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ため息俳句73  クレマチス

ニュースは、各地で季節外れの夏日となったと報じている。
午後一時前、車を出そうとしたら外気温は31度であった。
我が家の「鉄線」、この数日で盛りとなった。

「鉄線」といわれてもはてなと思われる方も多いだろう。知ったかぶり癖のある小生が口にする花の名で、妻はクレマチスと普通に云っている。
その「鉄線」という中国名の語源は、実際にこの花の蔓に触れれば、その通りだと直ぐに納得できる。しっかりとした強度のある蔓である。鉄線とはそういう意味では、誰でもが抱く感想そのまま、凡庸であるがこれ以外はないという命名であった。中国では「鉄線蓮」というとか。そういうことで、クレマチスというより「鉄線」とつい云いたくなるのだ。
そうして、クレマチスの風車のように咲くのは、あれは花弁ではなく萼が変化したものだという。
いま我が家の庭先に咲いているのは、園芸種として品種改良された大輪のクレマチスであるが、そうした交配のもとになっているものの一つに、日本原産のカザグルマ(風車)いう花があるそうだ。また、「鉄線」というのは中国原産だという。これらが、交配されてさまざまな園芸種のクレマチスができたのだそうな。

そういう意味では、自然のあるがままでなく、人の手によって作り出されたそうした花なのだ。

鉄線と呼ばれ切なしクレマチス

故郷はいづれなるかなクレマチス

買われきてここに根付きしクレマチス

青空に翳せば妖しクレマチス

目も耳も蔽うに足るるクレマチス

わが母も恋はしたろうクレマチス