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私の卒業式

2023年3月31日。
ほぼ31年勤務した会社の
私の卒業式だった。

当日までバタバタだったし
引き継ぎが思うように進められなかったこともあって
焦りはあるものの、最終日になっても
これで終わるという感覚がほぼゼロ。。。

はるか昔、新卒で入社した会社を3年3ヶ月で辞めた時の
ことを思い出した。
あの時は、会社の内部分裂が密かに進行していて
辞めたいと考えた原因はいろいろあったものの
ストレスで体調に変調をきたしていたことが直接的な原因だった。
辞めることで哀しいことは何もなかったはずなのに
送別会を開いていただいて
その席で突然大泣きしたことを覚えている。
初めての社会人経験で、私なりの必死に頑張った場所だった。
でも、自分が泣き出すとは思っていなかったから
泣き出した自分に驚いたのだった。

で、それから30年。
今回は、最終日に自分は何を感じるのだろうか
ちょっと楽しみだった。

本社の上司から突然花束が届いた。
2週間前に出張で来日した際に
アレンジしてくれていたらしい。
なんとも暖かなメッセージが添えられていた。
ありがたいことだ。

そして、コロナ以降出社している人がめっきり減ったが
当日オフィスにいた人たちに挨拶を始めた。
私はというと、実に淡々としていた。

この間、PCの管理者であるITの担当者から
PCの返却は今日でなくてもいいという話があって
今夜徹夜しても終わらないかも。。。と思っていたところ
だったので、ちょっと安心していたが、
これが「最終日」の感覚を凍結させていたのだと思う。
PCは4月3日(月)返却で話がついた。

結局デスクやロッカーの中身を全部整理して
オフィスを出るときも、
惜別の念を持つこともなく
淡々としていた。

その後、同僚が仲の良かった女子数人で
「送別女子会」の予約をしてくれていたので
そちらに向った。

楽しいおしゃべりは尽きず
素敵なメッセージ入りのケーキをいただいて
ありがたい思いが溢れていたものの
寂しさは感じなかった。
リュックに入れた会社のPCが重かった。

4月3日にも素敵な花束をいただいて。。。

週末、それまでと変わらず、家のお片づけとお仕事。
『終わった感』ゼロで週末もあっという間に過ぎ去り、
4月3日、月曜日。
私の他にもうひとり、3月31日退職の人がいて
その人の送別ランチ会に参加すべく、会場へ。
途中、電車の中や駅で、スーツが全然似合わない
フレッシュな新社会人を何度もみて
声にならない声で
「これまでと全く違う世界だけど、頑張って!」と
エールを送る。

この日の送別会は、私ではない、もう一人の旅立ちのための
送別会だったのに、私まで花束をいただいてしまった。
送別会が終わり、
その場に来ていたIT担当者にPCを返却した。

その時だった。
レノボのThinkPadのPC。ワイドの画面で
悪くはないPCだったが、とても重かった。
それをIT担当者に手渡して、
私の手から、その重さが消えてなくなった瞬間に
これで終わったという感覚が
身体中で沸き起こった。

これで終わった。。。

タイトルバックの写真は
イギリス、ウェールズ出身の上司が
地元ウェールズ名産の粘板岩で
屋根瓦などにも使われているものに
ウェールズ語で「DIOLCH」
Thank you の意味らしい。
同じUnited Kingdomを形成しているというのに
まるで英語とは別言語!
これをはるばるウェールズから持ってきてくれたのだった。

そんな私の30年にわたる
この会社での勤続経験にピリオドが打たれた。
終わったんだな〜という実感が
じわじわと湧いてきていた。

私の能力不足や至らなさに
自分で落ち込んだことも
大泣きした夜も数えきれず。
それでも、自分なりに必死にやってきた。
仕事だけでもヨレヨレだったタイミングで
MBAに挑戦したりもした。
没頭して仕事していたある時、
ふと周囲を見るとみんな超リラックスモードで
まさに髪を振り乱し目を吊り上げ
恐〜い形相の自分との違いに
自分は何をしているんだっけ?と思ったこともある。
もっとできたこともあったはず・・・という思いは
当然ながらあるけれど、
あのタイミング・あの環境・あの時の自分の力量で
できることはやってきたのだ。
無理なくそう思えた。
よしよし、よくやったぞ。頑張ったな、自分!

ということで、会社員人生を卒業しました。

これからは、もっと自分と対話しながら
日々の思いを綴っていきたいと思います。

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