「カコミライ×エフェクト!」第3話


 
放課後、女子サッカー部の練習をグラウンド外から見守る夜澄。
【前回までのあらすじ】
モノローグに乗せ、短いまとめの過去回想開始。

【わたしの幸せな未来が変わった要因は おそらく『人助け同好会』の設立で】
教壇に立ち、同好会の設立を宣言する2話朝翔のカット。

【その影には 未来を盗む泥棒猫】【林葉瀬那がいると分かった】
朝翔とじゃれる2話瀬那と、朝翔と結婚している未来瀬那のカット。

【残る謎は あの未来と現在を繋ぐ過程――】
【そんな状態から一ヶ月】

回想終了し、眼鏡を装着する夜澄。
視線の先には練習中の瀬那の背中があり、未来視を発動させる。

【十分な調査を重ねて わたしは】

夜澄「…やっぱり」「悲劇(これ)が全ての元凶なんだ」

アバンとなる一枚絵。
1話で視た、瀬那が右膝を抱えてピッチに倒れている未来のカット。

【事の顛末を 理解していた】



放課後、『人助け同好会』の部室。
部室の状態は1話と同じだが、教室隅にある掃除用具のロッカーのカットを挿入。
ロッカーには外が覗ける穴が空いてあり、朝翔と瀬那はそれに背中を向けている。

依頼主の優しそうな男(同級生)が悲しげに笑う。
男「じゃあもう行くわ」「色々ありがとな」
朝翔「おう」「また」
朝翔が男をハグし、元気づけるように背中を叩く。
男が出て行くと、朝翔は笑顔から一転、意気消沈し、床に背中から倒れ込む。
瀬那「一件落着?」
朝翔「うん」「悪いな 瀬那も付き合わせて」
瀬那「いいよ あたしも手伝ったし」「…それよりさー」
じーっと朝翔を見つめる瀬那。

瀬那「どうやってアイツの彼女が 浮気してるって見抜いたの?」「あたしには 全っ然ピンと来なかったけどなー…」
二人で一緒に浮気調査をしているカット。違う男とデートしている所を電柱の影から覗き見。

朝翔が天井を見上げ、寂しそうに笑う。
朝翔「勘だよ勘」「俺ホントに上手いから 隠し事見抜くの」
瀬那「勘って…」
いつもと違って元気なく笑う朝翔を、瀬那が心配そうに見る。
瀬那「元気ないじゃん」「依頼は解決だろ?」
朝翔「…でも 助けられなかった」
瀬那「え?」
朝翔が眼鏡を外し、顔を覆う。
朝翔「結局別れちゃったし あいつは傷ついた」「依頼貰った時点で 手遅れだったんだ」
朝翔が深いため息をつく。
朝翔「無力だよなあ 俺の力」「過去になる前から防げたらいいのに」

寝転がる朝翔の腹に、瀬那がボールを投げつける。
朝翔「いって!?」
瀬那「バーカ んなの無理だよ」「オマエは未来が視えるエスパーか?」
苦笑する朝翔。
朝翔「ニアピン」
瀬那「はー? ワケ分かんないこと言ってんなっ」「大体浮気なんかするヤツが悪いんだ」
ムッと膨れる瀬那。

瀬那「あたしだったら絶対しない」「付き合うんだったら結婚まで考えるし!」

朝翔は意外そうに目を丸くする。
瀬那「な 何だよっ」
朝翔「いや 別に」
朝翔がニッと明るく笑う。
朝翔「瀬那って 結構いい嫁さんになりそうだよなあ」
顔を真っ赤にして照れる瀬那のカット。
瀬那「なっ…」「バカ 変なコト言ってんなよ!」「バカ バーカ!」

瀬那が朝翔を蹴ってイチャつくカットから、後ろのロッカーにフォーカスするカットへ。
ロッカーの中から夜澄が覗いている。
夜澄(い…)(いちゃいちゃするなーっ!)
夜澄は涙目でハンカチを噛み、声が出ないようにしている。
夜澄(脳が壊れるッ)(どうして神はこんな仕打ちを)(ひとつでも多く未来を視るため ストーキングしてるだけなのに…!)※自業自得です と注記。

【だけどこれで 全て分かった】

夜澄が眼鏡を装着し、笑顔の朝翔を見つめる。
夜澄(『過去になる前』から防ぐ…)

【彼の願いは 叶わない】【彼女を止めるきっかけもなく 日々は過ぎて】

瀬那が倒れてしまう悲劇のカットを再掲。

【悲劇が起きて】

夜澄が眼鏡を上げる。
未来視を発動して、次シーンへ。

【全てが手遅れになってから 彼女はここへやってくる――】

③※全シーン未来視
 
朝翔が部室で漫画を読んでいると、ノックが鳴る。
「朝翔」
朝翔「お? 瀬那」「入ってこいよ!」
「…うん」と扉向こうで瀬那が応える。
★瀬那を映さず、朝翔のカットのみで進める。
カラ…と控えめに扉が開き、チャリチャリ…という擬音が近づいてくる様子をコマで割り、笑顔だった朝翔が本を落とし、表情が絶望に染まっていく様子を描写する。

瀬那「よっ」「元気?」

悲しげに微笑む、車椅子に乗った瀬那の大ゴマ。
右膝には痛々しい手術痕があり、壊れてしまったことを示す。
朝翔は膝から崩れ落ちるように屈み、瀬那と目を合わせる。
朝翔「瀬、那…」
瀬那「…何て 説明したらいいのかな」「…その」「あたしもう サッカーが――」

瀬那を強く抱きしめる朝翔。
瀬那「わっ!?」「ちょっ 朝翔」
朝翔「いいから」
瀬那を抱きしめ、自分の無力と瀬那への憐憫で泣く朝翔。目には過去視発動中の効果がかかっている。
朝翔「全部 分かったから」「もう 何も言うな…」
瀬那は驚くが微笑み、自分からも朝翔に抱きつく。
瀬那「力 強いって」「もうちょい優しくしてよ」
朝翔「…っ」「このバカ」
身体を離し、大泣きする朝翔と微笑む瀬那が向き合う。
朝翔「なんで笑ってんだよ…」
瀬那「…さっきまで泣いてた」「でも もういいや」
救われたように微笑む瀬那。

瀬那「オマエが泣いてくれたから いいや」

朝翔「…瀬那」
瀬那「あたし やることなくなっちゃったんだ」「だから…同好会 入れてくんない?」
朝翔は眼鏡を外して涙を拭い、笑顔を瀬那に向ける。
朝翔「もちろん!」

始業の予鈴が鳴る。
朝翔は「じゃあ行くか」と瀬那の後ろに回り、車椅子を押していく。
瀬那「お おい」
朝翔「いいから 遠慮すんなって」「任せろ 相棒」
瀬那は嬉しそうに微笑み、朝翔に全てを任せ、背もたれに背中を預ける。
瀬那「うん 相棒」「これから よろしくな――」

二人の後ろ姿がフェードアウトしていく。
それに合わせて「キーンコーンカーンコーン」という学校のチャイムの音が徐々に「カラーン カラーン カラーン」という教会のチャイムの音に変わっていき、シームレスに大未来の結婚シーンへ遷移する。

教会の鐘を見つめているタキシード姿の大人朝翔が、尻を強く蹴られる。
朝翔「いってえ!?」
瀬那「何ぼーっとしてんだよっ」
振り向くと、ドレス姿で笑う瀬那が蹴りの残心を取っている。蹴り足は怪我をした右足。
朝翔「瀬那ぁ…」「右は止めとけって」
瀬那「えー?」「いつの話してんだよ 懐かしいなー」
その場でぴょんと跳ね、平気だと見せつける瀬那。
瀬那「旦那蹴飛ばすぐらい 何でもないって」
朝翔「…旦那かあ」
朝翔が照れくさそうに頭を掻く。
朝翔「高校時代(あのころ)から何も変わってないのに すげー変な感じだ」
瀬那「んなことないだろ」「あたしはめちゃくちゃ変わったよ?」
朝翔「例えば?」

瀬那は自分から朝翔にキスをする。
それから朝翔の腕に抱きつき、変わらない快活さで笑う。
瀬那「今の方が ずーっと大好き!」
嬉しそうに笑い返す朝翔。
朝翔「俺も」

瀬那「行こうぜ 相棒」「これからもよろしくな!」

瀬那は力強く地面を蹴り、朝翔と一緒に未来へ駆けていく。
そんなカットがフェードアウトしていく形で未来視終了。



「西條さん」「…西條さん?」

夜澄「はっ!?」
同好会の部室で、机で突っ伏して寝ていた夜澄が朝翔に起こされる。
朝翔「大丈夫?」「すごいうなされてたけど」
夜澄「あ…」「東雲くん」
夜澄(制服)(わ わたしと話してる?)(あれ ここは…)

夜澄が部室を見回し、瀬那の事件解決後まで進んだカレンダーの日付と、部室の隅にある『依頼実績』の棚に『林葉瀬那さん』のネームプレートと記念品のサッカーボール、朝翔と瀬那の間に割って入る夜澄の三人の写真が飾ってあるのを確認。

夜澄(そうだ)(わたし 阻止したんだ)

夜澄「大丈夫」「少し 幸せな悪夢を見ただけ」
朝翔「ええ…?」どっちだそれ、と台詞外にツッコミ。
夜澄「あれから 林葉さんとはどう?」
朝翔「いや何も」「治療もあるし あいつ前より忙しそうで」「最近そんな喋れてないんだ」
朝翔が席を立ち、部室の窓から優しい眼差しでグラウンドを見つめる。
朝翔「でも それでいい」
瀬那が真剣な表情で部員を指導している。
朝翔「今のあいつ 輝いてるから」

朝翔が夜澄に向き直る。
朝翔「改めてありがとう 西條さん」「ホントに取り返しがつかなくなる所だった」
夜澄「…いい」
夜澄は微笑み、朝翔の隣まで歩いていく。

【取り返しがつかなくなる所だったのは わたしも同じだったし】
【こんなきっかけがなければ わたしはずっと『視ている』だけだった】

夜澄も窓から瀬那を見つめる。
夜澄(ごめんね)(わたしも譲れないから)

【一生に一度の勇気を 振り絞って】
【わたしは 悲劇を喜劇に変えたのだ】

夜澄がじーんと感慨に耽る。
夜澄(にしても本当に頑張った わたし…!)
バックにメイド服でのコスプレに羞恥する様子や、計画立案で頭を悩ませる様子、実行前夜は心配で眠れなかった様子など、裏側をコミカルに描いたカットを挿入。

夜澄(だけどこれで 完全勝利)
夜澄「東雲くん 背中に虫が付いてる」
朝翔「え? マジ?」
夜澄「動かないで」
夜澄が後ろに回り、眼鏡を装着する。
夜澄(悪い虫は払った)(つまり――)

夜澄(わたしの勝ちぃっ!)

夜澄がにやりと悪く笑い、未来視を発動させる。
しかし視えた未来は自分との結婚未来ではなく、またしても朝翔が別の金髪女(次話ヒロイン)と結婚式を挙げている未来だった。

【…は?】

次の嫁の強調カット。

【この女…誰っ!?】

未来視から戻った夜澄が朝翔の背中を殴る。
朝翔「いってえ!?」
夜澄「こ この…」

【というわけで】

怒りに震えて俯く夜澄。背後にノックされている扉を小さく描写しておく。
可愛くブチ切れる夜澄のラストカット。

夜澄「浮気者――っ!」

【わたしの悲劇は まだまだ続く】

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