Lena Horn - Lena & Michel(1975)
作曲家、ピアニストとして有名なミシェル・ルグラン。ハードバッパーを多数動員したルグランジャズもフィルウッズのイメージズもジャズらしさ力強さやリズムをそこなうことなく気品ある柔らかいアレンジを施したアルバムもI Will Wait For YouやWhat Are You Doing Rest Of Your Life をはじめとした自作曲も切なさと美しさが共存しかつ気品を感じて好きです。またまれにそういった殻を破るようなトリッキーなアレンジをするところも大好きです。本作ではそんなルグランのアレンジに合わせてリナホーンが歌います。彼女はあまりスキャットを多用せずエモーショナルに歌いあげるタイプの歌手で厚いアレンジの曲との相性が良いです。この頃にはナンシーウィルソンやパティオースティン、サリナジョーンズ等似たような歌い方の後輩歌手達も似たような録音を残しています。演奏は当時のスタッフやCTI系のセッションミュージシャたち。音的にはジャズというよりこれやこれに近い感触です。
メンバー
ミシェルルグラン:アレンジ、指揮
リナホーン:ボーカル
リチャードティー:オルガン
ポールグリフィン:ピアノ
ジョーベック、コーネルデュプリー:ギター
グラディテイト:ドラム
ラルフマクドナルド:パーカッション
ロンカーター:ベース
ハワードロバーツコーラス:バッキングボーカル
レイベッケンシュタイン:フルート(2)
フィリップボーダー:オーボエ(2)
ジョンファディス、サドジョーンズ、ジョーニューマン、マーヴィンスタン、アランルービン:トランペット(1,4,7,10)
I Will Wait For You
ルグランが映画「シェルブールの雨傘」のために書いた曲。リチャードの彼らしいオルガンとロンの力強いウォーキングベースに乗ってスウィンギ―かつドラマチックに歌い上げてます。
I Got Name
ジムクロウチのカバー。フォーキーながらもルグランらしい気品あるアレンジが印象的です。
Nobody Knows
力強いドラミングが強力なソウルナンバー。エフェクターを掛けた独特のべけべけしたギターはおそらくジョーベックです。
Being A Woman
リズムもホーンセクションもファンキーでルグランらしくは無いですがかっこいいです。リナの歌も演奏に負けないくらい気迫のある歌い方です。
Let Me Be Your Mirror
ルグラン作曲で作詞はバートバカラックとの共作で有名なハルデイヴィッド。ボサノヴァとソウルをミックスしたリズムが印象的です
Loneliness
切ないアレンジが印象的なバラードナンバー。なぜか音が小さくて他の楽器やボーカルに埋もれてしまっていますがコーネルがブルックベントンのRainy Night In Geogiaでやったような艶やかなギターを弾いていていてそれだけで好きになります。
Time In A Bottle
ジムクロウチのカバー。リズムはワルツ、ボーカルはゴスペルスタイルでソウルフルなリナのボーカルが印象的です。
Everything
ルグラン作曲、ハルデイヴィッド作詞の曲。ホーンやコーラスのアレンジが明るくて楽しい曲になっています。
Sad Song
エモーショナルでリズミカルなサビが印象的な曲。切ないけどジメっとしていないところが好きです。
I've Been Standing Tomorrow All Of My Life
ルグランとデイヴィッドの曲。ゴスペル的な高揚感のあるフィーリングがかっこいいです。
Thank You Love
ストリングスを使った気品あるアレンジが美しいバラードナンバー。ボーカルもソフトでエモーショナルで良いです。
One At A Time
スウィンギーなジャズナンバー。スウィンギーに揺れるオルガンを軸にギターやエレピがメロディに色を付けていきます。カウントベイシーがジョーウィリアムズという歌手とスモールコンボで作ったアルバムがあるのですがこの曲とよく似た演奏です。