見出し画像

生きよう〜Neo Universe 2011 I Love You,Always...

「今年はツアーができなくなるかもしれない。」

これは記憶に新しい2020年の春…のことではなく、更に遡って2011年春の出来事です。初日がとんだあの春。あまりの被害の大きさに立ちすくみ、多くの人が何もできない自分の無力感に苛まれたあの年。

高見沢さんは後に振り返ってこう語っています。

もしかしたら人間が生きるか死ぬかのときには、音楽なんて要らないのかもしれないけど・・・。音楽を要らないと思ってしまう自分が嫌でした。それは僕の人生以上に、アルフィーそのものやアルフィーを応援してくれたみんなの情熱さえも無にすることになるから。音楽はこういうときにこそ必要だと思える自分でいたいと、自分を奮い立たせる戦いだったね。 

2014年のインタビューより

また、こうも。

ミュージシャンであるからには、僕らの音楽がたとえ少しであっても慰めになってくれたら、と思いました。今振り返っても、あの時点で仙台公演をやったことに後悔はしてません。やって良かったと思ってる。僕らは長年、音楽で生きながらえてきたわけですから。音楽で返していかなければならないものもあるし、音楽を捨ててはいけないとも思ったし。こういうときだからこそ、ツアーをやり続けたい、やり続けるべきだと、俺はそういう思いに駆られましたね。 

「自粛」「節電」「復興支援」という言葉が日本中を駆け巡り、自分に何ができるのか、何がしたくて、何をすべきで、何はしてよくて、何を今は見送るべきなのか。時間の経過と状況の変化に応じて業務上でも個人でも。それぞれが日常を見直し、取捨選択をみんなで考え続けた年でもありました。

初日がとんだ…というのをもうちょっと正確に言うと。4/7に予定されていたサンシティ越谷での初日が計画停電の影響により延期になり。この公演が6/9に振り替えられ、こちらは同会場での開催が叶いました。また6/12に予定されていた仙台サンプラザは翌6/13に日程を変更、復旧が早かったZepp Sendaiに会場を移して(キャパ縮小)何とか開催。以外は無事に公演が行われ、全体的に見ればほぼほぼ予定通りツアーができた。けれど。いつまた余震が起きるかわからない。突然電車が止まって帰れなくなるかもしれない。原発は、電力は…などなど。常に不安がつきまとうツアーでした。

このツアーを通して、ずっと大ラスで歌われていたのが「生きよう」
震災直後に書き下ろされた新曲で、アレンジもシンプルなアコースティックサウンド。ともかく早くみんなに届けたい、そんな想いが感じられる、そして言葉のひとつひとつをとても丁寧に歌ってくれた印象がありました。新曲を初めて聞く私たちでも、その歌詞が理解できるように。

Stay その場所で 今君は何を思う 悩み苦しみ歩む道を探してる
Stay そのまま一から始めてみよう 必ず夜は明ける 今を生きていればこそ
あきらめない自分があれば 希望の光は見えるよ
どんなに悲しい事も どんなにつらい思い出も
負けないと思う強さで 時の力を信じて生きよう

作詞・作曲:高見沢俊彦

その後、10月からの秋ツアーではセットリストから姿を消し、あれは春限定だったのか…と思っていた矢先。クリスマスイヴ恒例の武道館。今年も何とかここに辿り着けてよかった、とほっとしつつ臨んだ武道館で、私たちはこの歌と再会したのです。この日の「生きよう」はフルアレンジでドラマチックな展開に生まれ変わっていました。驚きとともに、あぁこれが完成形…この…これのために、ここに辿り着くためにきっとずっとあたためられていた。この歌が描き出すこの景色を私たちに見せようとしてくれてたんだな、と。あの日からこの歌は更に大切な曲になりました。

この歌が私にとって特別なのにはもうひとつ理由があって。
あの日のこの歌に入る前の高見沢さんのMCが忘れられない。ずっとこの胸にあって、10年以上経った今でも鮮明な記憶として残っているからなのです。

今年もツアーができてよかった!という話から、ツアー・コンサート1本1本の大切さを語り、歌に込めた想いを伝えられる場所はここしかないから、と高見沢さんは続けた。ステージの上からいろんな歌を発し、それをみんなが受け止めてくれたからここまでやってこられた。1回1回どういう想いで、どういう気持ちで、どういう歌を歌ってきたか、そしてみんながどういう想いで受け止めてくれたのか、ということを強く考え直した年でもあった、と。
そして。
僕らは3人出会って始めから武道館でできるようなグループじゃなかった。小さなところから始まって、僕らの歌をみんなが見つけてくれて、そしてみんなが「がんばれー!」って言うから俺たちはがんばってきたんだよ。だから今度は俺たちもここからみんなにがんばれ!と言いたい。
途中「がんばれ」という言葉の意味合い、昨今の風潮を補足しつつ、それでも俺はみんなにがんばれと言いたい。ずーっとここからがんばれと言いたい。生きることはがんばること。だから我々もまだまだ積み重ねて…3000本目指してやってこうかな〜と思ってるよ。がんばんないと。だからみんなもがんばれよ! そしてひときわ力強く 俺たちがついてるぞー! と叫んだ。

この言葉がどんなに力になったか。

この後にも、歌は心を繋ぐもので見えないけど想いがみんなに届く。何かのきっかけでみんなはその歌を思い出したりして、日常の中でがんばったりいろんな答えを見つけてくれる。そういう歌を今後も作っていきたい、という話もしてくれているので、『THE ALFEE Neo Universe 2011 Final Series I Love You, Always... Live at BUDOKAN Dec.24』この日のライブの模様を見られる環境がある方には、ぜひ!高見沢さんの言葉を今一度!高見沢さんの声で。身ぶり手ぶりで。見てみてほしい!!勇気凛々♪ になれるから。
ちなみにLive-DVDはAlfredでまだ買えるし、もしくはU-Nextさん配信してくれたり…し…ませんかねぇ。

↓こちらはフルアレンジの現行ver. 2021年の映像です。

春の柔らかな陽射し 夏の燃える青空よ
命の息吹感じて すべて新しく生まれ変わる
だから生きる価値がある 君の明日は君の前に
心の絆を信じて 涙を希望に変えて行け !

作詞・作曲:高見沢俊彦/
編曲:高見沢俊彦 with 本田優一郎

被害に遭われた方々の苦しみや悲しみは計り知れず、そう簡単に寄り添えるものではないこともこの時に思い知った。震災によって何を失くしたわけでもない私ですら、いろんなことがしんどかったあの年。こんな自分に一体何ができるのか?悩み続けた日常をこの歌が照らしてくれた。ずっと照らし続けてくれた。間違いなく光だった。強く頼もしい光だった。その光があったから、まずは小さな一歩から、と踏み出すことができた。

そんなことを思い返した2024年初夏の1日でした。

2011年の話題ついでに。
春のツアーと秋のツアーの間にあるもの。そう夏には。この年、THE ALFEEとしての夏のイベントがなかった高見沢さんはソロ活動を展開しており。背中に龍体の日本列島を背負って「黄金の龍になって君を迎えに行こう 強くもっと強く君を守りたい!」と歌ってくれてましたよ。オトコマエすぎる。

2013年の衣装展示にて


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?