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Weather Report. Sweetnighter (1973)

ウェザーリポートは初期のフリーやロックよりの路線、中期のワールドミュージックやファンクよりの路線、パストリアス=アースキン(最初はアクーニャ)がリズムセクションを務めたジャズの要素を残しながらも聴きやすくなった時期、最後のジョーのシンセサウンドを導入した時期の4つに分けられると思います。本作はその1期と2期の中間に当たる作品で聴きやすさという点ではそこまでですが聴きにくいサウンドが逆に何度も聴きたくなる中毒性になっていて個人的にはヘヴィウェザーの次に好きな一枚です。

メンバー
ジョーザヴィヌル:キーボード
ウェインショーター:ソプラノ、テナーサックス
ミロスラフヴィトウィス:ベース
エリッククラヴァット:ドラム
ドンウンロマン:パーカッション

サポートメンバー
ムルガ:パーカッション
ハーシェルドゥエリンガム:ドラム
アンドリューNホワイト:イングリッシュホルン、フェンダーベース

Boogie Woogie Waltz
パーカッション2人とドラム1人によるエスニックかつミニマムよりのリズムに乗ってサックス、キーボード、ベースがコラージュのような演奏を繰り広げる曲。ファンキーだけどファンクじゃないし踊れない。マイルスからの影響を強く感じるスタイルで同じマイルスバンド出身のキーボード奏者ハービーハンコックが同年にリリースしたヘッドハンターズとは方向性が全く違っているのが面白いです。

Manolete
ウェイン作。リズムはパーカッションやワウをかけたキーボードを多用した躍動感のあるものですが初期のアンビエントっぽい質感もある曲です。

Adios
In a silent way を思わせる牧歌的でアンビエント感のある曲。いい曲ですが長さが3分しかないのはすこし残念です。

125th street congress
ドラム、パーカッション、ベース奏者がそれぞれ2人ずついるというリズムの塊のような曲です。(ベースラインがめちゃくちゃかっこいいです)またこの曲ではA面三曲ではあまりわからなかったシンセサイザーの音がはっきりとわかります。全体的にBoogie Woogie Waltzに似たスタイルですがよりオーソドックスなロックやファンクに近いサウンドで雰囲気もエキゾチックというよりは都会的な感じです。ジョーがこの曲を世界初のヒップホップだと言ったことがあるらしいですがなんとなくわからないでもないサウンドです。

Will 
ミロスラフ作。カラフルなパーカッションやワウをかけたキーボードがついていることを除けば以前のウェザーに近いサウンドです。

No stop home
スペイシーな曲。シンセサイザーの音が古いSF映画のSEみたいで面白いです。キーボードやサックスがスペイシーな反面、リズムは普通のファンクよりです。(重量級ベースがかっこいい)