9/17 Liveコラム “out of the livingroom”

演奏の機会も減り、音楽を語る機会も減り、音楽との向き合い方を迷走し、若さゆえの過ちを始めました
文字を書いたことがない素人の感想です

会場まで

三連休初日。特急あずさに乗り、いざ初の松本へ。旅で生まれた曲が奏でられるライブを旅先で聴くのである。
松本は山に囲まれた城下町。雪国盆地の城下町育ちとしては見慣れた風景かと思いきや、山が近く、大きく、連なっていて圧倒される。今日のライブはこの旅のワクワクと、山々への憧憬に重なる。
駅から松本城へ向かい、四十神社のある縄手通りへ。藝祭で見慣れた材質のカエル侍の神輿が出迎えてくれた。
綺麗に整備された江戸風な新しい通りを、四十神社の神前式の和装夫婦に、御伽の国から出たようなメルヘンおばさま集団、カエル像と鳩集団、大きい鳥居の後ろの電波塔など、カオスな度量の広さに感心しつつ抜けたら、テラスと看板が左手に見え、素敵な会場storyhouse cafe&barに到着だ。

ライブ

KondoMinako 1st Album “Livingroom musics”
リリース記念ライブツアー“out of the livingroom”
本日のライブのメンバーは、
近藤美奈子(作曲、コンサーティーナ、ピアノ)
奥貫史子(フィドル) 熊本明夫(アイリッシュフルート、イーリアンパイプス)、中村大史(ギター、ピアノ、ブズーキ、アコーディオン)、
早川智絢(ギター、バンジョー)、松野直昭 (ギター)

キャッチーな表現としては、山好きな近藤さんの旅や出会い、生活を通じて旅先・自宅でのピアノから生まれた音楽達。選りすぐりの曲を、名うてのアイルランド音楽演奏家勢揃いで奏でたアルバム、待望のリリースツアー最終日、松本編だ。

アルバムツアーだが、リリース後も曲は生まれ続け、オープニングは全員演奏で5月に出来た新曲のサプライズ。日々生まれてきている音楽のライブだと、改めて感じる始まりだ。
そして作曲家のアルバムのライブということで、曲ごとにミュージシャンが入れ替わっていく。近藤さん本人も入らない曲もあり、ステージ横でニコニコ聴いていて、いい演奏にこちらも釣られて笑顔になる。

演奏されるLivingroom musics。曲ごとに生まれた物語がある。別府に行った時、山梨での生活や、山の上から見た景色、フェリー移動、旅先で聞いた世界一周の話、買出しの留守番中などなど。MCを聞き、思いを馳せながら演奏を聴く。
作曲者本人がいて自然に生まれてきた曲のライブならではの感慨深さだ。

会場に描かれている世界地図を背景に進むライブはまさに旅を想起させた。とくに茨城の世界一周を夢見たオーナーとの話からできた曲は、後ろの世界地図が物語とリンクして浮かび上がってきた。

エンディングは、これまたアルバム後に出来た新曲のポルカ。メロディーが駆け上がる斬新さで会場を盛り上げながら、拍手喝采で終幕を迎えた。

セッション

終幕後はセッションだ。
ピアノが会場にあるいつもと違うセッション。中村さん(アニーさん)が後半からピアノを弾き始め、一気に華やぐ。アプローチもブズーキ、ギターとまた異なっていて、気になって聞いたら面白い話を聞けた。
railway polkaがアニーさんのアコーディオンを借りてアニーさんのピアノ伴奏でセッションが始まったのも印象的な瞬間であった。
奥貫さん、熊本さん、早川さん、松野さんのセッションを聴きにきたのも目的の一つで、幸せな時間。S-celtとOBOGの皆さんが大勢参加し、ピアノに負けない大合奏で圧倒なセッションだった。

感想

近藤さんの作る曲がとてもいい。一度聴いたら、耳に残る。情景が浮かぶ。緩急が感情を射抜く。
同世代で近い音楽を聴いてきたからか、琴線に触れるメロディー。盛り上げどころがあるライブ映えする曲で、曲がいいとライブもより楽しい。

今回、アルバムでフルート須貝さん、イーリアンパイプス金子さんが演奏しているパートを、フルート/イーリアンパイプスで熊本さんや、フィドルで奥貫さん、コンサティーナで近藤さんで演奏したライブ版の違いがまた面白い。
特にフルートで熊本さんと須貝さんの違いが、トラッドとは違う曲であることで、装飾や呼吸の間で自分には黙々と突き進むようなイメージと優しくしっかりとかけていくようなイメージで際立って聴こえてとても面白かった。

ツアーはラストだが、いつかアルバムの参加ミュージシャン全員を集めたライブをやりたいそう。
実現するとアイルランド音楽のみならず、これまた自分も好きな同世代のブルーグラス のミュージシャンも集まる盛大なライブだ。
是非、目撃して欲しい。(やるかは分からない)

そしてstoryhouse cafe&barは、宿泊もでき、飲み明かして縄手通りの夜風に当たるのも気持ちいい素敵な場所でした。
初長野県はいいところだなと帰路につき5日後、2度目の長野県でFisdaNでケーリーを楽しんだのはまた別のお話。

個人的に

本アルバムは収録に立ち会った自分にとって特別なアルバムだ。“Livingroom musics”の原点は彼女のピアノ演奏のSNS投稿。出来上がってくる曲が好きで、アルバム収録のお手伝いに願い出た。

アルバム収録時に立ち会い、ミュージシャン以外で誰よりも生で聴いた音楽。
それが目の前で生演奏のライブで、素敵な曲が奏でられ、収録と違ったライブ編成の驚きなど誰にもできない喜びが溢れました。

最後に

聴いていて楽しい曲で、日本で生まれたこの曲が、日本のセッションで自然に出るようになったらいいなぁ。

※過剰な書き物なので、半フィクションです。是非自分の足で観に行ってください

Livingroom musics 購入方法&楽譜

https://kondominako.myportfolio.com/schedule

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