イワテひつじ展から、早2ヵ月。

今年の春、江刺で羊を飼う「もっこもこひつじ牧場」さんのもとを訪ねた。

ホームスパン作家たちが、岩手県で育つ羊の毛を使って、糸を紡いで織って……。果たして、どんなものが生まれるのか!活動の様子を追いかけるつもりが、なんだかんだと、もう冬だ。
実は、その県産羊毛を使った作品展示会が9月に開かれたのである。遅ればせながら、記録の意味も含めて、その模様を少しだけ紹介しておこう。

(写真/平成30年9月28〜30日、滝沢市「茶房結の蔵」で行われた「イワテひつじ展」)

ホームスパン作家が「もっこもこひつじ牧場」こと松島さんから仕入れた数頭分の羊毛。この羊毛を、ホームスパン工房や作家たちが分け合い、思い思いの作品に仕上げた展示会をやったらどうか?そんな発想から、トントンと話が進み、9月に展示会を行うことになった。

(写真/「もっこもこひつじ牧場」のサフォークとコリデール系の羊たち)


実は、昨年度開催した合同展示会をきっかけに、盛岡市内在住のホームスパン作家たちが集うようになっていた(交流と称する飲み会は大事だ)。顔なじみであることは、話は加速するものだ。県産羊は肉用サフォーク種が多く、ホームスパンにはそう馴染みがないのだが、皆前向きで、「どんな糸になるかわからないけど、やってみたい」「メリノに比べればしっかりと弾力があって、短い毛だけれども他の羊毛とブレンドすれば、ストールなどにも使えるのでは」等々、いろんな声があがり、それぞれに必要な分量を分けて、洗って、作品づくりに取り組み始めた。

そして、偶然か必然か……。今年度から岩手県は県産肉用羊の羊毛の活用に動き始めており、「県産羊毛を活用した商品開発事業」の事業内取り組みとして、9月の展示会は開催することになったのだ。

そして、出来上がったのは、マフラー、ストール、マット、バッグ、ブローチ等、県産羊毛を使ったホームスパンやフェルトなどの作品。加えて、10の工房や作家のホームスパン作品も展示販売する「イワテひつじ展」を、滝沢市「茶房結の蔵」にて開催した。(平成30年9月28〜30日)

会場内では、羊一頭分のフリースを展示、素材として使用した羊の写真とプロフィール、その羊毛を実際にみて触れるコーナーも用意した。作家たちの指導による手つむぎ体験やワークショップは満員御礼。羊の木工品や羊クッキーの販売など、なんとも羊まみれ?な空間に、市内外はもちろん、青森や北海道、東京など遠方から足を運んだ来場者も見られ、羊毛好き、ホームスパン好きが集う濃厚な3日間となった。

(写真/羊の写真添えられたプロフィールとその羊毛。実際にみて触れることもできる人気のコーナー)


この「イワテひつじ展」は、肉用に飼われている県産羊の羊毛が生かされることなく捨てられるのであれば、羊毛の質に合わせた使い方があるのでは?という発想から始まった無理のない取り組みの一歩。

展示会を終えた今、県内の生産農家を訪ねて、羊毛の活用状況のヒアリングも進行中である。

(こちらは一関市 下大桑ヒツジの会の羊たち)

同企画展での反応も踏まえ、岩手の羊毛を使った試作品づくりは現在も継続中だ。年明け、その試作品をお披露目する場も予定されている。その情報は追ってまた!何はともあれ、岩手県に羊がいて、ウールが獲れて、それをモノに仕上げる作り手がいることは、なんと豊かなことでしょう。

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