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George Benson - The Other Side Of Abbey Road(1970)

ビートルズのアルバムアビーロードがイギリスで発売されたのが1969年の9月26日のこと。(日本では同年の10月21日に発売。全世界同時発売がメインの最近では1ヶ月もタイムラグがあるのは違和感があります。)なのでアビーロードの紹介とはならずあえてカバーアルバムを紹介します。本作はジョージベンソンのアルバムで何とアメリカでのアビーロードの発売が10月1日にも関わらず録音は同年の10月22日に開始ししわずか4日で録音を終えるという驚くべき速さです。それ故かあまりCTI作品では名前を見かけないミュージシャンも数多く参加しています。しかしアビーロード名物のメドレーを上手く解体し再構築している他、ドンセベスキーによるアレンジも短期間で練られたとは思えないクオリティです。

メンバー
ジョージベンソン:ギター、ボーカル
ボブジェームズ、ハービーハンコック、アーニーヘイズ:ピアノ、オルガン、ハープシコード
ロンカーター、ジェリージェモット:ベース
アイドリスムハンマド、エドショーネシー:ドラム
レイバレット、アンディゴンザレス:パーカッション
ウェインアンドレ:トロンボーン、ユーフォニアム
ソニーフォーチュン:アルト、テナーサックス
ジェロームリチャードソン:テナーサックス、クラリネット、フルート
ドンアシュワース:バリトンサックス、バスクラリネット
フレディハバード:トランペット
メルデイヴィス、バーニーグロウ、マーヴィンスタン:tトランペット、フリューゲルホーン
ヒューバードロウズ:フルート

ベースにジェリージェモットで録音が1969年と来ればドラムでバーナードパーディがいないことが悔やまれます。フォルモアでの鉄壁のリズムセクションが聴きたかった!ホーンセクションは前衛派のソニーフォーチュンとバップからジャジーなポップスまでこなすジェロームリチャードソンという対照的な2人がいるのが面白いです。

Golden Slumbers / You Never Give Me Money
ハープシコードとストリングスをバックにジョージがギターは弾かずにロマンティックに歌い上げます。後に歌手として成功するだけあってとてもいい声です。後半はラテンタッチのリズムが印象的なリラックスしたジャズですが時々Penny LaneやウェスモンゴメリーのRoad Songのようなバロック調のホーンやストリングスが挟まれます。最後にGolden Slumbersに戻って終わりですが曲が変わる瞬間のアレンジがかっこいいです

Because / Come Together
ファンキーなソウルジャズナンバー。オリジナルのベースも良かったですがここでのベースもファンキーでかっこいいです。1曲目で明らかにロンカーターと分かるウッドベースの音だったのでこのセッションではロンはウッドベースのみを弾いておりエレキベースはジェリージェモットだと思われます。ジョージベンソンのギターソロはいつも以上に緊張感のある張り詰めたトーンでジョージなりにロックに寄せたのかもしれません。続いてはソニーフォーチュンのソロ。難解さはないものの若干フリーキーさを感じます。裏でもハービーハンコックと思われるエレピがエフェクターでサイケに音を揺らしています。最後はハープシコードでBecauseのメロディを弾いて終わりです。

Oh! Darling
ナットキングコールのような端正でロマンティックなバラードナンバー。バックはピアノトリオとブラスセクションでギターは中盤のみですがソフトで温もりのあるサウンドがいいです。

Here Comes The Sun / I Want You (She’s So Heavy
ストリングスをバックにした美しいバラードナンバー。エレピであることを除けば50年代のラウンジーなジャズボーカルのようなサウンドでとても美しいです。後半はビートルズでも一二を争うヘヴィな曲ですがギターやボーカルはグルーヴィーなソウルジャズにアレンジしています。最後に飛び出してくるフレディハバードによる火が出ているような熱いソロがかっこいいです

Something / Octopus’s Garden / The End
ギター、ストリングス、エレピが絡み合うイントロが極上です。ボーカルが入るとさらにいいです。タコ庭は戦前のビッグバンドのようなホーンをバックに歌うようなギターを弾いています。最後はアップテンポのファンキーな曲。リンゴのソロはコンガとドラムのソロ、ギターの速弾きに置き換えられています。

おまけ
近年のインタビュー。

おまけ2
同年に発表されたもう一つのアビーロードのカバーアルバム。こちらもジャケやタイトルまでカバーしています。