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少人数スタートアップの執行役員(男)だけど育休取りましたっていう話

どうも。お久しぶりです。Psychic VR LabというXRスタートアップで執行役員をしております、みずくんと申します。

2021年9月末に第二子(娘)が産まれ(上の子は4歳男の子)、10月いっぱい丸々1ヶ月育休をもらいました。
最近は男の育休も珍しく無くなってきている気がするけれど、それでも取得率は12%程度らしいです。なかなか低い……と言うことで、もっと世間に男性育休が広まればいいなってことでnote書いてみました。育休全く関係ない人にこそぜひ読んでもらいたいですが、育休取る予定の人にとっても役立てばと思います。

男性の育休ってなんで取るの?

育児っていうのは何年にも渡って行われることなので、1ヶ月ぽっち休暇を取ってなんか意味あるの?って思いますよね。実際のところ育休期間が明けたからといっていきなり育児負担が減るわけじゃないのですが、それでも男性が育休を取ることには大きな意味があります

自分が特に感じた点を3つ紹介します。(前提として、ここでは出産直後から1ヶ月ほど育休取るようなケースを想定しています)

ひとつめは、出産をした妻に休んでもらうためです。
出産というのは本当に大変な負担が身体にかかるものなので、出産をした母体が元通りになるまでにはそれなりに時間がかかります。一説によると全治一ヶ月の大怪我をするのと同じ状態らしいです。身体が元通りになるまでの期間を産褥期と言うのですが、大体6-8週間かかると言われています。この期間は体力面の問題もありますが、精神面でも不調をきたしやすい時期です。
ですから、とにかく出産後しばらくは安静にして貰う必要があります。そういう意味で、育休中は育児はもちろん、家事なんかも含めて基本的に全部夫がやるということになります。
育休は「夫が育児を手伝う期間」だと思っている人もいると思いますが、「育児も家事も夫が全部やる期間」なんです。ちなみに授乳は妻にしかできないことですが、逆に授乳以外に夫に出来ないことは一つもないので安心してください。

育休をとる理由ふたつめは、育児という新規プロジェクトに慣れるということです。
育児っていうのは言ってしまえばかなり長期のプロジェクトみたいなものです。24時間対応が必要で、優先度が常に最高なプロジェクトです。子供ができるというのは、業務外でそんなプロジェクトにいきなりアサインされるようなものだと考えてください。
育児はかなり個人差があるプロジェクトですから、その内容は体験してみないとよく分からず、事前にWBS立ててガントチャート引いて、、みたいなことはできません。そんなプロジェクトを普段の仕事をこなしながら同時進行で進めるのは、どんなにプロジェクトマネジメントに長けた人でもほぼ不可能です。初日から炎上待ったなしです。
ですから育児という新規プロジェクトに集中して、今後のプロジェクト運営の見通しを立てようというのが育休の大事な目的です。
本来の仕事をしながら育児をこなすにはどうすればいいのか、感触を掴むにはやっぱり一ヶ月くらいかかります。自分はいつ仕事ができて、どの時間帯は子供のために開ける必要があって、何時間くらい寝れるのか、みたいなことを把握する感じです。

育休をとる最後にして最大の理由は、生まれたばかりの子供と一緒に過ごす時間をたくさん取ることです。
赤ちゃんは可愛いですからできるだけ一緒にいたいですよね、みたいな話です。これ実はすごく大事で、海外では育休がBaby Bonding Leave(子供との絆を強める休暇)って呼ばれたりすることもあるのですが、生まれたばかりの子供とどれだけ長く過ごすかで、その後の父親の意識がかなり変わるらしいです(どこかで聞いた話でソースは無いのですが、感覚的に正しいと思います)。
育休はこれから20年くらい続く育児の原動力というか原体験を作ることになるわけです。
ちなみに、『チコちゃんに叱られる』によると「わが子と生涯で一緒に過ごす時間」は父親だとたった3年4ヶ月しかないらしいです。そう考えると、1ヶ月もの間子供につきっきりで過ごせる育休期間は本当に貴重ですね。

ちなみに上記3つには挙げなかったのですが、この他に育休を取る理由として大きいと思われるのは「産前産後の恨みは一生続く」というやつです。産後どれだけ妻を思いやって家事育児をしたかは、その後一生の夫婦関係に響くらしいのでご注意を。

また、自分は今回二人目だったのであまり感じなかったのですが、育休は精神的な変化を受け入れる期間でもあります。
これは実際に体験しないとイメージしづらいのですが、子供ができるというのは(特に初めての子供は)それまでの人生であったすべての変化がすごく些細に感じるほど、人生で最大の変化になります。例えば転職の1000倍くらいの変化が意識面でも生活面でも生じると思ってください。

有意義な育休を取るためには

さて、男性も育休取ったほうがいいよというのはなんとなく理解してもらえたと思うのですが、実際に仕事を1ヶ月も休むのは大変じゃない?という疑問があるかと思います。
これは実際そうで、私も一人目で育休を取ったときは超大企業の末端社員だったので気軽に取ったのですが(当時は計3ヶ月とりました)、今回は30人しかいないスタートアップでしたので、それなりに準備はきちんとやりました。
ということで、これから育休を考えている方に向けて、いくつかポイントを挙げておきます。

まず、妻の妊娠が決まった時点で出産までの業務のロードマップを立てましょう。
出産まで10ヶ月もあるので、そんな先のことは分からないというのはあると思いますが、大雑把でいいので出産前後に余裕が生まれるようなロードマップを引いておくのが重要です。
できる限り仕事の区切りの良いところで育休に入るというのは、業務効率的なメリット以外にも、育休中に仕事のことを忘れて育児・家事に没頭できるという利点があります。これはかなり大きくて、私も今回ちょうどうまく仕事の切れ目で育休に入れたので、育休中に仕事のことが頭をよぎるということは殆どありませんでした。

次に、なるはやで職場に伝えて根回しする、です。
基本的に、安定期に入ったら仕事で関わっている人には伝えるべきです。そして、基本的にみんな他人の休暇には興味がなくてすぐ忘れるので、定期的にリマインドすること。そうすると、自然と「あのひとはこの時期はいない」という前提でいろんなスケジュールが組まれていってくれるものです。
上司など一部の人には、理解のある人であれば安定期に入る前に伝えてしまうのもありです。ただ安定期に入るまでは何があるかわからないので、部署全体に告知、みたいなのは安定期後にしましょう
また、同時に「いつ生まれるか分からない」みたいな雰囲気も出しておくと良いでしょう。実際予定日に生まれる子供は5%くらいしかいないらしく、それなりにずれるので、予定日を前提にガチガチにスケジュールを組むと詰みます。理想的には、予定日の一ヶ月前くらいからはいつでも育休に入れるくらいの余裕をもって業務を組めると良いです。それはまぁ実際には難しいとは思いますが、、
いずれにせよ、とにかく根回しが大事です。育休では少なからず同僚の助けが必要なので、助けてもらう会社のメンバーに最大限配慮しましょう。
また業務にもよりますが、社外の関係者にも早めに伝えておくと良いです。私は採用を担当しているのですが、候補者の方には採用面談の時点で育休をとることを伝えていました。

あとは当たり前ですが、きちんと引き継ぐことです。
長期休暇ですが、その間自分が担当していた仕事が滞らないように引き継ぎ先を決めて、業務を引き継ぎましょう。
ちなみに私は育休を決めた当時「社内ひとり人事」で、特に採用業務に関して引き継ぐ相手がおらず、育休中仕事を引き継ぐ相手を採用するというのをかなり気合い入れてやりました。(育休関係なく人事職は募集していましたが)
結果的に私の育休開始1週間前に人事の方が入社してくれて、その方に採用業務を全て引き継ぐことができました。本当に優秀な方を採用できたおかげで、入社後1週間の引き継ぎでいきなり採用全般を担ってくれた上に、育休の間完璧に採用業務を回してくれたので、めちゃめちゃ助かりました
メイン業務以外にも、あらゆる業務を漏れなく引き継ぐようにしましょう。これは育休中迷惑をかけないためであるのはもちろんですが、それ以上にきっちり引き継ぐことで育休中に育児・家事に集中するためのというのが大きいです。
実際には育休中もSlackなどは定期的にチェックしていましたが、私が対応しないといけなかった案件は数えるほどしかなかったです。

育休中の生活

さて、育休の生活はこんな感じでした!というやつです。

育児シフト (2)

これ実際に育休中に使ってたスケジュール表なのですが、これを作ったのは正解でした。
ただでさえ二人の育児を回すのはかなり煩雑なので、基本的に事前に作ったスケジュールを黙々とこなすというのが良いです。育休前に叩きを作って、育休中に何度か夫婦で話し合って改定していきました。
現在はこれの育休後バージョンを作って運用していますが、概ねうまくいってます。

やってよかったのは、夜の時間を二分割して各々が確実に寝れる時間帯をある程度確保したことです。赤ん坊の育児で一番つらいのは睡眠が取れないことなのはよく知られていますが、「この時間帯は絶対に起きない」というのをお互いに決めて、最低限の睡眠が確保できるようにしました。自分の就寝時間以外も、赤子が寝てくれている間は眠れるので実際は運が良ければかなり寝れます。まぁ運が悪いと(赤子が夜に寝ず、長男が超早起きとかするケース)4時間睡眠とかになるわけですが……

さいごに

さてそんな感じで、楽しい二人育児ライフをはじめました。
二人育てるのは一人の3倍大変みたいな話もあるらしいのですが(ソースはお祝いの電話をくれた親戚)、実際2倍以上に大変なのは間違いないです。毎日まじ戦争。
子供三人とかいて死んでない人はそれだけで優秀なプロジェクトマネジメント能力があると判断できるなって最近思ってます。

今後生活がどう変わっていくのかはあまりわからないのですが、当面は「生きる」を最大の目標に掲げてがんばります。周囲のみなさんには色々ご迷惑をおかけするかと思いますが何卒。

このnoteを見て男性育休についてなんとなく理解が深まってくれる人が増えてくれれば!

ちなみに、男性もきちんと育休が取れるPsychic VR Labではあらゆる職種を絶賛募集中です。興味のある方はこちらをどうぞ。

おしまい。


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