス直後のセールにはちょっと興奮した。普段は手の届かないブランドものの値段がしっかりと下がるからだ。
なかでも憧れだったLaura Ashley (ローラアシュレイ) のワンピースが75% Off なんて嬉しくなっちゃって、結果自分には合っていなかった形、材質、デザインを選んでしまったこともある。夫は私の買い物にも付き合ってくれるほうだと思う。彼がいいと言ったものなら買ってもらわない手はないではないか。
そのうち、ローラアシュレイは(手の届かないほど高級でないにしろ)『セールの時に買うもの』みたいになっていて、ある冬には大好きなウールのコートがクリスマス直前まで待ったら30%Off になり、罪悪感なく買えたりした(それ以上待ったら値段は下がるかもしれないがサイズが無くなることは目に見えていた)。
こんな前置きをしてしまうほどに『定価』では買わないローラアシュレイだった‥‥はずだった。ある年に夫と訪れたBath (バース) でローラアシュレイに立ち寄るまでは。そこで、血迷って試着をしてしまうまでは…
そこで出会ったのは、正当派というか、主張せず着ただけでほかのアイテムも引き締まるようなウォータープルーフ仕様のジャケットだった。
「いい!なんなら自分にすごく似合ってる~!」そんな確認だけして、そっともとに戻した。(なんつっても、それは定価のお品‥‥)
ところが翌朝ホテルをチェックアウトする際に、ローラアシュレイが開いたらあのジャケットを買って帰ろう、と夫が言ってくれたではないか。私が一言も言わなかったのに、彼のほうでも、私に似合っていたと思ってくれていたようだ。
頭に『ド』がつくほど倹約家(言葉を選んでみた)の夫の、そんな稀な行動がやけに嬉しかった。
そしてあの日から、そのジャケットは私にとって特別なアイテムとなった。
そのジャケットは雨の日に活躍するし、雨が降っていなくてもかわいい。色は紺色ときたら、お年頃の娘の通学時の条件にピッタリだった。
ということで、娘にあげたわけではないが、彼女が毎日のように学校へ着ていった時期も数年あったと思う。
とても似合っていたので写真を撮っていなかったのが悔やまれる。
娘が大学に行った頃にはさすがにそれは私の手元に戻ったわけだが、我が家の玄関のドアはガラスでできていて、光射す玄関ホールのフックに無造作に掛けてあったジャケットはHOOD (フード) 部分だけ色が褪せてしまっていた。
フード部分はZipper で着脱可能なので、しばらくはフードだけ外して着ていたのだが、いざ雨が降った時のためにフードをつけていると便利度が格段に上がるだろう。
そこで‥‥
ピキューンと思い立つ。イギリスと言えばハリスツイード。
ハリスツイードはあらゆる色合いに染めたウールを丁寧に織った布ですが、手軽に使えるような小物も豊富に揃っています。
ウールが好きすぎて、そんなハリスツイードの端切れをたくさん持っているではないか。
で、チクチクしたのがこれ。
縫い付ける部分がめちゃくちゃ立体なので、それとなく収めるのに苦労しつつ、こんなふうに仕上げました。
知らない人から「これ直して」とお金を渡されたとしても無理無理。だけど自分の大事なものなら、自分が好きなように手を入れればいいのだ。
上の写真は2019年の3月に手掛けた時のもので、すでに買ってから10年以上経ったものだ。
そしてまた5年近くが経とうとする、現在の写真です。
このフード部分ふんわり柔らかく、かぶった時の温かみも全然違う。
物を大切にするというのは、思い出も大切にするということなんだな。
なんでも買えることばかりが『豊か』なのではないな、としみじみ思うのです。
ハリスツイード、まだまだパッチワークを楽しんでおります。
これとか、
これとか。
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