i-woolを生かす活動、秋は西和賀から。

2020年のアイウール活用への第2弾は、素材となる原毛の毛刈りをしたあと、汚れのひどい部分をより分け(スカーティング)し、洗ってゴミをとる作業ができる人を増やすこと。つまり、汚れた羊毛から素材としての羊毛(アイウール)に価値化する仕組みを、県内各地に増やしていくことです。それによって、ホームスパンの素材として活用しやすく(購入しやすく)なるのもポイントですが、生産者の皆さん自身がフェルトにしたり、紡いで糸にしたり、製品や作品にすることが可能になっていきます。

一関の下大桑の皆さんや、江刺のもっこもこひつじ牧場さんは、すでにそのスキルを得ています。今年は、西和賀町から「ぜひ、洗いかたを覚えたい」と手があがりました。そこで、9月上旬、作り手3名が現地へ出張!生産者の奥さんや地域の女性、福祉作業所のスタッフさんが参加し、講習会を行いました。

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まずは、みんなで羊毛を広げて、汚れのひどい部分をスカーティング。この日の羊毛はナツちゃんは、毛量たっぷり、柔らかくて長めの健康な毛でした。



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熱い湯に汚毛を入れて1時間漬け込んで、汚れを落とし、


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小分けにした羊毛を洗剤を入れたぬるま湯で洗うと、こんなにきれいに!

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すすぎ洗いをして、やっと毛あらいが終わります。

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すすぎの作業には、羊毛の提供者である菊池さんも参加!

ホームスパンの作り手は、洗い済みの羊毛を購入することもありますが、基本的に自分で原毛を洗って、染めて、紡いで、織って、仕上げに縮絨をして整えるまでの行程を一人で行っています。今回は、その第一段階、洗い作業を地域のみんなで一緒に実践してみたわけです。まだ暑い時期、集まってくれたお母さんたち、お疲れ様でした。作家にとっては、羊農家の皆さんと交流することで、作り上げるものへの思いも深まっていきます。

実は、この講習会のあと、お母さんたちは数回にわたって洗い作業を実践!労力を軽減するため、洗濯機を提供するお母さんも!(洗った羊毛を脱水するのに使うのです)。そして、この冬、洗った羊毛を試しに販売してみることにしました。

販売協力いただくのは、盛岡にあるホームスパン教室。講師を務めるホームスパン作家の田中祐子さんはすでに下大桑や江刺の羊毛を使って、アイウールのマフラーなどを制作しています。西和賀町の羊毛にも関心を寄せてくれ、自身が試してみると共に、教室でのテスト販売に協力いただくことに!

赤レンガ101_P9R7742のコピー

写真は、昨年制作した田中さんのアイウール作品

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小分けにパッキングした西和賀の羊毛。いよいよ、アイウールとしてデビューします

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11月末、盛岡市紺屋町のホームスパン教室にて、西和賀町から持参した西和賀の羊毛を触っていただき、価格帯や容量などを相談。グッドデザイン賞受賞を受け、テレビ報道も続いたことから、徐々に認知度が高まっているようで、生徒さんからは「アイウール人気ですよね。使ってみたいです」との声もちらほら。気合いが入ります。

雪深い西和賀町は積雪2メートルにもおよぶ豪雪地帯。暑いところが苦手な羊の生活環境に、実は適しているかもしれません。このエリアでも小さく始まった、アイウール活用の取り組み。洗った羊毛は、作家さん用に販売したり地域のもの作りに活用したりする予定。来春は、毛刈りに合わせて、地元めぐりツアーをしてほしいとの声も出ています!果たして、どう進んでいくか、こちらもお楽しみに!


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