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わたしを構成するマンガ

久しぶりにnoteのトップページを開いたら #私を構成する5つのマンガ を募集しているということで、勢いで書きました。
今まで本当にたくさんのマンガを読んできたので、たった5つに絞るのは相当悩みました。しかし、「好きなマンガ」「おすすめなマンガ」ではなく「私を構成するマンガ」であれば、これしかないということで、選びました。

選りすぐりの5作品で、どれも本当におすすめです。
この記事で気になった人は、ぜひとも読んで下さい。

ひとつめ:ARIA

ひとつめはARIAです。知らない方のためにあらすじをWikipediaから。

物語の舞台となるのは、テラフォーミングされ水の惑星となった未来の火星、アクア。そのアクアの観光都市ネオ・ヴェネツィアで、一人前の観光水先案内人を目指す少女、水無灯里とその周囲の人々の四季折々の日常を描いている。

いわゆる成長物語です。
ゴンドラで観光客を案内する水先案内人、ウンディーネを目指す灯里が、小さな観光会社であるARIAカンパニーに入社するところから、一人前になるまでを描いた物語です。全14巻(大人の事情で最初の2巻はAQUAという名前で、3巻目からARIAという名前になっているため、ARIA単体では全12巻)。基本的に1話完結型のストーリーです。

さて、私がARIAを選んだ理由は、これが私にとって聖書のようなマンガだからです。

前述の通りARIAは1話完結のストーリーなのですが、その全てが心に優しくすっと染みこんでくる良い話で構成されています。そして、ありとあらゆる人生に対する答えがARIAにはあるのです。

例えば、仕事への考え方については19話(ARIA 4巻)、昔は良かった…と落ち込むときは26話(ARIA 6巻)、後輩や子供との接し方については50話(ARIA 10巻)、優秀な人と自分を比べて落ち込むときは51話(ARIA 11巻)や57話(ARIA 12巻)、といった具合。

私は社会人になりたての頃、枕元にARIAを全巻並べ、毎晩気分に合う話を読むというセルフARIAセラピーをしていました。私がなんとかいっぱしの社会人になれたのは、間違いなくARIAのおかげです。

ARIAのすごいところは、これらが本当にさりげなく、かつストレートに示されているところです。世の自己啓発書のようにしつこくなく、本当に少ない言葉で、でも核心をつく言葉で表現されています。そのため、なんのひっかかりも無く心に入ってくるのです。

私は、天野こずえ先生はマンガを通じて天啓を伝えるために現世に降り立った天使かなにかだと思っています。

そんなわけで、私のバイブルでもあるARIAを1作品目に選ばせてもらいました。いまは全7巻の完全版も出ているので、未読の方はぜひ読んでみてくださいね。

ふたつめ:ARIA

ふたつめの作品はARIAです。

私がARIAを2作品目に選んだ理由は、ストーリーの素晴らしさです。
ARIAは1話完結型の、あえてジャンル分けするならば日常系のストーリーです。とくに大きな事件が起きるわけでもなく、登場人物の日常が描かれています。

しかし、日常系でありながらも主人公の灯里が一人前のウンディーネを目指す成長物語であるという軸はしっかりしていて、少しずつ、確実に話しが先に進んでいきます。単行本1冊で1つの季節を描くという形態をとっていることも、このマンガの特徴です。季節をテーマにした話も多く、それが時間の流れを感じさせます。

この、日常系ながら話が先に進んでいく、というのがポイントです。「一人前のウンディーネになる」という明確な終わりがあるからこそ、そこに向かって少しづつ進んでいく日常は尊く、かけがいのないものとなっています。

作中でも、楽しい時間が過ぎ去ってしまうことは度々テーマとして取り上げられ、物語のひとつのテーマとなっています。
ARIAの特徴的なのは、このテーマが「現在一人前を目指す主人公」と「すでに一人前になってしまった先輩たち」という二つの目線で語られることです。日々、友達と練習を重ねて楽しい日々を送る主人公と、忙しくて友人と会う時間もあまり取れない先輩たちの対比があります。
物語を通じて語られる今を大切にするというメッセージは、何度読み返しても胸に刺さります。まさにマインドフルネスです。

もうひとつ、ARIAの大きな特徴は、良い人しか出てこない超優しい世界ということです。

ARIAの対義語は悪意です。
ARIAには悪意はかけらも出てきません。物語上、多少のトラブルが発生することはありますが、全て善意から生じるトラブルです。もちろん、世の中の日常系マンガには悪意が出てこないものが沢山ありますが、ARIAのストーリーは悪意が出てこないに留まらず、ひたすらに優しいのです。
読んでいると、まるでに母体の中に還ったような安心感に包まれます。世界は善意に満ちている、そんな気持ちになります。

私は常々思っているのですが、世界中の人にARIAを配れば、戦争もいじめもなくなります。本気です。ARIA好きな人に悪い人はいません。人類は、ARIAによってついに一つになるのです。

え、悪意が無いのはリアリティが無いって?リアリティが欲しい人はどうぞ、闇金ウシジマくんでも読んでて下さい。僕はARIA読んで幸せな夢を見たいんだ。

ARIAを読むと、心が本当に落ち着きます。正直、下手な薬やセラピーより精神安定の効果は高いと思います。そう、ARIAは読む精神安定剤なのです

以上が、私がARIAを2冊目に選んだ理由です。いかがだったでしょうか。

みっつめ:ARIA

さて、折り返し地点。3作目はARIAです。みなさん、ご存知でしょうか。

私が3作目にARIAを選んだ理由は、その作画の素晴らしさにあります。
ARIAは全ページがパソコンの壁紙に出来るレベルの美しさです。

ARIAの舞台、ネオヴェネツィアは、イタリアのヴェネツィアをベースに作られた街で、実際にヴェネツィアの様々な観光名所が再現されています。ヴェネツィア自体どこで写真を撮っても美しい街ですが、ARIAはこれを1000%活かした作画になっています。

特に多くの話で活用されている見開きの表現は、どれも息を飲む素晴らしさです。紙のマンガを読んでいるにも関わらず、VRで物語を体験しているような没入感を得られます。

また、景色だけでなく、キャラクターや衣装、小物の表現に至るディティールが素晴らしいです。これらが、水の惑星という世界観を最大限引き出しています。私はVRに関する仕事をしているのですが、今まで読んだ数千を超えるマンガの中で、最もVRで体験してみたいと思った世界がARIAのネオヴェネツィアです。ネオヴェネツィアに行けるなら、喜んで転生します。来世、頼むぞ。

本当は素晴らしいページの数々ここに載せたいのですが、ARIAの著作権を侵害するくらいなら死んだほうがマシなので、やめておきます。ただ、表紙ならオッケーかなと思うので、最終12巻の表紙を載せておきます。

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この空気感ね。ARIAの表紙に頭ぶつけてネオヴェネツィア行きたい。最高。
ARIAの表紙はどれも、印刷して額に入れて飾れるクオリティです。

先程、少し世界観の話をしましたが、ARIAはネオヴェネツィアという舞台設定も最高です。地球のヴェネツィアを模して火星に作られた都市、ネオヴェネツィア。人気の観光都市でありながら、あくまでオリジナルの模倣にすぎないという側面をもちます。しかし、それが逆に本当に大切なものは何かということを教えてくれます。

また、天候をつかさどるサラマンダーや、重量を制御するノームなど、火星ならではの職業があったりするところは、SFとしても楽しめる要素となっています。しかし、自由に地球と火星を行き来することができるほど技術が発達した世界の中でも、メールではなく手紙のようにあえて不自由を選ぶといった、ネオヴェネツィアならではの風習が描かれており、そこがよくあるSFとは一線を画するところです。もうね、世界観からして優しい

さて、話が少しそれましたが、世界観も作画も素晴らしいARIA、未読の皆さんはぜひ、この機会にジャケ買いしてみてはいかがでしょうか。

よっつめ:ARIA

この流れで、私が4作品目に選んだのはARIAです。意外でしょうか?

私がここでARIAを選ぶ理由は、その個性的なキャラクターです。

キャラクターについては、もう全員あますところなく好きだし、大好きなので、とてもじゃないけれど一人ずつ書いていけないのですが、とにかく全員最高であることは保証します。前に書いたとおりARIAには良い人しか出てこないのですが、本当にそのとおりで、間違いなく全員好きになれます。(もしもARIAを読んで「こんな人いないよ、現実を見なよ」とか思う人がいたら、どうぞお構いなく、ウシジマくんをどうぞ。)

ARIAの主なキャラクターは6人。主人公の灯里と、共に一人前を目指して切磋琢磨する友人の藍華、アリス。そして、それぞれの師匠にあたるアリシア、晃、アテナです。

私は常々、キャラクターは相互の関係性によってこそ描写されると思っているのですが、この友人関係、師弟関係がとにかく素晴らしいのです。

友人関係、と言っても、主人公を含む3人はみな別の会社に所属していて、一人前になることを目指すライバル関係でもあります。ちなみに、一人前のウンディーネのことは作中でプリマと呼ばれ、限られたウンディーネのみが名乗ることができる狭き門とされています。
彼女たちは競合会社に務めるライバル関係でありながら、日々一緒に練習を重ね、いつのまにか人生に欠かせない親友となっていきます。そして、物語の終盤、登場人物たちがプリマに昇格していく流れは素晴らしいの一言です。この物語で築かれた友人関係がいかに素晴らしいものか、真の友人とは何か、我々に教えてくれます

友人関係に負けず劣らず物語を盛り上げるのが、師弟関係です。ARIAでは灯里、藍華、アリスの3人に対して、師匠にあたるアリシア、晃、アテナがプリマになるための指導をしていきます。一癖も二癖もある先輩たちは、しかし、心から後輩を愛しています。この愛が尊い。死ぬ。
先輩たちは、当然かつて灯里たちと同じ半人前だった時代があるわけですが、それを乗り越えたことによる一人前としての頼りがいのある姿と、一方で様々なことに悩み、もがいている人間らしい一面のギャップがとても魅力的です。本当に先輩たち好き。こんな魅力的なキャラいる?いたら教えて下さい。駆けつけます。

さて、こんな素晴らしい人々との出会いがあるARIA、もし未読の方がいたらぜひ、この機会に読んでみてはいかがでしょうか。きっと、あなたも人生に残るお気に入りのキャラが見つかるはずです。

いつつめ:ARIA

さて、この記事も最後になりました。5作品目はなんと、ARIAです。

私が最後の作品にARIAを選んだのは、アニメ化が素晴らしかったからです。
ARIAは全編アニメ化されており、第1期のARIA The ANIMATION、第2期のARIA The NATURAL、第3期のARIA The ORIGINATIONの全3回に分けて放映されました。1、3期は1クール、2期だけ2クールで全4クールというなかなかの大作です。他にOVAのARIA The OVA 〜ARIETTA〜や、TVアニメ10周年記念で制作された劇場版のARIA The AVVENIRE、また2020年には新作アニメーションが公開されることが発表されています。めちゃめちゃ楽しみです。

さて、全14巻のマンガがこれだけ長くアニメ化されるということがどれだけすごいか、アニメやマンガを嗜んでいる方なら分かると思います。それだけファンから愛されていて、かつ、アニメの評判が良いということです。

アニメは全て、セーラームーンなどを手掛けた佐藤順一氏が監督を努めており、原作マンガの優しい世界をそのまま動画にしたという出来になっています。まさに、見る精神安定剤です。アニメ放映当時、深夜枠だったこともあり、ARIAを見ながら眠りにつく「ARIA寝落ち」が至上の幸福として話題になっていたのは有名(な気がする)です。アニメオリジナルの話もいくつかあり、どれも原作を全く損なわない素晴らしい出来となっています。

実は私がARIAと出会ったのは3期目のARIA The ORIGINATIONのときで、深夜にたまたまアニメを見たのがきっかけでした。最後のシリーズということで、終盤の展開は誇張なしで神の一言でした。毎週感動の涙を流していたのをよく覚えています。

また、ARIAのアニメについて語る上で避けて通れないのが音楽です。
OPもEDも、まさに聞く精神安定剤。社会人になりたてのころは、休憩時間にARIAの曲を聞きながらHPを回復したものです。私のイチオシは、1期EDのRainbow(ROUND TABLE feat. Nino)。いろんな音楽配信サービスで聞けるので、ぜひ聞いてみて下さい。
また、主題歌だけでなく劇伴も素晴らしかったです。ARIAの優しい世界観は、その音楽によって完成されていました。

さて、気になるけどマンガを買うのはちょっと…という方は、ぜひこの機会にアニメをご覧ください。dアニメストアで全シリーズ見ることができます

まとめ

以上が、「私を構成する5つのマンガ」になります。いかがだったでしょうか。いずれも、本当に心からおすすめする素晴らしい作品です。この記事が、みなさんがこれらの作品と出会うきっかけになれば、それ以上の幸せはありません。

おしまい。



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