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Lou Rawls - Live(1978)

ルーロウルズはシカゴの教会を始めにブルースや様々なスタイルのジャズ、R&Bに触れ歌手になると慣れ親しんだそれらだけでなくスタンダードやソウルをも歌うようになりました。このようなジャンルにとらわれない活動は複数のジャンルに当てはまるようで当てはまらないために実力の割に評価は低いですがそんな彼の音楽的ルーツを振り返ったのが本作です。LP二枚にPIRからのヒット曲にジャズやスタンダード、過去のヒット曲を華やかなバンドを従え歌い、喋るのエンタメ色の強い楽しい一枚です。

メンバー
ルーロウルズ:ボーカル
キムダリガン:ベース
デニスキルマン:ギター
スティーブターナー:ドラム
ランディウォルドマン:キーボード
MFSB:ホーン、ストリングス
ブラウンシュガー(デボラモリス、アルシアロジャース、シンディジョーダン)バッキングボーカル

Over True (You’ll Never Find Another Love Like Mine)
当時のヒット曲を元にアレンジした曲でライナーによるとレナードバーンスタイン作曲のニューヨークニューヨークという曲のフレーズを引用しているそうです。

Groovy People
ビッグバンドらしいアレンジとオリジナルより派手なコーラスを加えたライブらしい華やかな曲です。

Stay Awhil With Me
ヴァンマッコイ作の美しいバラードナンバーです。

Charge Card Blues
ここからはキャピタル時代のヒット集です。クレカについて面白おかしく喋りを披露してからブルースを三曲メドレーに続いていきます。
a. Stormy Mondy
b. In The Evening When The Sun Goes Down
レスマッキャントリオをバックに歌った曲でピアノトリオとコーラス隊をバックにアップテンポで軽やかに歌います。
C. Bye Bye BlackBird
スタンダードですが別の曲と言ってもいいくらいメロディを崩して歌っています。

Pure Imagination
映画「チャーリーとチョコレート工場」のために1970年に書かれた曲でジャジーなポップスにアレンジしています。チャーリーは小説版は子供時代大好きで何度も読んでジョニーデップが出演した映画も好きではないけど数回見ましたがそれより前に映画化されていたのは知りませんでした。全く別の好きなものが思いがけず繋がっていると面白いですね。

Dead End Street
シカゴの寒い冬や子供時代に経験した地震(このことを音楽なしでベッドがブーガルーを踊っていたと表現しています)についての喋りから始まります。曲の方はグルーヴィなベースがかっこいいです。

Tabaco Road
ハーレムの貧困に触れてからこの曲をホーンとのコール&レスポンス形式で歌っています。ブルース風のメロディに合わせた語りのようなボーカルもとても上手く器用な歌手だと改めて思います。

Love Is The Hurtin’ Thing
オリジナルはバートバカラックが書いたディオンヌワーウィックの曲みたいなアレンジでしたが美しいストリングスを使ったフィリーソウルにアップデートしています。

A Natural Man
1971年に歌った曲ですがリズムをフィリーらしいディスコ対応のファンクグルーヴにすることでこの時代に合うようにアップデートしています。

Lady Love
この年のヒット曲でルーの深みのある低音が渋くてかっこいいボーカルとそれを包むような甘い伴奏とコーラスが最高の一曲です。

This Song Will Last Forever
1976年のフィリーソウルナンバー。美しいメロディとグルーヴィなリズムのミディアムナンバーです

Sir Duke
スティーブワンダーのカバーでしっとりとしたバラードにアレンジしています。ここからこのアルバムで一番の聴きどころのジャズミュージシャンとエンターテイナーへのリスペクトに溢れたメドレーが始まります。キャブキャロウェイ、ベッシースミス、サラヴォーン、ペギーリー、ダイナワシントン、ビリーホリデイと様々な歌手の名前を挙げていきナットキングコールの名前を紹介した後に次の曲に続きます

Unfogetable 〜 Mona Risa
ナットキングコールの代表曲であまりアレンジを変えずにしっとりと歌い上げます。再び彼の紹介をしたのちMona Risaに続きます

Take The “A”Train
ノリのいいスウィンギーなリズムに乗ってスウィングジャズに移ります。この曲はルーは歌わずブラウンシュガーが歌います。

Sophiscated Lady
こちらもエリントンの曲で堂々とした低音でしっとりと歌い上げます。

Take The “A”Train

Dixieland Joe
さらに時代を遡ってディキシーランドへ。この曲は演奏に合わせてMCをするインストでルーの喋り慣れたMCは聴いていて楽しいですが聴き取れてかつ意味を理解できたらなお良かったのにと自分の英語力を悔やみます。

Mack The Knife 〜 Hallo Dolly
二曲ともルイアームストロングのヒット曲でルーはサッチモの真似をしながら歌います。当時最新のソウルからディキシーランドジャズまでを全て演奏してしまうバンドに驚きます。ライナーではルーロウルズがルイアームストロング役の伝記映画が制作されるらしいと書かれています。僕はそのような映画は知らないですが実際に作られたのなら見てみたいです。

This One’s For You
バニーマニロウというシンガーが書いたバラードナンバーです。この人はよくわからないですが曲調的にAOR系の方でしょうか?あまりソウルっぽくないドラマチックなバラードです。

See You When I Get There
フィリー時代のヒット曲の一つでスタジオ版より華やかなアレンジがライブらしくて楽しいです。

We Understand Each Other/ Early In The Morning
美しくもどこか影のあるバラードナンバー。

When You Say Budweiser , You’ve said It
バドワイザーというビールのCMソングでルーロウルズが出演して歌ったそうです。CMソングらしいコミカルでキャッチーなメロディが印象的です。

Send In The Clowns
ピアノとストリングスをバックに切なく歌うバラードナンバーです。僕はレコードで聴いているので何度も聴けますがなんだか名残惜しくなってきます。

You’ll Never Find Another Love Like Mine
ルーロウルズ最大のヒット曲でスタジオ版よりもおとなしく始まりそこからサビにかけて盛り上げていきます。

A Lovely Way To Spend An Evening
フランクシナトラ主演の映画の主題歌でお洒落にスウィングした演奏が印象的です。