2020 i-wool活動、はじまり。

さて、コロナ禍で岩手にも緊急事態宣言が出された直後の4月19日。生業として羊を飼育する生産者の皆さんにとって必要不可欠な、年に一度の「毛刈り」シーズンです。この日訪ねたのは、昨年も同時期に作り手さんとお邪魔した一関市萩荘の「下大桑ヒツジ飼育の会」。毛刈り見学&羊毛購入させていただいたので、今年も何人か連れ立っていく予定でしたが、状況を踏まえて最少人数で訪問。水野だけでは心許ないので、作り手1名澤村さんも一緒でした。

三密とは縁遠い、広い農地での毛刈り。ちょっと雰囲気をお届けするべく、レポートしておきます。

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毛刈り担当は、昨年同様、松島英彦さん。19頭のサフォーク種を一頭ずつ丁寧に刈っていきます。サフォークは顔や足に毛がないので、比較的毛刈りしやすい品種だそう。

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とはいえ、この大柄な羊を抱え、傷つけることなく毛を刈るのは至難の技。手慣れた松島さんですが、体力と気配りを要する毛刈りシーズンは体調管理も万全にすべく好きなお酒も控えているそう。ご苦労様です!


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今年は、地元の生産者の皆さんにも毛の刈り方を伝授。少しずつスキルを地域の中に蓄え、めん羊を続いていくためです。

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さて、本題となる羊毛のほう。お母さんたちに混じって、澤村さんも羊毛の状態を確認。「あれ、去年も来てたね」と声をかけられた澤村さん。今年は事情も踏まえ、距離を保ちつつ言葉も少なげですが、いつの間にか一緒にスカーテイング(汚れた部分を取り除く)作業をしていました。こうした何気ない関わりこそが重要です。

下大桑の羊はゴミが内部まで入り込まず、紡ぐまでの手間が少ない羊が多いのです。羊によって毛足が長いもの、油が多いタイプ、さらっとしたタイプ、毛が太め細め、クリンプしているしていないと、個体によって異なり、その年によっても違うのは、人間と同じ。羊毛の選び方も、作るモノの用途や作り手の好みによって違うため、こうして、羊を目の前にしながら選ぶことができることは幸せなことです。

この日は、合わせて7頭分の羊毛購入を決めました。生産者は自身が育てた羊の羊毛が誰によって、どんな製品になるのかを知る。一方の作り手も、自身が仕入れる羊毛が誰によって、どのように育てられるのかを知る。生産者と作り手いずれもが、岩手県内で活動しているからこそ、できることですね。

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羊毛にはそれぞれ、飼育農場ごとに様々なナンバーや名称が記されています。果たして、どの羊毛が誰の手で、どんな製品になるのか。5月以降、作り手の元に渡ります。

みなさま、秋以降、どんな製品に生まれ変わるか、お楽しみに。

羊からいただく価値を生かしていく営み「i-woolプロジェクト」3年目。コロナ禍ですので、静かに、静かに、始動です。


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