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Eddie “Lockjaw” Davis & Shirley Scott - Jaws(1959)

楽器を始めた理由はなんですかという質問に対する答えは数あれど「飲む打つ買うに憧れて楽器をやろうと思った。目立つ楽器の方が遊べそうだけどドラムはめんどくさそうだからサックスにした」と答えたロックジョーデイヴィスほど不純な動機を隠すことなく語った人はいないはずです。そんな不純な理由で楽器を始めた人がアーチーシェップという正反対のような思考の人間に影響を与えたというのも面白いです。Jawsという芸名はマウスピースを噛み付くように加えるスタイルからとも吹く時のあごの角度がサメのそれに似ていたからとも言われています

メンバー
エディ"ロックジョー"デイヴィス:テナーサックス
シャーリースコット:オルガン
アーサーエッジヒル:ドラム
ジョージデュヴィヴィエ:ベース

I Let a Song Go Out Of My Heart
最初のテーマ部ではスタンリータレンタインにのような軽く流すようなブロウですがアドリブになるとやや濁った金属的な甲高いトーンに変化します。ジャズ度数が高いと絶対にやらないだろうなって音ですがジャズでこんなことするのだからその漢気に感動です。

I'll Never Be The Same
船の霧笛のごときサックスの音が印象的なバラードナンバー。シャーリーの淡泊なオルガンも曲調にマッチしてそのムードを引き立てています。

You Stepped Out Of a Dream
前の曲ほどではないですがこちらもムオ~っとしたサックスが印象的です。セルフ合いの手で早いフレーズを差し込むあたり芸の細かさを感じます。今までバッキングメインだったシャーリーもコテコテを振りまいて応戦しています。

Old Devil Moon
シャーリーのソウルフルなオルガンがかっこいい一曲。長尺アドリブを披露していていつもの淡泊な演奏はあえてしていたのだろうと思わせる熱さです。エディもバップ風にゴリゴリと吹き倒していて実にかっこいいです。

Too Close For Comfort
近すぎて怖いといった意味の言い回しですがエディにしてはおとなしい演奏です。洒落の効いた演奏が好きなのでタイトルに合わせて狂暴な演奏をしてほしかったと思ったりもします。ただ充分演奏は熱がこもっててかっこいいのでこれは単なるわがままです

Body And Soul
ムードテナー調のサックスが印象的な一曲。ですが音色にキレがありムードテナー特有のくどさは感じません。コテコテなソウルジャズスタイルをバッキングにサムテイラーにムードテナーをやらせてみたら面白い迷盤になったように思います。

But Not For Me
スウィンギ―なバッキングが心地よいミディアムナンバー。後半のオルガンソロが圧巻です

Tangerine
ほんのりラテン調の一曲。かすれながらも突っ走るサックスがかっこいいです。