見出し画像

国境を越える言語の発明者、オットー・ノイラート

日本でも多くの外国人を見かけるようになり、世界との距離がぐっと縮まってきた現代。

東京に来てからはコンビニ店員が外国人ばかりで驚いてる。

日本語がわからない外国人観光客にとって、頼りになるものといえば何だろう?

私自身、現地の言葉が分からない見知らぬ国を訪れた際、頼りになったものは「記号」だった。

この「記号」をデザイン用語に言い換えるとしたら「アイソタイプ」や「ピクトグラム」だ。


国境を越える言語、アイソタイプとは?

アイソタイプとはピクトグラム(絵文字)を用いて図式化したものを指す。


画像1

博物館や空港、ショッピングモールなどで、誰しもがアイソタイプを見たことあるはずだ。

アイソタイプは、読み書きのできない人々に複雑な社会経済を教育することを目的として発明されたものだ。

言葉は学習しないと理解するのに時間がかかるが、アイソタイプなら視覚さえあれば年齢や国籍を問わず誰にでもすぐに理解できる

例えば、どこで切符を買うのか、どうやって使うのか、それらが分からなくても横に添えられた絵を見るだけで正しい方法を知ることが出来きるように、誰から見てもわかりやすいアイソタイプは、国境、言語の限界を超えるのだ



アイソタイプの発明者オットー・ノイラート

画像2

アイソタイプを発明したのはグラフィックデザイナーではなく、視覚研究をしていた哲学者、オットー・ノイラート(1882-1945)である。

グラフィックデザインの歴史を動かした重要な一人だ。

グラフィックデザインとは、情報と人々をつなぐ仕組みづくりである。

ノイラートは視覚研究を通して、視覚的な美しさは楽しさを感じる要素であるとよく理解していたからこそ、情報の伝達に視覚的な美しさを追求した。

例えば、びっしりと書かれた文字や数字ばかりの情報を目にして読む気は起こるだろうか?乱雑にまとめられた資料が理解できるだろうか?

私のような凡人なら、そっと目を逸らす。

しかし、絵や図には人を惹きつける力がある。情報伝達においてこれを利用しない手はない。

難しい情報を分かりやすく伝えることができれば、どんなに役に立てるだろうか。

アイソタイプが効果的に使われた情報は、2.5倍も長く人の記憶に残ることも発見されている。

それほど情報の理解に影響を与えるのだ。


アイソタイプの色のルール

アイソタイプでは白、青、緑、黄、赤、茶、黒の7色を使うのが基本である。

そのうちいくつかに限り、ライトブルー、ダークブルー、ライトグリーン、ダークグリーン、ライトレッド、ダークレッド、ライトブラウン、ダークブラウンと細かく分類することもある。

また、白と黒を混ぜたグレー、黄と赤でオレンジなど混ぜた色を使うこともある。

画像3

ほとんどの人は繊細な色彩感覚を持っていないので、できるだけ少ない色数に絞った方がいい。

また、白黒画像でも分かるように作ることがデザイナーにとって重要な能力だ。


色が使えないときは色の代用として万線や網点を用いた黒の階調で表現しよう。


アイソタイプの構造のルール

本を読むときのように、左から右へ視線を導くこと。特別な理由がない限りはこのルールを変更させない方がいい。

また、国々の配置にも配慮する必要がある。欧州で使用されている世界地図では、欧州が中心となるため以下のような配置となる。

画像4

また、これらを一列に並べようとすると、カナダ・米国→中南米→欧州→アフリカ・南アジア・オーストラリア→極東という順番となる。


まとめ

人は情報を視覚から得て、わかる喜びをどこまでも欲する。

もしあなたが誰かに何かを分かりやすく伝えたり教える時は、アイソタイプを活用してはいかがだろうか?


”参考文献:ISOTYPE オットー・ノイラート著”

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?