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Earth Wind and Fire S.T (1970)

ラムゼイルイスのバンドでドラムとカリンバを演奏していたモーリスホワイト。脱退後は弟ヴァーダインとソルティペパーズを結成し1969年に二枚のシングルを出し一曲がローカルヒットするも解散。(アースの前身ということで興味深いグループですがなぜか調べても音源や資料があまり見つからず謎の多いグループです。discogsによるとグループにはダニーハサウェイやマイルスデイヴィスのバンドのギタリストだったピートコージーもいたとか)同時期にファラオズというスピリチュアルジャズグループにもいたらしいですが録音にはアースのメンバーは参加していないとかいたとか言われていてよくわからない。翌年70年にはアースを結成。スライのヒットや同郷のカーティスメイフィールドがボーカルグループからソロになりファンクを演奏するようになったことに影響されたことは間違いないでしょう。本作ではまだ洗練されていない荒々しいグルーヴやサイケ感、ジャズの要素の濃い曲は後のアースとはまた違った良さがあります。

メンバー
モーリスホワイト:ドラム、パーカッション、カリンバ、ボーカル
ヴァーダインホワイト:ベース
ウェイドフレモンズ:ボーカル、エレピ
マイケルビール:ギター
チェスターワシントン:サックス
アレクサンダートーマス:トロンボーン
レスリードレイトン:トランペット
シェリースコット:ボーカル
ダグカーン:オルガン
フィラードウィリアム:パーカッション、コンガ

Help somebody
シャープで疾走感のあるアップナンバー。ファンキーですがファンクというよりはドリームスやBS&Tのようなジャズロックやビリーコブハムのようなハードなフュージョンに近い曲です。

Moment of truth
70年らしいほんのりサイケで重たいグルーヴを持つファンクナンバー。うねるベースが恐ろしくかっこいいです。

Love is life
初期のクール&ザギャングにも通じるようなグルーヴィなバラードナンバー。後半のギターやホーンはジャズロック的なのが時代を感じます。メンバーが違うので声は違いますがアースならではの美しいコーラスはすでに完成しています。

Fan the fire
スライの暴動からの影響を強く感じる恐ろしくサイケな不穏な曲。ただスライの暴動を聞いていたのかはちょっと怪しいです。というか録音やリリース日を考えると聴いていない可能性が高そうです。偶然の一致だとしたら面白いです。

C’mon children
こちらはスライはスライでもスタンド!風の曲。ひりついたギターとかリズムはスライですがボーカルやコーラスはアースの独自性がでています。

That’s world today
コーラスが後のアースっぽい曲。演奏の方はエレピを使ったメロウかつグルーヴィ
なソウルバラードです。

Bad tune
アメリカのゲットーから雷鳴とカリンバに導かれてアフリカにワープしたような気分になる曲。スピリチュアルな雰囲気が漂っています。個人的には象の鳴き声のようなファズギターが好きです。

コネクション:ダグカーン
レアグルーヴやスピリチュアルジャズを聴いている人なら聞き馴染みのある名前だと思います。Discogsによれば同一人物らしいです。