”被災地”になった日
仕事終わりに帰ろうとすると,いつもの道が海になっていました.
帰宅中にも携帯に避難指示を知らせるアラームが鳴り響き,線路向こうの大通りからは避難を呼びかける放送が聞こえました.
あぁ,いつもと違う.
非日常はこうして,備える暇もなくやってきました.
家の横に川が流れていることもあり,その日は近所に開設された避難所へ向かいました.
アリーナの隅っこで,寝袋にくるまりながら,一人でいる心ぼそさを感じました.
外からは,轟々という地鳴りのような雨の音が響き,中からは泣き出してしまう子供の声が反響します.
シン・ゴジラに出てきた,
「避難とは,住民に生活を根こそぎ捨てさせることだ」
というセリフが頭の中をよぎりました.
自分で調整できていた時間,空間などが,かなり大勢の団体で過ごす空間に変わる.
一人暮らしをしている僕には,とてもストレスを感じる一夜でした.
それでも安心できたのは,夜通し作業されていた職員の方々のおかげでした.本当に感謝しています.
幸いにも,家の周辺に大きな被害は出ませんでしたが,引越し前に住むことを検討していた地域は,大きな土砂災害が発生していました.
こうして文章を書いていられるのは,”たまたま”,そこに住んでいなかったからということの他にありません.
ニュースで知る大きな災害は,やはりどこか他人事に感じていたのです.
自分の住む場所が”被災地”として認識されるようになってから,やっとそのことに気づかされました.
この豪雨災害ではたくさんの人が傷ついています.
梅雨が季節の風物詩ではなく,人の命を奪う恐ろしいものに変わってしまわないことを願うばかりです.
被害に遭われた方の一早い回復と,亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします.
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