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AED講習に行ってきました

2年前、息子が、心肺停止になり、AEDのお世話になった(詳細は、こちらにアクセスして下さい↓)。
16才 WPW症候群で心肺停止(みずえ) - カクヨム (kakuyomu.jp)
息子を助けて下さった方々に対しての恩返しの気持ちで、自分も、何かあった時には躊躇なくAEDが使える様になりたいと思った。けれど、コロナの影響で、こういった講習会では募集人数が少なかったり、リモートだったりで、申し込むには至らなかった。その後、コロナが五類に移行され、やっと“体験が出来る講習会“が催しされる様になったので、さっそく申し込みをして参加してきた。

参加者は10人。ざっと見て、私が一番若そうだった事に驚いた。恐らく平均年齢70才くらいじゃないかなあ。女性9人、男性1人だった。
講師の方の最初のご挨拶の中で「皆さん、今日、この施設に入られた時、AEDが何処にあるか、確認されましたか?」とおっしゃった。私は、心の中で「あっ!まずい。すっかり忘れていた」と思った。息子が倒れて、手術して、退院してからは、出先ではAEDの場所を目で確認していたのに、次第にそういう事をしなくなっていた。まだ2年しか経っていないのに…と反省した。この時点で、もう「今日は、参加できて、本当に良かった」と思った。
講習会は、最初の30分は、資料や映像を見ながらの講義だった。講師の方が「ショッキングな映像もありますから、気分が悪くなった方は、その時だけ退席されても良いですから。無理はしない様にして下さい」と言う様な事をおっしゃった。私は「ああ、ダメかも知れない」と思った。息子が心肺停止で救急搬送されてから、救急車の音や、電話の音、映画やニュースで救急対応しているシーンを見たりすると、心臓がバクバクし、冷や汗が出て、しばらくうち沈んだ気持ちになってしまうので。案の定、人が倒れたシーンが流れた。これが、再現VTRではなく、ホームビデオや防犯カメラに写った実写だと言う事がわかったので、そのリアルさに、心臓がバクバクしだし、自然に涙がでてしまった。でも、こういう時に、一人だけ席を立つのも勇気がいる。幸い、映像はほんの数分で終わり、解説になったので、何とか最後まで講義を聴く事ができた。
映像の内容は、1つは、空手の試合中に相手の蹴りが胸に当たった時、もう1つはバスケットの試合中にボールが胸に当たった時におこった。当たった人は、その瞬間は普通に立っていたけれど、数秒後に崩れる様に倒れた。人が倒れた瞬間、周囲の反応は、呆然と突っ立っている人、かけよる人、AEDを持って来る人など、さまざまだった。皆が、パニックを起こしても無理はないな…と言う感じだった。実際は、こういう時に、冷静に判断するって、とても難しいだろう。
AEDを使った講習を受講するのは、これが5回目くらい。いずれも、10年以上前の体験。今回、改めて体験をして、10年前とは違うなあと感じた。まず機械の性能が上がっている。今は、自動音声で操作を指示してくれる物が主流の様だ。器具にも、すぐに理解できる様な説明が記載されていた。以前の講習では、胸部圧迫をする時の早さは「もしもし亀よ、亀さんよ~」の唄のリズムで押すと良いと説明を受けたが、今は、それよりも早いリズムで押すのが主流みたいだ。講師の方はスマホでそのリズム音を流して下さったが、AEDにも付いていて、スイッチをオンにしたら、自動的にその音が流れた。マッサージをする人形も10年前に比べてリアルだった。10年前の講習では「胸部圧迫+人工呼吸を繰り返して下さい」と教わったが、今は人工呼吸は推奨していない様だった。それよりも、胸部圧迫を続けていた方が結果が良いとおっしゃっていた。
やはり、こういう事は、何度も体験して身体で覚えるしかないなと思った。自分は年々衰えて行くが、情報も、機械も、バージョンアップしていくだろうから、年に一回でも体験できると良いなあと思った。

<今回の講義での要点>
・施設に入ったらまずどこにAEDが設置されているか確認する事が大事
・胸部に何らかの衝撃があった場合(心臓震盪)でも、心肺停止する事がある
・どんな場所でも心肺停止する可能性はある
・心肺停止=死ではないので、諦めずに蘇生を試みる
・携帯で119を呼ぶ時は、住所や目印になる物をハッキリと言ったほうが良い。GPSでは、おおよその場所しか解らない
・一人の時は、まず助けを呼ぶ(山の中などの場合は別。ケースバイケースで臨機応変に)
・死戦期の呼吸は正常な呼吸ではない。息があるかどうかは、脈を測るよりも、胸とお腹の動きで確認をする。脈をはかるのは素人には難しい
・呼びかけに反応がなく、しっかりとした呼吸がなければ心肺停止と判断し、胸骨圧迫をする。出血していたら、清潔な布などで患部を押さえる
・何人か人がいたら、「119に電話をして下さい」「AEDを探して来て下さい」と指示し、数人で胸部圧迫を交代しながら行う。胸部圧迫は2分くらいで交代すると良い。2分続けるのは、意外と大変なので。
・胸部圧迫は1分間に100~120回の早さで、押す力は胸が約5㎝ヘコむくらい。6㎝だと強すぎる。でも、素人が5㎝もへこませるくらい押すのはとても大変。
・AEDには子供と成人の切り替えスイッチがある物もある。小学生以下が子供。小学生は成人のスイッチで
・ペースメーカーをしていたら、その部分をさけて、電極パットをつける(最近は、見た目では解らない物もあるが…)
・ブラジャーの金具・ピアス・ボディーピアスなどの金属は、パットに接触していなければ気にしなくて良い
・身体が濡れていたり、装置に衣類・金属等が接触していない状態で、パットを装着する

ケースバイケースで、いろんなシチュエーションがあるだろう。倒れた人が抱えている持病や、服薬している薬、出血の有無、腹部損傷等。判断に悩んだら、119の方に聞きながら対応するのが良いのかナ、と思った。
実際に、何度も経験してみないと、何が出来て、何が出来ないか解らないけれど、本来は、AEDを使わないといけない様な事がない事が望ましいのだ。

また、機会があったら参加したいと思う。