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『循環』

これは、僕の物語であって

僕の物語では無い。

何かの、誰かの物語に触発されて

僕が記す語りである。

(主義主張は最後尾に記す)


先ずは、僕の師と、その兄弟子の

9年間に渡る、服と人の物語だ。

兄弟子は師の店を、そしてこの土地を去る

違う土地で、来たる季節に服屋を出す為に。

偶然、2人がやりとりをしている場に

9年に渡る、2人の過去の物語と

これからの、其々の未来の物語に

居合わせた

『循環』

その物語に、名前を付けるなら

これだろう

モノを売る、買う

日常的に行われる行為に

どれだけの人が関わっているのか

服に関して言うなら

繊維から始まり、機屋

出来た生地を元に、服を作る職人、デザイナー

その服を取り扱う、販売する

各店舗の店主、店員

その服を買う、人々

聞いた事ある話だ、そこには其々の

思いがあり、想いがある。

その循環

エネルギーと尊さ

そこに対する敬意を忘れない事を

僕も、師に教わった。


兄弟子は

新たに一歩、歩を進めたのだ。

単純に、

僕もそこに行きたい。

心に火があるとして

薪がくべられ

燃え、揺らいだ事を感じる。

そうか、次は僕だ

後を追うわけではないけれど

次は僕の番なのだ。


(同時に現実的な話も勿論浮き彫りにはなるが

それは金銭面での話

単純に仕事を頑張ればいい

俄然やる気をおきる)


次は、そらにいのちを、尊さを感じる

彼女について

彼女のことばをよんだ

かわらずにそこに在る空に

彼女が見出した情緒は

僕が、水平線に見出した情緒と

同質のモノなのだろうと感じた。

変わらずそこに在るモノに抱く

安堵と畏怖、期待と絶望に

心は、揺らぎ騒つく。

揺らぎを見つめる事で

見える自分との対話で

世界と繋がる。


矛盾や混沌こそが、

僕のそのものであると

思い起こさせる。

僕の根底にあるものが

純粋な善意では無く

染りきれない悪意だと

浮き彫りになっていった日々に

心を病んだ事を思い出す。

それも、今は受け入れている。

善き人でありたいと

悪意が揺らぐ事で

僕は均衡を保って生きていると自覚している。

偽物の善意で

僕は人に優しくいられる。

優しくいたいと心から思う相手がいる。

強い信念で、虚構を演じることが出来る。

彼女の存在で、僕はホンモノの偽物でいられる。


閑話休題

循環について話を戻す。

詰まる所、僕が今回残したかった言葉は

簡潔に完結させる事が出来るのに

相変わらず、長々と語ってしまうこの癖を

治すべきか否か、こればかしは

未だ折り合いがつけられていない。


人から人へ受け継がれる

技術/technology

哲学/philosophy

主張/ism

これらを繋いでいく事に

循環させていく事に

生きていく、価値がある。

師と兄弟子、僕と彼女は其々に

服と言葉で

それらを繋いでいる。

その循環の中に

僕等は身を投じた事を意識して

何が出来るか、残せるか

常に問い続けていく。


服を通して伝えたい事が多くある。

彼女と出会って、彼女の感覚に触れて

その気持ちは

日々確かなものになっていく。

そして今日の、師と兄弟子との対話に感化され

それに拍車がかかる。

その状況で、彼女の言葉に触れ

突如熱いモノが、身体に流れ出した。

夢も希望も無いように思えて仕方ない

昨今の世界で

生きる希望を見出せる事がどれ程幸運か

心からの感謝を

彼等へそして彼女へ贈る。




















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