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Paul Simon - There Goes Rhymin’ Simon(1973)

S&Gのイメージで懐メロフォーク感のあるポールサイモンですが本作はタイトルにもあるようにリズムにこだわった一枚です。There Goesには行く、行ってしまう、遠ざかって行くと行った意味があります。おそらく慣れたNYを離れて南部のマッスルショールズに行って録音したことをアピールしたかったのかもしれません。話が前後しますがポールは1972年にソウルグループのステイプルシンガーズが発表したI’ll Take You Thereを聴き感銘を受け自分も同じミュージシャンと録音したいと思ったことがきっかけです。全10曲中5曲がマッスルショールズ、残り4曲はNYでの録音でどちらもソウルやジャズよりのミュージシャンが参加。1曲だけミシシッピのマラコスタジオでの録音ですがここは場所もミュージシャンの詳細もよくわからないです。ほんのりソウルフルなポールサイモンが聴ける一枚です。

ミュージシャン
ポールサイモン:ギター、ボーカル
ディキシーハミングバーズ(2、10):コーラス

マッスルショールズ(1、3、5、9、10)
 ピートカー、ジミージョンソン(3):ギター
 デイヴィッドフッド:ベース
 ロジャーホーキンス:ドラム
 バリーバケット:キーボード
 クロードジェター師:ボーカル(3)
師(Rev.)という言葉の訳がいまいちわからないですが解説によるとゴスペルシンガーのようなのでキリスト教の偉い人という認識でいいのかな?
 オンワードブラスバンド(3)

※追記
k.m.joeさんからRev.の意味を教えていただきました。教えていただき誠にありがとうございました

rev.はReverendの略で、ご推察通り教会の牧師(実際に全員が教会の関係者ではないかも知れませんが)ですね。説教師とも言ってキリスト教のエピソードとかを教会で宣う人です。つまり偉い人。(後略)


NY(2、4、6、7)
 コーネルデュプリー(2)、デイヴィッドスピノザ(4):ギター
 ゴードンエドワーズ(2)、ボブクランショウ(4、6、7):ベース
 リチャードデイヴィス(4):アコースティックベース
 ポールグリフィン(2)、リチャードティー(4)、ボビースコット(4):ピアノ
 ボビージェイムズ※(4、6):キーボード
 ドンエリオット:ヴァイブ(4)
 リックマロッタ(2)、グラディテイト(4、6):ドラム
 アイアートモレイラ:パーカッション(7)
 アラントゥーサン(2):ホーンアレンジ
 クインシージョーンズ(4):ストリングスアレンジ
※フュージョンで有名なボブジェイムズの別名

ミシシッピ(8)
 ジェリーパケット:ギター
 バーニーロビンス:ベース
 ジェイムズストロード:ドラム
 カーソンホイットセット:オルガン

Kodachrome
マッスルショールズらしいリズムがかっこいいサザンソウルナンバー。体を動かしてリズムに乗りたくなるしほどよく緩いから簡単に乗れてしまいます。

Tendeness
映画とかでよく見る地下室みたいなバーにいるような気分にさせてくれるレトロなサウンドのスウィートなジャズバラードナンバー。ポールグリフィンのピアノやアラントゥーサンのホーンがおしゃれで好きです。

Take Me To The Mardin Gras
カントリーっぽい素朴な曲。個人的にはボブジェイムズのバージョン方がが好きでしたがこちらも改めて聴いてみると違った良さがあります。後半のステイプルシンガーズのRespect Yourselfっぽいエレピが入っり短いのが惜しいブラスバンドの演奏が印象的です。

Someting So Right
初めはメンバーの割にあっさりしているなと思いますが段々とグルーヴィなベースにエレピとアコピのコンビネーション、くどくなく物足りなくのほど良いストリングスが優しくて聴き入ってしまいます。

One Man’s Calling Is Another Man’s Floor
50s後半や60s前半のポップスっぽいアレンジ。オールディーズとSSWのミックスということで演奏メンバーは全く違うのにキャロルキングのつづれおりににたサウンドの一曲です。1973年にはオールディーズを40曲使った映画アメリカングラフィティーが公開されザ・バンドは全曲オールディーズカバーのアルバム「ムーンドッグマチネー」を発表、翌年にはジョンレノンもロックンロールのカバーアルバムの「ロックンロール」を発表しています。関係があるかはわかりませんがないとしたら面白い一致です

American Tune
じんわりとしたグルーヴとストリングスアレンジが暖かい一曲。ポールの優しさのある柔らかい声なのでこの曲のサウンドは優しさだけで成り立っています。歌詞はわかりませんが。

Was A Sunny Day
ラテンタッチの幸せな曲。もしフルートがあったらフリーソウルっぽくなりそうです。このアルバムの曲のサウンドはどれも暖かみがあっていいなと改めて聴いて思いました。

Learn How To Fall
ソウルフルなリズムとフォーキーなアコギの組み合わせが面白い一曲。リズムがほんのりレゲエに似ている気がします。

St. Judy’s Comet
繊細なサウンドが印象的な曲。バッキングのスライドギターからソウル、カントリー、ロカビリーと南部の音楽が次々と飛び出してくるギターのサウンドがかっこいいです。

Love’s Me Like A Rock
力強いギターや下品なサックスのロックンロールサウンドにドゥーワップコーラスが加わったオールディーズ風の一曲。ポールサイモンはフォークやる前はアマチュアのロックンロールシンガーをやっていた時期もあったようなのでその時のことを思い出しながら作ったのかもしれません。