「カコミライ×エフェクト!」第2話



夜澄が教室隅の自席で頬杖を突き、スマホで映画を見ている。
窓の外には桜が咲いており、時間は朝の始業前。クラスメイトたちは「一緒のクラスだね」など新学年開始の会話をしている。夜澄のモノローグ。

【PART2は 『未来』と『裏側』を描くものみたい】

夜澄のスマホに『バックトゥーザフューチャー PART2』のタイトルコールが出ている。

【というわけで少し時を遡り 今回はわたしの裏話】

朝翔が明るい笑顔で入室してくる。
朝翔「おはよっす! みんな1年間よろしくー!」
「あっ 東雲だ」「朝翔」「朝翔もB組なの?」「マジでー!?」
朝翔の周りに続々と人が集まっていく。
夜澄はその様子を見て映画を止め、イヤホンを外してケースに直し始める。
夜澄(いつ見ても明るい みんなの中心)
夜澄(まるで 太陽みたい――)
夜澄が携帯類を鞄に入れ終わって顔を上げると、笑う朝翔が目の前の席に座っている。
朝翔「よっ」「西條さん」
夜澄「…!」
朝翔「また前後だ」「2年でもよろしく!」
夜澄はクールに「…よろしく」と応える。

始業のチャイムが鳴り、先生が「よーし席につけ」と入ってくる。全員が自席に戻り始め、教室が騒がしくなる。朝翔も前を向いてしまう。
夜澄が俯くカットと共にモノローグ(※表情は映さない)。

【緊張すると 顔に出なくなる】【そんな性格で助かった】
【じゃないと――】

机の下から夜澄の表情をアップで映すカット。
夜澄は顔を真っ赤にして嬉しそうに笑い、ガッツポーズして喜びを噛み締めている。
夜澄(やった…!)(東雲くんと喋れた~っ!)

【この恋が 彼に見抜かれてしまうから】

夜澄が眼鏡ケースを取り出して眼鏡を装着する。表情はスケベっぽい。
夜澄「ふ ふふ…」(このナマの感覚が残ってれば…)

【それじゃあ またまた未来予知を】

眼鏡の真ん中を中指で上げ、朝翔の背中を見つめて未来視を発動する。
夜澄(今日はもっと綺麗に)(あの未来が視えるはず…!)

【これは過去が視える彼との】【未来を見据える わたしのおはなし――】

※ここでページをめくらせる。

【……じゃ ない?】

★扉絵にモノローグを割り込ませる。題字も『カコミライ×エフェクト?』に改変する。
タキシード姿の大人朝翔は変わらないが、ウエディングドレスを着ているのは夜澄ではなく、謎のロングヘアの女性に変わっている。
二人は手を取り合って、サッカーボール型の大きなケーキに入刀している。
未来視終了。



放課後の美術室にシーン移動。美術室の扉横には掲示板があり、「『文芸部』『漫画研究会』『美術部』の合同部室はココよ!」と指差す可愛い女の子のイラストが貼ってある。
美術室の中を映すカットへ移り、
夜澄「ふたりとも 助けて……っ!」
夜澄が机に手を突いて土下座する大ゴマへ。
二人の部員が驚く。
漫研所属のオタクでギャル――村谷香織はタブレットで漫画を描いている。
村谷「どしたんやすみん」「そんなパニクって」
美術部所属のやる気なし巨乳先輩――冬月みどりはドーナツをほおばっている。
冬月「ね~」「何があったの?」
夜澄が顔を上げる。
夜澄「未来が…」「未来が変わってしまったの!」
村谷・冬月「「未来?」」
怪訝な顔をする二人に、夜澄はハッと息を呑む。
夜澄「げ 現実じゃない」「『小説』のアイデアの話」※文芸部所属と注記。
両手で顔を覆う夜澄。
夜澄「ずっとひとりで考えてると もうワケが分からなくなってきて」「イチから話すから 展開について意見を聞きたい…」
村谷「極まってて草」
冬月「いいねえ~」「ちなみにどんな話?」
夜澄「未来が視える少女の 恋のお話で――」

謎のクール美少女としてでなく、等身大の少女として仲間に相談する夜澄のカット。
黒板を使って三人が議論している。夜澄はフローを描いたり、村谷はイラストを描いたりで展開を整理。冬月はお菓子食べたりゲームしたりしてるだけ。



夜澄がチョークの付いた手を払い、黒板から離れる。
夜澄「うん」「大体 整理できたかも…」
どこからか持って来たソファでごろごろしている冬月が、新しいお菓子を開ける。
冬月「あっ 終わった~?」「じゃあ最初っから聞きた~い」
青筋を立てる夜澄。
夜澄「食べてしかない あの人…」
村谷「パイセンはあれが仕事だから」

ため息をついて、夜澄が黒板のイラストを指す。
夜澄そっくりなルナという少女が、朝翔そっくりなサンという少年の背中を見守り、視線から好意を示すハートの矢印が書いてある。二人の下には過去視・未来視とそれぞれ記載あり。
夜澄「まず 彼女は彼に片想いしてる」「きっかけは1年前――」

以降は実際にあった過去回想に、セリフをのせる。
「彼女はクール美少女とか言われてるけど 実際は内弁慶の超内気女」「困ったことがあっても 誰にも言い出せない」「そこを彼が察して助けてくれた」
教科書を忘れて困っている夜澄。その目を朝翔が覗き込み、笑って自分の教科書を貸してくれる。朝翔は他の男子に見せてもらいに去る。

「それから彼のことが気になり始めたけど 話しかけられない彼女は」「彼の未来を 後ろからずっと視続けた」
教科書を抱えてきゅん…とする夜澄。しかし朝翔は友人たちに囲まれていて話しかけられない。なので眼鏡を掛けて(視るだけでも…!)と健気に背中を見る。

「力の調節を変えながら」「1年間 毎日 毎日」「そしたら ある日――」
ひたすらストーカーみたいに見守る夜澄が(このぐらいだと大学時代)(これぐらい『近め』だと3日後…)(今日は10年後を狙って…)と試行錯誤する日々のカット。制服を変えて春夏秋冬を表現。

「彼女は 最高の未来を観測した」
1話ラストで出した朝翔と夜澄の結婚カットを再掲。

うっとりする現在の夜澄に戻ってくる。
夜澄「以降 彼女はその観測ポイントを完全に体得し」「毎日視て幸せに浸ってた…」
村谷「やべー女で草」
冬月「感情移入しすぎでおもろいな…」「でも そっか~」
冬月が黒板の図を指す。ルナが『サンの色んな未来』と書かれたオブジェクトを見ている。そのオブジェクトには『過去視を使っている場面』『力を共有している場面』『ルナと結婚している場面』などフキダシが付いている。
冬月「沢山未来を見てたから」「『何でそんなこと知ってるの』みたいなのも 先取りして知ってるんだ」

夜澄「そう」「だけど今日 同じ観測ポイントの未来を視たら――」
『ルナと結婚している場面』にバツを付け、サンと別の女がくっついている絵を指す夜澄。
表情は嫉妬に歪んでいる。
夜澄「別の女とくっついてたッ!」
冬月「お~♪ いいねえ」
夜澄「よくない!」「こんな展開絶対やだ!」
村谷「自分で思いついたんじゃないん…?」
冬月「でもこうなる理由を考えたいんでしょ?」「だったら」
サンの下の『過去視』をチョークで囲む冬月。
冬月「やっぱこれ絡みじゃない?」
夜澄「ん」「他に未来が乱れる要素は考えられない」

村谷「アタシはこの案推し~」
夜澄が書いたケースの一つ【結婚相手が変わるほどの衝撃的な過去を視た】の字を指す村谷。
サンが例の女を見て「そうだったのか…!」と目をハートにしている。例の女には『実は昔 結婚の約束をした幼馴染だった』のフキダシが付いている。

冬月「いいねえ~」「でもせっかくなら」
冬月が【視た】の部分を【これから視る】に書き換える。
冬月「こうのがよくな~い?」
夜澄「む…」村谷「おー」
冬月「ほんとに最近変わったんでしょ?」「だったら」
チョークで夜澄を指し、にやりと笑う冬月。

冬月「近々 何か起きたりして」



翌日、再び教室の自席で考え込む夜澄。
夜澄(先輩の説にも一理ある)(でも 何か起きるって一体…?)

朝翔「あ みんなちょっといい?」「俺からお知らせ!」
朝翔が教壇に立ち、全員の注目を引く。
教卓にはビラの山が置いてあり、朝翔が一枚掴んで全員に示す。
朝翔「俺 『人助け同好会』始めました!」「依頼募集中なんでよろしく!」
夜澄「人助け同好会…?」
驚く夜澄の元に、朝翔の手製のビラが回ってくる。
ビラは1話で部室の扉に貼っていたものと同じ。紹介内容はほぼ探偵業で、何でも屋。

夜澄が眼鏡を掛けて驚く。
夜澄(おかしい)(こんな展開 視たことない)

冬月『近々 何か起きたりして』

ハッと息を呑む夜澄。
夜澄(もしかして これ――?)

「なー 朝翔」

夜澄が顔を上げると、頭にサッカーボールを乗せた女が朝翔に近づいている。
瀬那「ホントに どんな悩みでも助けてくれんの?」
瀬那の全身アップカット。
朝翔が気さくに笑う。
朝翔「もちろん何でも」「恋のお悩みでも!」
瀬那「バーカ」
ボールを朝翔にヘディングで打ち、快活に笑う瀬那。
瀬那「あたしはサッカー一筋だっての」「寝言は寝て言え」
じゃれる二人。その様子を見て「まあ瀬那はねー」などと和やかに笑うクラスの女子たち。
しかし夜澄だけは敵意に満ちた目で、瀬那を睨む。
夜澄(…距離 近い)

【理屈じゃなかった】
【強いて言うなら 女としての直感が】

夜澄(…チューニングを 『あの日』と同じに)

【視逃すなって 言っていた】

夜澄(1、2、3――)
眼鏡を上げて、瀬那の背中越しに未来視を発動する夜澄。
夜澄「視せろっ!」

一枚絵。
シーン①で視た結婚式のカットと全く同一のものが視える。

未来視が終了すると、周りのモブたちが「さ 西條さん…?」と怖れている。
夜澄は構わず、眼鏡を外しながら歯を食いしばり、睨む。
夜澄「視えた…っ」

【東雲くんに視たものと 全く同じ未来】
【つまり――】

無邪気に笑う瀬那の後ろに、大人になって髪が伸びた瀬那の姿を重ねてラストカット。
「未来を変えるのは」「この女…!」

次話に続く。

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