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舞台『テイラーバートン』 異色で上質なエンターテインメント

7月29日。13時。東京キネマ倶楽部。
舞台『テイラーバートン』の初日、柿落とし。

なんとこの回のチケットをなんとかゲットして、会場に潜入することができた。

毎朝のVoicyが日課で、キンコン西野さんのプログラムはプレミアム登録もしている。だから、テイラーバートンの準備進行の具合や、かける思いは、頻繁に聞いていた。

家族の事情もあり、コロナ最盛期から今に至るまで、外出の機会が少なくて、
最初は公演も他人事のようだったが、開演が迫るにつれて西野さんのVoicyにも熱量が上がるのがわかり、ワンチャンをモノにした!

『テイラーバートン』上演までのストーリー

演者5名。
会場は東京キネマ倶楽部。
公演は、7月29日2公演、7月30日1公演、の計3公演のみ。初日を迎えた翌日は千秋楽という、破天荒なスケジュール。

演者は、宮迫博之さん、木下隆行さん、西野亮廣さんの芸人3名と舞台俳優の戸田恵子さん、阿部よしつぐさん。全5名。

もともとは、宮迫さんが俳優志望、劇団・劇場を作るのが夢だという話が発端だったそうだ。それを聞いた西野さんが、実現しましょうよ、と周到な準備で迫り、最高の役者を集め、最初は自分で出演する気はなかった西野さんが、「これ、絶対におもしろい!」と自分も俳優として演者になることを決めたそうだ。

YouTubeで、この舞台の発端から演者が揃うまでの話を見ることができるのだが、人を巻き込む時の準備や乗せ方、西野さんの頭のいい隙のなさは、これだけで感動もの。加えて、演者のみなさんの人情の厚さ。これを見ただけでも、それぞれが相乗効果を出し合って、すごいものになりそう・・・とウズウズしてくる。楽しくないはずがないっ!!

まもなく開演・・・

幕が上がった・・・

幕が上がって(実際に舞台に幕はないが)、軽快にストーリーが進行していく。

やっぱり、芸人3人の会場を掴む力はものすごい。それぞれ、過去の話題を上手にいじりながら、ストーリーを繋げていくのは、見事という他ない。これ、ベテラン俳優や普通の芸人では絶対にできない、神の域に近いんじゃないかと思った。

俳優組は、芸人組が作り出す空気感に上手に乗りつつ、存在感を如何なく発揮していた。やっぱり、この方達も俳優としての度量が高いのだな〜と感じた。

幕のない舞台

以前、オペラにハマっていたこともあって、過去の名演と言われるDVDもいくつか持っているが、演劇の観劇数は少ない。開演前に幕を上げている舞台はあったが、そもそも幕がない舞台を見るのは初めてかもしれない。劇場の大きさと、客席数を減らして舞台を迫り出した舞台構成だと、幕は無理なのかもしれないね。

舞台は、とても作り込まれているのに窮屈感がなく、リズム感のある色使いで、舞台全体がとてもきれいでまとまっていた。

照明もすごかった。2022年1月のプペル歌舞伎を観た時の感動を思い出した。えんとつ町を覆う雲を突き抜けた、その先の空を表現する照明の威力。今回は、赤い光線が会場内を動きまわり、演者に当てるスポットもとても自然で、きれいだけど無理がない。疲れないのだ。舞台美術や照明のことは何も知らないが、洗練されていて会場の小ささを感じさせない、上手な作りだったのだと思う。

会記2日、全3公演。

Voicyで西野さんが盛んに言っていたのが、役者さんの稽古に報酬を払うということ。一般的には、稽古に対して出演料は払われないので、職業としての俳優はとても厳しいそうだ。そんな業界の慣習に風穴を開ける!と、稽古に対しても報酬を払い、会記を極限まで短縮することで役者の拘束時間を減らし、それでも興行として成功するビジネスモデルに挑戦する、と言っていた。クラウドファンディングに制作会議や稽古の有料公開によるマネタイズ、応援者の好奇心をくすぐる、ちょっとひねりの効いたグッズの販売など、いろいろと考えながらチャレンジしているのが伝わってくる。

それでも、あの舞台にかかる費用と、とっても巧者な演者たちの出演料が全てカバーできるのかどうかは知りようもない。が、プログラムの配信チケットはもうしばらく販売が継続されるようなので、「成功」してほしいと思う。

いや〜とにかく楽しかった!

終わってみて、全てが上質なエンタメだったと改めて思う。

芸人組の3人は、舞台上に何が起こっても、それを笑いにすり替えてしまえるアドリブ力がある。しっかりと上質の枠内での笑いなので、安心して笑っていられるのだ。

舞台俳優組は、一般的なプログラムとは違う進行に戸惑いを感じる場面もありながら、信頼関係で、芸人組のお笑いオーラにしっかりと乗って、さらに場面を盛り上げる。

それぞれが、持てる力を如何なく発揮して虹色のオーラを生み出す特別なステージという感じがした。

よく笑ったが、深くて味わいのある笑いだった。異色の、上質なエンターテインメントだ。気になる方は、配信チケットは9月末まで販売中のようです。おすすめです!

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