「私らしい作画」の作画ってなんだ? 〜自問自答×イメコン〜


先日、こんなnoteを書きました☟


これから先、何度もこの話をし続けると思うので、
「そもそも作画って何?」についてのnoteです。

あくまで、
私がこの話をするときはこんなニュアンスだよ
というだけですが、

受け取り方がたくさんあると思うのであらためて ५✍


例のごとく、この分野にものすごく精通しているわけではないので、その点ご了承ください!



作画ってなに?


早速ですが、
誰かに「似ている」と言われたことはありますか?


自他ともに認める「そっくり」ということもあれば、え〜〜似てる??と思うこともありますよね。

ひとくくりで「作画が近い」ということもできますが、その作画にもいろいろあるので、3つに分けてみました☟


①造形
②タッチ
③世界観

あたりがわかりやすいかな?と思います。


①造形

これが一番わかりやすい。たまに「お、同じところで生産されたのかな?」「天界の同じデザイナー作かな?」みたいな人っていませんか?
私にとっては姉がそうです。まぎれもなく同じ生産ライン(そりゃあそう)

メイクを覚えて、お互いに自分たちの持ち味を活かした服を着るようになってからはまったくですが、高校、大学生ぐらいまでは本当によく似ていると言われました。
あとは顔タイプが近い人が多いかな。

「まあ、つくりは近いかも?」という感じ。

②タッチ

私が「作画」というときは8割方ここを指しています。「同じ画材を使ってるな」「この表現技法はあの職人の作品だな」みたいな感じかな。


主線の太い細いとか、細部の描き込みの如何や、塗りのタッチ。

そもそも、絵?写真?何でできてる?デジタル?アナログ?水彩?油彩?アクリル?マットタイプ?
何に描かれてる?さらっとした紙なのか、スケッチブックか、目の粗いキャンバスか。仕上がりの表面は?つるっとしてる?筆の跡が残って凸凹してる?配色は?
みたいな感じでしょうか。

ファッションでいうと、お洋服の質感、素材感や重心の置き方、柄のタッチ、装飾の加え方。
きらきらさせたい・ぎらぎらさせたい、断然マット!や、コントラストはいらない、リブは畝が太くて深いのがいい、などはタッチに直結しますよね。


③世界観

ファッションでいうところのテイストやジャンルが近い気がします。

どんな風景、国が舞台?テーマは?時代設定・背景は?漫画なら掲載誌はどこ?絵ならどこに飾る?写真ならどこで、いつ撮る?

わかりやすいイメージを与えやすくて、直接的な主張も伝えやすい。テーマ設定もしやすいですよね。



「私らしさ」と絵のタッチ


世界観の方がなんとなくのイメージが伝わりやすそうなのに、なんで作画タッチや表現技法に「私らしさ」を感じるの?

誤解なきように伝えたいのは、世界観も大事。

でも、絶対的な軸であり、土台として「私らしさ」を下支えしているのがタッチ表現技法だと思っている。


私の手持ちの画材を使うと、私の手癖では無意識のうちにどうしてもそのタッチになる。

別の画材を使って、別の技法で描こうとすると、どうにも納得いく仕上がりにならない。


鏡の前で小物を足したり、アイテムを変えたり、ああでもないこうでもないしていると、「気づいたらそうなっている」のが私にとってのタッチ

納得いく仕上がりになりやすいのはこの柄タッチ、質感、ハリ感。

使う色はちがえど基本的にいつもトーンオントーン配色。

青を使ったら自動的に白を入れて、そこにゴールドか黄色をあわせてしまう。



視野を狭めているように見えるかもしれないけど、むしろ逆。

自分の使いやすい画材を見つけて、得意な技法を確立しただけで、自分の得意画材得意なタッチを使えば納得のいく仕上がりのまま、いろいろなお洋服にチャレンジできる。


どんなモチーフでも、自分の画材で、自分のタッチで描かせてもらえると、それだけで私の世界観に引きずり込みやすくなる。



レモンモチーフはいろいろあるけど、私が得意なタッチはボタニカルアートのレモン。「このモチーフが欲しい」と思ったときに、得意なものを探しやすくなった。


〇〇の作画だから、世界観が際立つ



得意なタッチや表現技法を活かした世界観って何?というのは、やっぱり漫画だとわかりやすい。


たとえば、『BLEACH』の久保帯人先生。

(私はただの読者なので漫画に対してものすごく造詣が深いわけではないけど)彼はすごく潔い色づかいやコマ割りをするなと思う。



余白をしっかりと活かして、黒と白を対比で際立たせていて、私ならこの潔さに耐えられなくてもっとこちゃこちゃ描き込んじゃいそう(肩を並べようとするな)

『BLEACH』という作品は、黒と白というものが重要な意味をもっていることもあり、久保先生のこの作画だから、という気持ちにさせられる。


『進撃の巨人』の諫山創先生は、担当編集から「もっと線をきれいに描くように」とずっと言われ続け、自分の線を汚いとは思わないとその意見をはねのけていたらしい。


私は諫山先生の少し荒々しい線は、作中のバトルに疾走感を与えていると思うし、等身もサイズも挙動もばらつきのある巨人たちは得体の知れなさがあって好きだ。

いや、好きか嫌いかでいうと好きではないけど、きっとあの一貫性のなさ?ランダムさ?が、巨人の魅力に繋がっているんだと思う。

諫山先生のこの線、このタッチだからこそ、この世界観やストーリーの魅力が最大化されているのだと思う。


得意なタッチをコーデで表現


世界観を先に決めて、そこから自分のいつもの手癖、いつものタッチで描けばいいじゃん?と思ったこともある。

でもそうすると思うように仕上がらず、「な〜んか思ってたのとちがう」とよくなっていた。


たとえば、

艶っとした黒いライダースにシルバーアクセでコーデを組むと、シュッとかっこいいイメージになりやすい。

作画で言うと、艶が欲しくて余計な描き込みはいらないタイプ?デジタル絵や写真で素敵になりそう。




その世界観を目指してコーデを組んだとして、

まず、私はお洋服の艶が苦手で、つるっとしたシルバーアクセも得意ではない。


黒トップスを着るならベタ塗りに見えないように全面を得意な曲線的なレース仕立てにして、レザーはシボ感があって柔らかく丸いフォルムのものをゆったり襟抜きにして着たい。



シルバーアクセは苦手なので外す。

(ちなみに黒が苦手なのにトップスを他の色に変えないのは、コントラストをつけたくないから)




そうしてできあがったコーデは、

全面にあしらった曲線レースの細かい細かい描き込みで潔いイメージからは離れるし、かっこいい!シュッ!洗練!クール!なイメージからはどうしても離れる。


見ようによっては、モード風な装いにはなるから、好きで着るなら全然OK。

ただ、かっこいい!シュッ!洗練!クール!を目指していたなら、私は納得しないと思う。
艶や黒や潔さが得意で、シルバーアクセで決まる人と比べると、「もっと他にあるのでは?」と思ってしまう。

私が描くタッチの世界では、黒はシュッとかっこいいよりも、華やかで甘い上品な大人っぽさになるので(ただし印象はかっこよくない)それを求めているならあり。


得意なタッチで世界観を確立



私がいつも多用しているタッチや表現技法で、その世界観を上手に表現できるか?

このアイテムたちで組んだコーデは、望んだ世界観に仕上がるか?

をずっと考えていた私は、お洋服の質感素材感、そして配色を何よりも大事にしている。


チュールやふわふわしたシフォン素材やファーといった軽やかな素材が得意だと甘い世界観を表現しやすいし、


毛足の長いニット素材やストロー素材・麻・革・コルクなどの自然由来の素材が得意だとあたたかみのある、もしくは気さくな世界観を作り上げやすい。


洗濯したあとにすぐに乾きそうな、艶々した素材やシャカシャカした素材、アクティブな印象を与えるビタミンカラーやバイカラーのアイテムを選ぶと、エネルギッシュで動的な印象になりやすい。


「当社比〇〇コーデ」「〇〇風コーデ」をその日の気分でするぶんにはそこまで意識しなくてもいいかもしれないけど、

私の魅力を最大限に活かしたメインの世界観・テイストを定めるのであれば、
自分の意図する印象になっているか?その世界観を表現できているか?は無視できない。


狙ってやるのとうっかりはちがう


「せっかくテイスト的なイメージはばっちりなのに、色を変えると、素材・質感を変えると、着地のイメージがずれてしまった」

私が過去によくやっていた失敗。


イメコンを「イメージコントロール」にも使いたい私、できるだけ意図した印象を狙って与えたい。


色彩心理というものもあるし、

うっかりユニコーンになるよりも、自分の意思でユニコーンになって、あの手この手を駆使して完璧なユニコーンの世界観を表現したい。

Salon萠Twitter(@salon_MO_)より
(画像が元ツイートのリンクになっています)


「え?!私は馬のつもりだったんですけど?!」
とはなりたくない。


「一般人は顔映りなんて気にしない」と言う人もいる。

気にしない人は気にしなくてもいいけど、私は顔に影が映り込みやすくて、暗い色を身につけると急に変な影が顔に浮かび上がるのが写真でもわかる。


劇画タッチになれたらそれはそれでかっこよかったけど、現実は甘くなく、私のそれはガラスの仮面のガガーン!


そんなつもりないのに、うっかりガガーン!になっていたら悲しい。

大人っぽい華やかさを優先したいときは得意タッチに寄せて黒も着る。
それでも、黒を着ている日は「今日はガガーンになりやすい日!」と思いながら出かけている。


わかったうえで自分の意志でやるのと、うっかりじゃちがう、私はそこを大事にしたくてイメコンをしている。


「私らしい」作画とファッション


私の得意な作画タッチ、表現技法だからこそ、魅力を最大限に引き出せる世界観・テイスト。


苦手なものも「私らしい世界観」に引きずり込める作画タッチ、表現技法。

私だからこその個性を活かしながら、

しっかりとした世界観を確立する。

そうやって突き詰めた先の
自分にしかできないファッションを楽しみたい。


ひと目で私だとわかる作画が欲しい。








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