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現代語訳『さいき』

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御伽草子『さいき』の現代語訳(全訳)です。
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2023年1月の記事一覧

現代語訳『さいき』(その23)

 手紙を受け取った女は大いに喜び、すぐに都を立った。その後、豊前国《ぶぜんのくに》にある…

たま
1年前
5

現代語訳『さいき』(その22)

『長らくの不義理をどうかご容赦ください。心苦しい日々を過ごしていたところにあなたから消息…

たま
1年前
7

現代語訳『さいき』(その21)

 一通りの準備が整うと、正室は急病を患った振《ふ》りをして佐伯を呼び寄せた。 「体調が思…

たま
1年前
5

現代語訳『さいき』(その20)

 一計を案じ、鷹狩《たかが》りから帰ってきた佐伯にさっそく相談を持ち掛けた。 「わたくし…

たま
1年前
4

現代語訳『さいき』(その19)

 読み終えた佐伯の正室は大きな嘆息をついた。 「何と愛らしく趣《おもむき》のある恋文でし…

たま
1年前
5

現代語訳『さいき』(その18)

 手紙の最後に歌と共に、佐伯《さいき》が都を立つ際に形見として渡した鬢《びん》の髪が添え…

たま
1年前
12

現代語訳『さいき』(その17)

(続く) ★  女からの手紙(その3)です。  前回(その2)は率直で分かりやすい表現でつづられていましたが、また少し難しめの表現に戻っています。締めに近づいたことを意識し、やや冷静さを取り戻したのでしょうか。  ただ、鳥がテーマの多くを占めてはいるものの、方向性が異なる鏡や海などの要素も入り交じっていて、あまり洗練されてはいませんが、情緒不安定な感じがして個人的に好きな書き方です。  手紙の本文は以上で、最後に歌が添えられています。  それでは次回にまたお会いし

現代語訳『さいき』(その16)

(続く) ★  女からの手紙(その2)です。  前回(その1)は枯れた草の例えで疲れ切った…

たま
1年前
3

現代語訳『さいき』(その15)

(続く) ★  女からの手紙の内容(その1)です。  迎えどころか便りすらないことに疲れ果…

たま
1年前
5

現代語訳『さいき』(その14)

 代わりに手紙を受け取った佐伯の正室は、首を傾《かし》げながら封を切り、綴《つづ》られた…

たま
1年前
7

現代語訳『さいき』(その13)

 やがて僧は豊前国《ぶぜんのくに》にある佐伯《さいき》の館《やかた》にたどり着いた。 「…

たま
1年前
4

現代語訳『さいき』(その12)

 ある日のこと、女は清水寺で一人の僧と知り合った。鎌倉からやって来た行脚僧《あんぎゃそう…

たま
1年前
5

現代語訳『さいき』(その11)

 一方、京に残された女は、何の音沙汰もないことに待ちわびていた。そよ風が吹く度に「ひょっ…

たま
1年前
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現代語訳『さいき』(その10)

 その後、佐伯は無事に豊前国《ぶぜんのくに》の館《やかた》に到着した。本領が安堵《あんど》されたことを知った家の者たちは沸き立ち、毎夜のように盛大な酒宴が開かれ、歌い踊りながら歓喜を分かち合った。  こうして日々を重ねるうちに三年の月日が過ぎ去ったが、佐伯は女の元に迎えを遣わそうとはしなかった。 (続く) ★  佐伯は大分県にある自宅に戻りました。幕府に領地が認められたことを知った人々は喜び、盛大な宴が催されます。  瞬く間に月日が流れ、――三年が過ぎても女を迎えに行こ