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Sonny Rollins - Live In Japan(1973)

1973年ロリンズが3度目の引退後はじめて来日しました。その時の東京は中野サンプラザでの公演を収めたのがこのアルバムです。リリース当初はLP1枚でリリースされCD化されてしばらくは同じ内容でしたがしばらくしてCD2枚組に変更されてオリジナルではカットされたライブの後半が追加されました。デビューからジャズの最新のスタイルに乗りつつ己の腕を磨いてきたロリンズですがここでは1973年という時代を反映しエレクトリックな8ビートを使いスピリチュアルな匂いもする演奏は代表作でなくともかなり熱と力のこもった演奏です。ロリンズは同じメンバーで出演した翌年のモンタレーでの演奏もアルバム化されています。

メンバー
ソニーロリンズ:テナーサックス
増尾好秋:ギター
ボブクランショウ:ベース
デイヴィッドリー:ドラム
エムトゥーメイ:コンガ

Powaii
ロリンズのオリジナルで1971年のカムバック以降よく演奏していましたがアルバムに収録されるのはこれが初めて。8ビートのジャズロック調の曲で人によってはこんなのロリンズじゃないと怒り出しそうなバッキングですがこれはこれでいいと思います。ロリンズが1人無我夢中でバリバリと吹いていて理論的なことや演奏スタイルは分かりませんがハードバップをしていた頃と比べるとフリーな音やフレーズをフリーにならない程度に混じえているように思います。増尾さんもソロを弾いています。音色、演奏ともに古いスタイルをメインにしつつもブルースロックからの影響を感じデオダートのアルバムのジョントロペイのソロに近い気がします。71年に渡米した増尾さん。プライベートでの帰国は不明ですがライブのための帰国はこれが初。しかも大物ロリンズのバンドメンバーで一曲目でロリンズの次にソロを弾くとなればプレッシャーと誇らしさでいっぱいだったはずです。続いてボブクランショウ、デイヴィッドリーのソロが続きロリンズが戻ってきます。

St. Thomas
サキソフォンコロッサス収録の人気曲です。人気曲ということなのか激しいソロはなくシンプルなバッキングに合わせて鼻歌のように吹いています。この時に限らず長尺の曲の後にSt. Thomasのフレーズだけを吹くのはよくあることだったようです。

Alfie
ドープなジャズロックナンバー。フレーズはそこまでフリー味はないものの音を裏返したり濁らせたりと音はかなりフリーより。そして所々に入るギターリフがクセになります。ギターソロはエフェクターを使ってジョンスコフィールドのようなモヤっとした音を鳴らしています。

Moritat
こちらもサキコロより。ラテン調のリズムが楽しいグルーヴィなジャズロックナンバーです。ロリンズもモリモリと吹いてはいますがトリッキーな音は出さずに普通のトーンでバッキングのグルーヴと一体になった演奏です。デイヴィッドリーのドラムソロも手数が少なくパタパタとした音色で聴いていて楽しいです。特別ポップとかグルーヴィとかではないうえに演奏時間も長いですが不思議と難解さがない一曲です。