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Weather Report. Black Market(1976)

本作は初めてジャコパストリアスが参加したアルバムとして有名ですがリズム隊のメンバーチェンジの最中でベースはアルフォンソジョンソンからジャコへ、ドラムはレオンチャクラーが録音前に脱退、ナラダマイケルウォルデンが参加するも正式メンバーにはならずチェスタートンプソンが加入(彼も次作で脱退)、パーカッションはアリリオリマからアレックスアクーニャに交代。さらにその間にはドンアライアスも参加(彼は1stに参加したものの方向性の違いで正式な録音前に脱退。)という複雑な状況です。ウェインとジョーにとっては頭の痛い時期だったと思いますが結果はダウンビートのアルバムオブザイヤーの獲得、ヘヴィーウェザーにつぐ評価という良い結果を記録します。よりファンキーに、よりわかりやすいサウンドに移り変わるウェザーを記録した一枚です。

メンバー
ジョーザヴィヌル:アコースティックピアノ、ローズエレピ、アープシンセ、ポリフォニックシンセ
ウェインショーター:ソプラノ、テナーサックス、リリコン
アルフォンソジョンソン、ジャコパストリアス(2、6):ベース
ナラダマイケルウォルデン(1、2)、チェスタートンプソン(1、3〜7):ドラム
ドンアライアス(1、6)、アレックスアクーニャ:パーカッション

異色なのがウェインがリリコンを吹いていること。彼のリリコンプレイが聴けるにはおそらくこのアルバムだけ。(ウェザーでは唯一)なぜ彼がこれを使ったのかは不明ですがシンセ大好きなジョーから勧められて使ったけど電気音は合わないと感じてやめたのではないかと思います。

Black Market
ファンキーながらものどかな雰囲気の曲。ジョーのカラフルなシンセが印象的です。最後の花火のSEもシンセで作られています。

Cannon Ball
ジョーが師匠のキャノンボールアダレイの死を悼み制作した曲。ソフトなグルーヴを作りつつもメロディアスなフレットレスベースが印象的です。

Gibraltar
波の音と汽笛(シンセ)のSEから始まる曲。エキゾチックなサックスとシンセが印象的です。

Elegant People
ウェイン作のバラードナンバー。初期ウェザーやウェインのソロのような実験性の強いサウンドです。イントロはリリコンを使っている気がします。

Three Clowns
アーシーながらも美しいバラードナンバー。チェスターの正確でここぞという時に派手に叩くプレイが印象的です。

Barbary Coast
ジャコ作のファンクナンバー。ジャコのフレットレスベースとコンガ、スティールパンのようなシンセがファンキーでとてもかっこいい曲です。冒頭の列車の走行音は実際のものを録音して使用しています。

Heandnu
シンセを駆使したファンクナンバー。シンセを多用しているのでフュージョンやジャズというよりはYMOのような人力テクノっぽいサウンドです。後半はジャズっぽい展開で最後はベースの高音弦かシンセでチラッとFly Me To The moonみたいなフレーズを弾いて終わりです。

ここからはボーナストラックです。全てライブ音源で時期や場所は不明ですがジャコのソロや本作からの選曲があるので76年以降でドラムはチェスター又はアレックス、パーカッションはアレックスかマノロバドレーナだと思います。

Portrait Of Tracy
ジャコの1stアルバムより。アルバムバージョンよりもテクニカルなプレイをしています。

Elegant People
スタジオ版よりもリズムを強調した演奏です。また ウェインのソロも長くジャズよりです。

Black Market
スタジオ版よりもテンポを上げた演奏でのどかさは全くないファンクナンバーになっています。途中オリジナルにはなかったサックスのドラムのデュオパートが挟まれています。