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これから出る本 2024年7月

最近の世の中は、なにかにつけ“○○パフォーマンス”と言われるようです。みんなそんなに急いで何になろうとしているのかしら…と思ったりしつつ、ぼーっとするのが何よりの楽しみです。出版業界においても「本の返品」という壮大なムダがあり、それを巡っていろいろな人が苦闘をしています。「ムダ」はこんなに嫌われるのに、どうして減っていかないのか。という悩みに答えてくれそうな本が出てきます。

ムダがなくなったら世界はどんな姿になるのか?ということを著者が考えていきます。フードロスはもちろん、ゴミも出ない、時間も無駄にならないような世界。字に書いてみると美しくも見えますが、想像するとちょっとディストピアっぽくも感じます。

「ムダ」について真剣に考えてみるノンフィクション、興味深いです。

このほか7月発売予定の新刊から、いくつか紹介していきます。

「数値化」や「計測」が世界を変えてきた、という本はたくさんあります。正確な数字化があったからこそ、技術は進歩してきたはずです。が、今の世の中は「過剰な数値化」によりゆがんだ一面も持っています。X(旧Twitter)が「いいね」の可視化をやめたことで大きな話題になりましたが、それによる効果もあったのだとか。これもこの本が指摘する数字による支配の一つの事例なのかもしれません。目標を数値化するとやる気が失われる、とか脳は無意識に数字に反応してしまう、など数字についての新事実が明らかになります。

早川書房といえば『マッキンゼー CEOエクセレンス』がちょっと前に話題になっていたなぁ。と思い出していました。今回は真逆。名実ともに世界を動かす存在となったコンサルティング会社、マッキンゼーの裏の顔を暴くというノンフィクションです。著者はニューヨーク・タイムズのジャーナリスト。環境、倫理への配慮も行っているイメージの会社にもかかわらず、各地において様々な問題を抱えているということが暴かれていきます。特にオピオイド危機の中心にいたことなども報じられていました。そんな裏の顔が明らかになっていく衝撃の1冊。

音楽から社会を読み解く「音楽社会史」

校歌というのは日本独自の文化だそうです。この世界に類を見ない文化はどうやって生まれ、育ってきたのでしょうか。全国の効果やその歌われ方を分析した気になる作品。

今もまだ話題の校歌が産み出され歌われるようになっていますが、明治から現代までの校歌をめぐるドラマが満載です。自分の学校が出てくるかどうか?というのも気になりますね。

日本で『ソフィーの世界』が刊行されたのは1995年のこと。「哲学」というテーマにもかかわらずたちまち話題となり、国内でも200万部を超える(各版あわせ)ベストセラーになりました。こちらは著者、ヨースタイン・ゴルデルの自伝的哲学エッセイ。これまでの作品の中で伝えたかったこと、伝えられなかったこと、今この時代に思う事を詰め込んだ作品です。

ソフィーの世界』から30年となる今、改めて読み直してみるのも良いかもしれません。

最近、小説ではホラーがちょっとしたブームになっています。なぜ、人は怖い話に惹かれるのでしょうか。こちらは映画の話になりますが、ホラー映画を見るときに私たちの脳や心はどうなっているのでしょう。

脳科学や心理学という科学的な視点から恐怖の仕組みを解き明かしていきます。何を恐怖に感じるのか、そもそもなぜホラーを求めるのか。

人を怖がらせるものを作りたいというクリエイター必読の作品でしょう。

夏休み時期に入るため、恐竜・虫・動物に関する本も盛りだくさん。その中でも大人にこそ薦めたい2点をご紹介

ナショナルジオグラフィックが贈る虫大全!

こちらも壮大です。3億年前に爬虫類に進化しなかったグループが哺乳類として我々人類に至るまでの歴史が描かれています。

そろそろ雨の季節です。今年は梅雨入りも梅雨明けも遅そうな気配ですが、どうなるでしょう。雨の季節は読書の季節。素敵な本との出会いがありますように!

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