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脚本的な
叔母が言った。綺麗な子だから、と。 男はそんなに乗り気ではなかったが、島根まで車を走らせた。 足立美術館の看板が見えた時、雪が降り始めた。 時計に目をやる。正午過ぎ。 五時間か、それだけの時間があれば何ができただろう、と男は考える。 入口の前に叔母と若い女性が立っている。 「ごめんねえ、遠くまで来てもらって、この子が優子ちゃんよ」 優子が会釈する「初めまして、今日はよろしくお願いします」 「こちらこそ」男は顔を見て、目を逸らす。 「じゃあ後は若い者同士で、ってこれ言って見
今夜はお赤飯や!! https://note.com/info/n/nb726156fb9e0
20XX年、ネットの波に押され、テレビ東京は閉局を迎える。 最後の番組は「明日の天気予報」 抜擢されたのはテレビ大好きの新人アナウンサー(女性) 彼女を主役にテレビ東京最後の日を追いかけるドキュメンタリー風ドラマ
ユキの母親は最期に海が見たいと願ったが、 その想いは叶わなかった。 今、ユキの目の前に真っ青な海が広がっている。 百合ヶ浜。 父親と飛行機を乗り継いで来た。 「覚えてるか?」父親が話しかける。 「あんまり」 「まだ小さかったからなあ」 二人は波打ち際を歩いている。 「母さんはこの海が一番好きだった」 父親はしみじみと海を見る。 「何、泣かないでよ」 「少しくらい、いいだろ。まだ一年も経ってないんだ」 「母さんが怒るよ、湿っぽいの嫌いだから」 「そうか、じゃあ我慢しよう」