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David T. Walker. Soul food cafe (1989)

 本作ではデイヴィッドTウォーカーとジョーサンプルが泥臭いブルースやR&Bを演奏しています。メロウなギターのデイヴィッドと清涼感あるキーボードのジョーと2人とも泥臭さとは無縁そうですがジョーはクルセイダーズのメンバーでありデイヴィッドもクルセイダーズのゲストメンバーやエタジェイムズのバックバンドにいたりとルーツには泥臭い音楽がある人で81年にもSwing Street Cafeという似たようなアルバムを作っています。
 話は違いますがこの頃(80s後半から2000年代前半)はレアグルーヴブームやら裏方への注目、ジャムバンドとソウルジャズやジャズファンクが再評価されましたが結局一過性のブームで終わってしまいこの頃出てきたミュージシャンの多くが解散あるいはマイナーレーベルへ移籍しベテランミュージシャンは高齢になり亡くなったり引退してしまったうえにレコードやCDは希少な過去の作品が高値で取引される一方話題になって多く買われたCDは投げ売りという寂しい現状です。ブームなんてそんなものかも知れませんが寂しさと不満を感じてしまいます。

メンバー
デイヴィッドTウォーカー:ギター
ジョーサンプル:キーボード
チャックレイニー:ベース
ポールハンフリー:ドラム
チャールズミークス:ハーモニカ、ベース
オスカーブラッシャー:トランペット
ジョージボハノン:トロンボーン
ハーマンライリー:サックス

デイヴィッド、ジョー、チャック、ポールと錚々たるメンツが揃っています。一応ゲストメンバーに触れるとチャールズミークスはベーシストでチャックマンジョーネやハービーハンコック等と共演。ハーモニカも上手く本作にはハーモニカ奏者として参加。ジョージボハノンとオスカーブラッシャーは多くのソウルやフュージョンのアルバムにホーンセクションの一員として参加。ハーマンライリーも同様でSwing Street Cafeにも参加しています。ライナーには久々の再会という事で思い出話や近況報告でとても盛り上がっていたそうです。

Out in  the yard
ギターとハーモニカだけのリハでジャムってみましたって感じの緩いノリのブルースナンバー。本当にTなのか疑いたくなるくらい泥臭いギターが最高です。

Soul food cafe
50年代のR&Bやブルース、60年代のサザンソウル風に70年代のフュージョンを混ぜたような臭みはないけどアーシーなナンバー。

The preacher
ホレスシルバーの曲。こんなにリラックスしたプリーチャーは聴いたことがないです笑。ジョージボハノンのソウルフルなトロンボーンが印象的です。

When a man loves a woman
パーシースレッジのカバー。デイヴィッドのスライドとオクターブを混ぜた演奏(オーバーダブ?)が意外ですがいつものテロローンと甘いフレーズを混ぜつつブルージーに歌うようなギターが最高です。中盤のジョーのピアノソロも美しい音色はいつもよりとつとつとしたタッチで曲の演奏によくあっています。

Ain’t that loving you baby
ジミーリードの曲。タイトなポールのドラムにのってブルージーなギターとハーモニカが粋なブルースを演奏しています。ここら辺から泥臭さが増していきます。

Lonely avenue
レイチャールズのカバー。ここは50年代かと思うくらい下品なサックスが最高にかっこよくてグッときます。

Let the good time roll~ Funky mama - Quaker city
Letはアールフッカー、ルイジョーダン等多くのミュージシャンがカバーしたスタンダード、Funkyはグラントグリーン、Quakerはビルドジュットのカバー。ジャムセッション風のノリノリなブルージーでファンキーでジャジーな演奏が最高にかっこいいです。個人的にこのアルバムのベストトラックです。

Bad bad whisky
軽快なファンクブルース。トランペットから始まるソロ回しはみんな気合いが入った演奏でとてもかっこいいしそれを支えるベースのグルーヴも最高です。

At the table
暖かみのあるシンプルなブルースナンバー。いつもは隠している訛りを丸出しにしているかのようなギターとピアノが印象的です。

Got my mojo workin’
疾走感あるドラミングが最高にかっこいいジャムナンバー。熱く吹きまくるハーモニカも印象的です。なんとオリジナルでは10分を超えていたそうですが途中フェードアウトして終わりです。最後まで聞きたかったしこの曲以外でもジョーにはオルガンを聴いてみたかったです。

Please send me someone to love
パーシーメイフィールドのカバー。ギターとピアノのデュオによるアルバムの最後を締めくくるのにピッタリの穏やかでほんのりジャジーなブルースナンバーです。

コネクション: Swing Street Cafe
冒頭にも書きましたがコンセプト的にはこのアルバムの前作に当たるアルバム。ただこちらがデヴィッド名義なのに対してジョーサンプル名義でリリースされてレコード屋でもジョーサンプルのところに置かれています。Swingの方がサウンドが濃いのでコテコテが好きな人向けです。当然僕は欲しいですがジョーサンプルのソロの割にはお高いです。