見出し画像

Miles Davis. In a silent way (1969)

インザスカイからエレクトリック路線を進み始めたマイルスですが個人的にはこのアルバムからサウンドがガラッと変わった印象があります。またメンバーも様々な国の出身者で構成されるようになり、後にウェザーリポート、RTF、ヘッドハンターズ、マハヴィシュヌオーケストラ、ライフタイムと歴史に名を残すようなバンドを作っていきます。そう考えると2つの意味でフュージョンの走りと言えるかもしれません

メンバー
マイルスデイヴィス:トランペット
ウェインショーター:サックス
ハービーハンコック、チックコリア:エレピ
ジョーザヴィヌル:オルガン
ジョンマクラフリン:ギター
デイブホランド:ベース
トニーウィリアムス:ドラム

Shhh / Peaceful
16ビートのハイハットに乗って即興演奏をしている曲。16ビートのリズムや3台の電気キーボード(特にジョーのオルガン)など新しい音を目指している一方でトランペットのフレーズやベースはまだ以前のジャズを引きずっている印象です。

In a silent way / It’s about a time
ギターとエレピによる神秘的なイントロが印象的な曲。その後のマイルスのトランペットも霧の中を歩いているようで美しいです。作者のジョーを含む様々なミュージシャンがカバーしていますがこのバージョンが最も静謐な印象を受けます。It’s about a timeになると一転躍動感のあるリズムを中心にジャズロック風のアグレッシブトーンで進んでいきます。ただジョンのギターは後のアルバムのようなロック調のトーンではなくオーソドックスなジャズギターに近い感じがします。8分半から入るジョーのオルガンリフがベースキーを多用したファンキーな音でかなりかっこいいです。最後はもう一度In a silent wayに戻って終わりです。

ちょっと個人的な思い出を書くと初めはこのアルバムの良さが分かりませんでした。アコースティック色が強くエレクトリックマイルスにしてはパンチが弱いうえにアコースティックジャズとして聴くには曲が長く構成も難しくダレてしまうというのがその理由です。でもある朝眠い目をこすりながら学校へ向かっている途中一曲目で寝落ちしてしまい二曲目のイントロで目を覚ましました。その時ふっとこのアルバムの良さが分かりました。その時の印象が強いのか今でも冬の朝に聴きたくなります。