コロナ禍における同人誌即売会を開催するリスク(原稿進捗)

/*毎回書くヘッダ
C99において頒布する原稿のうち、今日進めた一部を宣伝も兼ねて公開します。頒布する際にはイラストと図が追加され、また変わる可能性もありますが雰囲気と概要は掴めるかと思います。
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前文

コロナ禍の現在、同人誌即売会を開くことには大きなリスクが生じます。国が大人数でのイベントを制限したことからも、それは明らかです。ただ、「リスクがあるね、怖いよね」で終わらせることには全く意味はありません。どのようなリスクがあるかを考えることで、それらの対策を考え、よっていかに安全に同人誌即売会を開くか。そのことについて考えていきたいと思います。

今日の記事では、リスクをたくさん挙げていきます。しかし、あくまでも筆者の意図は、無限に楽しい同人誌即売会をいかに安全に開催できるかを考えることです。本稿を、同人誌即売会を開催しない根拠として利用することは最大級の修飾語をもってお断りいたします。

即売会を開くこと自体のリスク

書いたり読んでいてあまり楽しい内容ではありませんが、やはりコロナのご時世では、即売会を開くこと自体にリスクは存在します。会話並びに金銭やモノの交換を行うことが同人誌即売会の目的であるため、不特定多数が集まってそれらの接触が行われるからです。このようなイベントでは、普段の生活基盤や職場とはまた別の人間関係が構築されている可能性があります。つまり、日常の生活圏が重ならない人たちが集まる事によるリスクが問題視されます。

古くからあったり熱意のあるファンを多く抱えるジャンルでは、同人誌即売会というイベントが同窓会やオフ会状態になることはよくあります。そこでテンションが上がって大声で会話することはよく見る景色です。大声とは強い呼吸によりもたらされるため、その分唾液の飛沫が強く飛散することが予想されます。

コスプレも、リスクを高める要因となります。まず、更衣室は狭かったり空調の弱い部屋を転用することが、コロナ禍前にはよくありました。様々な会場の小部屋であったり、給湯室や倉庫など。特に狭いと感じたのは、馬喰町のサンライズビル2Fの照明・音響調整室です。暗くて縦長の4畳半程度の中で更衣をしていたさやかちゃん(男)のレイヤーなど、大変だったと思います。今はそのような空気流通のなさそうな部屋での更衣は間違いなく不可でしょう。リスクが大きすぎます。

コスプレしている状態での会話自体は、特にコスプレしていない状態と大きな差はないと思われます。多少テンションが高くなったりパフォーマンスをし始めたりする人の割合が高い気はしますが、大勢に影響はないレベルです。

ただし撮影時、これは注意が必要です。

ほとんどのキャラは作品中ではマスクをしていません。ボンドルド卿や『東京喰種』のカネキ君、『鬼滅の刃』の伊黒小芭内などはマスクをしているので、なんとかなりそうです。ただしタキシード仮面や『武装錬金』の蝶人パピヨン、あんたらはダメだ。変態仮面は……この文脈なら……許すしかなかろう……!!

列に並んでいる間のリスク

すでに接触感染対策の項で述べたように、単純に並んでいるだけでは、きちんと距離さえ取っていればそこまで大きなリスクとは考えにくい状況になっています。風通しの悪い場所で長時間待機することになるとリスクは上がりますが、それでも並ばせる側の人たちは当然そのリスクは想定に入れるため、対策を取るはずなので。

ただし、最後尾になった人が順番に掲げる最後尾札。これはリスクなりえます。

最後尾札は、列の最後にいる人が持つことが慣例となっているサークル名やサークルスペースを表示するB4くらいの厚紙です。ただのペラ紙では曲がってしまうので、なにかしらの持ちやすくなる工夫をしているサークルが多いです。サークルが用意する場合はお品書きなどが書かれ、非常に手の混んだものになることもあります。特に大手などの慣れているサークルは。列が伸びた際、応急的にスタッフによって作成されたものは、逆にシンプルなことが多いです。決められたフォーマットの場合もあれば、ただのA4のペラ紙、場合によっては裏紙にサークル名だけが書かれたものもれっきとした最後尾札です。

さて、この最後尾札は多くの人が手で触れることが想定されるので、持つことになる並んでいる人は手袋を介して触れることや、その他対策が必要となります。最後尾札を持つ専用のサークルスタッフが必要になることも想定に入れる必要があるかもしれませんが、それはコミケでの壁やシャッタークラスなど、よっぽどの大規模サークルくらいかと思います。

打ち上げのリスク

大変な思いをしてなんとかひねり出した同人誌を世に出し終わったら、同好の士で語り合ったり飲んだりをしたくなるのは人の性。わかる。運営側としても、現場のスタッフをねぎらう意味で打ち上げをすることはコロナ前は当然のこととしてあったと聞きます。過去には、大規模イベントでは打ち上げだけでなく前日の机椅子を設営したあと、ビールサーバーやポップコーンマシンを持ち込んでの前夜祭に加え、数百人で打ち上げをすることもあったとか。前夜祭で舟盛りが出る京都の海の方のイベントでは、前後不覚になる人が何人も出たとかの噂もあります。2021年ではリスクを考えるととてもそんなことはできない雰囲気なのは寂しいです。

コロナ禍の中では会食が非推奨になっているため、残念ながら打ち上げはほとんど望めない状況になっています。お店でも会食は4人までに限るなどの制限を掛けているところもあるので、打ち上げを行う難易度は限りなく高いのが現状です。

イベント後の打ち上げを仮に強行した場合、参加人数が多ければその分各種SNSに打ち上げ風景を共有し、イベントが炎上することも予想されますし。黙ってやればいいものを……。

規模が少ないイベントであれば、そもそも少人数であるため、打ち上げもある程度は可能かもしれませんね。人数が少なければ、すなわちリスクは少なくなります。キャリアが出席する可能性が低くなれば、リスクはそのまま低くなるので。

次に、これらのリスクへの対策について考えたいと思います。三密を避けながら、もっともやりたいことをなんとかやりきるための考え方です。

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