見出し画像

友達と山登り

数年前の話ですが、
 山登り好きな友達がいました。

ある日、近くの県内の山を登ろうという約束をしました。
そこまで深い山ではないけど
ハイキングコースから
ふたりで登りました。

野鳥の声を聴きながら。

ひとつの山を登りきった時
野鳥のためなのか
石でできた浅い皿のような飲み場がありました。

そこに
雀たちが水を飲みに来てるのです。
別の場所で
他の鳥たちが 水浴びするところを見たことあるのですが、
みんなちゃんと順番待ちしてます。
凄いです。

この飲み場でも
一羽が周りを警戒しながら
美味しそうに 嘴で水を掬って
上を向いて ごくん。
その側で数羽の雀たちが
待ってる。
可愛い。

呼吸止めて見てしまいました。
呼吸察知しそうな気がして 邪魔したくなかったです。


 小さな山ではあるけど
結構 きつくて
やっと登った、さぁ帰ろう、と思い、
解放気分でいっぱいだったわたしに

友達は言います。


にこにこしながら
「次は あの山いこう」

え。
もう体力使い果たした…
「まだいくの?」

「縦走するよ」


聞いてなかった気がするんだけど…
聞いてたっけ…
いや聞いてないよな…

「縦走するよ」
の無垢な表情には負けた。

ひとつの山の頂上から見る
次の山は 
とても遠いです。
ちょっと脱力…。

でもすぐに切り替え。
登り始めると
さっきの山より 急斜面でした。
岩もあるし 
岩を避けながら
しっかりした木の枝を 時には掴みながら。
ピッチ上げて登っていきます。

 途中で 数回 休憩もらって
登りきりました。
そのあと
見晴らしのいい場所で 持ってきていたおにぎり🍙を食べました。

 美味しかったです。


暫く 探索したあと
山を降ります。

足はもう限界近いです。
ふと
友達が
「あ、見て。可愛い小さなお地蔵さんいるよ」
視線をそちらにやった途端
すてん、と転けました。
視線そらしたその瞬間に
ちょうど 段差があったんですね。

べたんと転んでるわたしに
友達は笑いを堪えながら
「大丈夫?」

無表情ですっと起き上がり
「全然大丈夫。お地蔵さんかわいいね。」
と しっかり会話の返事もしました。

よくあることだから
自分に慣れてます(笑)



それで、です。
友達が
「ここから降りてみる?」
ん?と見てみた。

…ん?
もう一度 見てみた。

「わたしには断崖絶壁に見えるんだけど」
って話したら
「降りれるはずだよ」


待て。
待って。
『…はず』ってなに。

「道知ってるわけじゃないのか」
と 言ってみたけど

「こっちなら大丈夫だよ」
と 淡々と進めていく友達。
とりあえず 断崖絶壁は免れた。

そして
「こっちなら大丈夫だよ」
という道を降りることにした。


断崖絶壁よりはましだったとは思いますが。
ものすごい斜面で
足元は 枯れた葉っぱや湿った土が混ざった立つことの出来ない斜面。
友達は
 枝から枝を うまく掴んで
降り進んでいきます。

よーし、わたしもいこう!

友達の真似をして
枝から枝へ、のつもりが
まず立つことができませんでした。
滑るのです。
そして
ようやく立って
 枝から枝へ、手を離した瞬間
尻もちついて そのまま
いい感じに 芝生滑りのような勢いで
ずーっとずーっと滑っていきました。

もうおかしくてたまりません。
友達も抜いて
わたしのほうが降りるのはやい。


わ"わ"わ"わ"ーー

背後で、友達の笑い声が聞こえる。
あははは


「ここ本当に道なん?」  
「人が通った跡があるから道のはずだよ」



あ。出たな。
『はず』

ま、いっか。
途中 何度か 立つことも試みましたが
無駄な試みでした。
 あきらめて
滑りの楽しさを満喫することにしました。

そのうち
ちゃんとした道が
 
目の前に現れました。

ちょうど 斜面を滑り終えて 
その道にたどり着く瞬間に
散歩中のおじいさんと 出会いました。
全然 見知らぬ方ですが
滑りながら立ちながら
「こんにちは」
と笑顔で挨拶。

その方は
ちょっと驚かれた表情で
「こんにちは。こんなところから降りてくる人初めて見た」
と言ってました。


友達は爽やかな笑顔で
ははは。と笑ってました。

このエピソードも
後となっては笑い話になりました。
楽しかったな、とすら思います。

二度と 友達ガイドでは登らない、と誓ったエピソードでもあります(笑)

登った山の写真がなかったので
公園近くの山の風景を。

 本日も
良い一日をおすごしください。


 今日はのヘッダーは
まだ少し肌寒い朝の川霧の様子です。
とても幻想的です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?