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Jack McDuff. Write On Capt’n(1993)

オルガンジャズという音楽があります。詳細や代表的なミュージシャンは過去に紹介しているので省きますが即興演奏が少ない、R&B由来のグルーヴィでダンサブルなサウンドが特徴です。それらは黒人やモッズたちには売れたものの評論家やコアなファンからは2流のレッテルを貼られ過小評価され続けてきました。さらにフュージョンの時代になると電気キーボードの主力はエレピやシンセに取って代わられオルガンを使ったジャズは減っていきます。しかし、80年代後半以降のレアグルーヴ、ジャズヒップホップ、クラブジャズといったムーブメントではオルガンジャズにもスポットライトが当てられ、リアルタイム以上の評価と人気を獲得します。オルガン奏者たちのほとんどは流行に敏感で流行りのスタイルを取り込むことに抵抗のない人が多く、お本作のリーダージャックマクダフもその1人。本作ではスウィンギーなスタイルと最新のサウンドの両方を演奏しています。

メンバー
ジャックマクダフ:オルガン、キーボード、パーカッション
バイロンストリプリング、ジョーマグナレリー:トランペット
アンドリュービールス:アルトサックス
ジェリーウェルドン:テナーサックス
ハーブベッソン:トロンボーン
ジョンハート:ギター
ルディペットシャウアー(1、2、4、6、8)、ヴァンロメイン(3、5、7、9、10):ドラム
ウィンストンロイ(3、5、7、9、10):ベース
ジョーイデフランセスコ:トランペット(3、5、7)
ジョニーランバート:ボーカル(10)

Spec-Tator
軽快なホーンセクションがかっこいいスウィングナンバー。ジャックのアルバムでありながらホーンが主役の一曲です。

From The Pulpit
レイチャールズのレコードにありそうなアーシーなアレンジのスウィングナンバー。

Killer Joe
ベニーゴルソンの曲でスラップベースを使ったクラブジャズやアシッドジャズっぽいアレンジです。ここではオルガンだけでなくピアノも弾いています。トランペットでゲスト参加しているジョーイデフランセスコは普段オルガンを弾いている方らしいです。

The Room
ブルージーなバラードナンバー。こういうバラードナンバーではオルガンのロングトーンを活かしたバッキングがより曲のブルース感を増幅させています。

A Night In Tunisia
ディジーガレスピーが書いたアフロキューバンジャズですがヒップホップっぽいビートに乗せて都会的なサウンドで演奏しています。

Captain’s Quarters
スウィンギーなミディアムナンバー。グルーヴィなベースがかっこいいです。

The Billyjack
アシッドジャズ風のビートの曲。ジャジーなギターが印象的です。

Goin’ Out Of My Head
バートバカラックの曲ですがかなりアレンジを変えているのでホーンセクションがサビのフレーズを吹くまで気がつきませんでした。コテコテのオルガンとシャープなホーンセクションが対照的です。

Goin’ To The Well
JBみたいなホーンセクションがかっこいいファンクナンバー。

Havin’ A Good Time
唯一のボーカル入りナンバー。50sのR&Bとか60sのサザンソウルとジャムバンドをミックスしたみたいなサウンドです。