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Sergio Mendes & Bossa Rio - Voce Ainda Nao Ouviu Nada!(1964)

先日セルジオメンデスの訃報が届きました。60年代のブラジルのジャズから2000年代のクラブミュージックまで幅広いジャンルに挑戦していますが60年代のポップス時代が一番人気が高いのは間違いないでしょう。今回は彼のブラジル時代のジャズアルバムを紹介します。ジャズピアニスト時代の彼はそのファンキーなタッチからブラジルのホレスシルバーと呼ばれていたそうです。米国では珍しいテナーサックス、トロンボーン、バルブトロンボーンの3管編成がセルジオ考案なのか当時のブラジルではポピュラーだったのかは不明ですが単なる模倣ではなく独自の音楽を作ろうという意気込みを感じます。それは「君はまだ聞いていない!」というタイトルからも伝わってきます。ちなみに後にボサリオというブラジル66の子分的バンドが作られますがそちらとは無関係です

メンバー
セルジオメンデス:ピアノ、アレンジ
セバスチャンネトー:ベース
エディソンマチャド:ドラム
アウリーノフェレイラ(5,6)、エクトルコスティタ:テナーサックス
エドソンマシエル:トロンボーン
ラウルジソウザ:バルブトロンボーン
モアシルサントス、アントニオカルロスジョビン:編曲

セルメンとジョビンは言わずとしれた人ですがセバスチャンネトは90年代までセルメンを支える名ベーシスト。ラウルジソウザはアイアートやジョージデューク人脈の一人として多くのフュージョンに参加しています。モアシルサントスもブルーノートからいいアルバムをいくつかリリースしています。

Ela E Carioca
彼女はカリオカと言われることもあるジョビン作のボサノヴァナンバー。ソフトなクールジャズ調のアンサンブルですがソロにはどことなくファンキーな香りが

Naurotico
キレのいいファンキージャズ。早いテンポでのトロンボーン、テナーサックス、ピアノとソロを回していきますが本場の演奏に負けず劣らずのテクニックです。

Colsa Numero2
グルーヴィなワルツナンバー。トロンボーンとベースによる重心の低い演奏が実にドープです。

Desafinado
トロンボーンのまったりとしたトーンやまろやかな音色が印象的なイントロから始まりキレのいいピアノにバトンタッチ。ボサノヴァにトロンボーンはよく合います。

Corcovado
分厚いホーンセクションとキラキラとしたアコピの対称が印象的な一曲。ファンキージャズとクールジャズという一見対照的なジャンルですがうまく一つにまとめています。

Gorota From Ipanema
アメリカのジャズボッサ風の一曲。セルメンのピアノはジョビンをほうふつとさせるトーンです。そして艶やかなテナーサックスソロ。アウリーノフェレイラというブラジル以外ではほぼ無名の人物ですがたくましいトーンです。

Primitivo
ベニーゴルソン顔負けのファンキーなジャズナンバー。編曲を練った上でアドリブを取ったような印象を受けます。皆ファンキーでたくましいです。

Noa Noa
アップテンポのファンキーな一曲。セバスチャンネトのウォーキングベースも立派です

Nana
ホレスシルバー色の強い一曲。メロディもアレンジも親しみやすいものです。

Amor Em Paz
甘く切ないクールジャズ風の一曲。トロンボーンを使っていることから甘ささけでなくビターさもあります。