SES業界の良いところ悪いところ

1. はじめに

 SES業界で働いたことがある筆者が、SESの良いところと悪いところを書いていく。もちろん、筆者が書いていることが全てではないが、メリットとデメリットを知っておき、職業選びのきっかけとして欲しい。

2. SESとは

 SESとは「Software Engineering Service」といって、派遣先企業に常駐して働くエンジニアのことである。

 厳密な定義は筆者でもわからない。筆者の感じでは、自社とは異なる企業に行き、派遣先企業の人とともにソフトウェア開発をするイメージである。「じゃあ普通の派遣と何が違うの?」というところは、筆者も知らないので、別の記事などを読んでほしい。

3. SESの不思議

 当初、筆者が不思議に思ったのは派遣先企業での名義である。例えば、派遣先企業では、自社の名刺を使わずに派遣先企業の名義で働くことになる。名刺、メール、電話対応などで自社の名前を出すことはない。あくまでも、派遣先企業名義である。

 また、労務管理も派遣先企業で行われる。例えば、「残業が多いので注意してね」なども、派遣先企業で管理される。ある程度は自社のルールはあるだろうが、基本的には派遣先企業に準じて行うことが多い。

4. SESで働くメリット

4.1 比較的大企業で働ける

 CMなどに出てくる名だたる大企業に新卒・中途採用で入社することは簡単ではない。「一度でいいから大手企業で働いてみたい」という人にとっては、SESとして入ることはオススメである。

 自社の会社が小さかろうが、派遣先企業は名だたる大企業であることも少なくない。その場合、周りの人に自慢しやすい。

4.2 派遣先で成果を上げなくてもよい(極論)

 これは極論であるが、派遣先で成果を上げなくても自分には関係ない。なぜなら、自社ではないためである。これは、メンタル面に心配のある筆者にとってはプラスであった。辛いことがあっても、「これで失敗したとしても、派遣打ち切りでいいや」と思い、気を紛らわせた。

 もちろん、成果を上げれば自社の売り上げは上がる、仕事が増えるなどの良い循環となる。繰り返すように、成果を上げるに越したことはない。

4.3 余計なことは考えなくてもよい

 派遣先企業で余計な業務は基本的にやらなくてよい。例えば、機器の購入、○○委員会などの業務は、SES社員が率先してやることはない。つまり、自分の業務にしっかりと集中することができる。

4.4 合わなくても移動できる(可能性が高い)

 人間だれしも、その会社にフィットする度合いは異なる。その場合でも一般的な会社の場合、部署移動をお願いすることになる。移動するのはいいが既存の人間関係上の人と廊下で会うのはちょっと気が引ける。

 SESは会社ごと変えられる。合えば儲けもの、合わなければ会社ごと変えればいい。

4. SESのデメリット

4.1 業務が受け身になりやすい

 業務の方針決めは派遣先企業が決める。その結果、業務に対して受け身となりやすい。もちろん、筆者の仕事のスタイルが受け身だったからという面もあるだろう。しかし、筆者が見る限り、受け身となっている派遣社員は多くいるように思っている。

4.2 改善要求を伝えづらい

 改善要求があったとしても、派遣先社員のご機嫌を損ねることは伝えにくい。結果、SESから改善を進めることは非常に困難である。

4.3 差別はないが区別はある

 働く場所が一緒であったとしても、「社員」と「派遣社員」には埋められないほど大きな違いがある。もちろん、業務的に差別扱いをされることはなかったし、皆いい人だった。しかし、区別はあった。例えば、顧客の前へ出るのは社員が中心であったし、派遣社員ではアクセスできない情報がたくさんあった。

 例えば、「今やっている業務の利益が上がっているのか」「今後の業務のロードマップ」などは派遣の身分ではうかがい知ることはできない。まぁ、しょうがないことではあるが。

4.4 スキルアップが難しい(筆者の場合)

 これは派遣先の企業次第であるが、筆者の場合は、あまり開発業務をする機会を得ることができなかった。筆者の多くの時間が、テスト業務、文書作成などをやっていた。とはいっても、他の人は開発業務をやっていた人もいるし、単純に自分のスキル不足だったかもしれない。

5. どんな人にSESはおすすめなのか

 筆者は、以下の人にSESをお勧めしたい。

5.1 積極性のない人

 人間の性格を簡単に変えることはできない。例えば、「あの人の性格ちょっときついよね」と思ったところで、その人の性格は簡単に変わらない。

 SESの場合は、派遣先の社員の指示に従って業務をすることが多い。その場合、積極性がない性格の人にとっては、非常に適している。

5.2 現時点でスキルに自信がない人

 現時点でスキルに自信がないという人は、まずはSESから始めてみてもよいだろう。そこで、一生懸命頑張り、なんらかのスキルが付くと、下記に繋がる。
・派遣先の社員になる
・派遣先で学んだスキルで別の会社に転職する

 派遣先で実績を残すと、派遣先に転職しないか働きかけをもらうことも少なくない。また、派遣先の実績から、他社へ転職し、給料アップや待遇改善のステップとすることも可能である。

6. 終わりに

 今回は、SESの良いところと悪いところをまとめた。SESは業界的には評判は悪いかもしれないが、メリット・デメリットがあるため、総合して自分のより良い選択をしてほしい。


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