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川崎燎 - Mirror of My Mind(1979)

学生時代からギタリストとして活躍し渡米後はギルエヴァンスやエルヴィンジョーンズと共演したギタリストの川崎燎。彼が1979年にリリースしたのが本作です。ここではボーカルでインド出身のラーダショッタムを起用した他いままでは使わなかったクラシックギターを導入しています。初めはパティオースティンやチャカカーンを起用する話もあったとかエルヴィンのバンドにいた頃クラシックギターのソロを一曲披露していたなどの面白い裏話もあります。サウンド的には当時流行っていたAORやソウル寄りのポップなフュージョンながらもほどよくクセのあるソロやどことなくエスニックなサウンドが面白い一枚であると同時に枚数が多く時代によって作風が変わるためとっつきにくい彼の最初の一枚としてもおすすめです。

メンバー
川崎燎:アコースティック、エレキギター
ラーダショッタム:ボーカル、ハンドクラップ
レオンペンダーヴィス:アコピ、ローズ
アンソニージャクソン:ベース
ハーヴィメイソン:ドラム
ルーベンスバッシーニ:コンガ、ハンドクラップ、パーカッション
ジョージマージ:フルート(1)
マイケルブレッカー:テナーサックス(1、6)
アランルービン、ジョンファディス:トランペット、フリューゲルホルン
バリーロジャース、ジェラルドチェンバレン、アランラフ:トロンボーン


ハーヴィとアンソニーに関しては当時の最高のリズムセクションの一つ。本作でもファンキーなグルーヴが聴けます。キーボードのレオンはロバータフラックの音楽監督やトランペット奏者の日野皓正のシティコネクション等ソウルとフュージョン(ジャズ)のどちらとも言えるサウンドを作るのがとても長けたミュージシャンです。

Trinkets & Things
ミステリアスなフルートやクールでどこかオリエンタルな響きのボーカルが印象的な一曲。ギターソロはケニーバレルをよく聴き影響を受けたということで都会的なブルース感がありますがパキッとした音色でメロウなフレーズを弾くというのは当時大人気だったジョージベンソンのようでもあります。続くマイケルブレッカーのソロは言うまでもなくかっこいいです。

I’ve Found The Way Of Love
ケニーバレルのミッドナイトムードのようなレイジーなギターが印象的なバラードナンバー。アンソニーのブンブン鳴るけど鳴りすぎないベースもかっこいいです。

Dream For Radha (Part 1,2&3)
クラシックギターの美しい演奏のパート1、カリブ〜アフリカ風のリズムにドープなワウギターとファンキーなベースが絡みインド風の旋律のスキャットがのる国際的なパート2、ホーンとギターがメインのパート3からなる曲です。

Brasillana
唯一のカバー曲でオリジナルはブラジルのギタリストのバーデンパウエル。イントロとアウトロにストリングスが入る他はとても美しいギターソロです。

Winter’s Here
ファンキーなディスコビートやシャープなホーンセクションがかっこいい一曲。この曲ではギターはリズムがメインでボーカルがメインです。

In & Out Of Love
ファンキーなインストナンバー。アンソニージャクソンの重量級のベースが恐ろしくファンキーです。ギターはエフェクターを使った激しいプレイではなくアコギのシンプルなフレーズやクリアトーンのエレキによる軽めのソロが中心です。

Little one
ブレッカーブラザーズのようなホーンにその合間に入るストリングスなど豪華なフュージョンナンバー。ロックミュージシャンのようなブルージーで派手なギターソロはさすがジャズもロックもできるミュージシャンとして日本で重宝がられたことやギルエヴァンスのもとでジミヘン役を任されたことも納得の演奏です。